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藤原の君(その5)

 このようにして、たくさんのお子がおられるのですが、父正頼様は、たとえ妻を持つ男子でさえも、この三条邸の外に住むことはゆるされません。

「大きな家である。私が生きている限りは、ここに住みなさい。他に住む者は、我が子とは思いません。」とおっしゃって、四町に渡る御殿を、殿舎一つを町一つにあてて住まわせられました。

(ふつうは、男子は妻の家に住むか、新しい自分の家に妻を迎えるかですのに。)


 五間(母屋の東西の柱間が五つある)の御殿を一つと、十一間の長屋を一つずつ差し上げて、おおい君のお産みになった三人の女子と、女一宮のお産みになった四人の女子を、それぞれの町に住まわせられました。まだ夫のいない姫君にも、みな御殿を用意されました。


寝殿には、わたくしや、妹の姫君たち、若君の弟たち、帝の女御である大宮様(長姉)の産まれた女皇子たちが住んでいらっしゃいます。それぞれに、仕える女房、乳母、うない(童女)、下仕えなどがいますが、容姿がよく、心ばえもよく、特に優れた人々を選んでお仕えさせていらっしゃいます。


 西の御殿には、帝の女御である大宮様(長姉)が、東の御殿には女御様のお産みにいなった皇子様たちが住んでいらっしゃいます。

(女御や皇子まで、内裏でなく父正頼邸に住ませているのです。)


 兄君たちは、皆、廊をそれぞれのお部屋になさり、板屋を供人たちの詰め所にしておられます。女房の曹司には、廊の周りにしつらえた建物を仕切って与えられました。


 長兄の宰相の兄君は、特に父正頼様の近くのいくつかの建物を賜って、御厩(みまや)、御蔵町、政所に使っておられます。建物どうしは、少し離れて建っています。


 

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