仲忠(その15)
こうして、誰もが楽器を弾き、歌を歌い、夜も更けて皆、帰られました。
皆が帰られてから、父と母が話をしておりました。
「今日の様子は、見ていましたか。仲忠は、やはりほかの人より優っていましたよ。」と父がおっしゃると、
「さあ、どうでしょうか。わたくしには、よくわかりません。外での子の様子は、見ることができませんゆえ。」と母が答えました。
「とはいえ、あなたの見る目は、恐ろしいほどですよ。父君の俊蔭殿は、天人にも優っていらっしゃったのに、あなたはその手を皆習い取られたという。そのあなたに、仲忠は劣らないと人々が言うのです。あの左大将が、たとえ冗談でも、かのあて宮様を下さるとおっしゃるとは。あて宮様は、春宮が入内させるようにおっしゃってもそうされなかったほどかわいがっていらっしゃる娘です。それを下さるとおっしゃるとは。琴の才能のおかげで、たいそうありがたいことです。
天下中の人が心を痛めて熱望している娘であるのに。ただの冗談であって、本気のこととは思えませんが、うれしいことです。」と父が言うと、母は、
「左大将殿は、立派なお方ですね。そのお子たちも、なみなみの方々ではありませんでしょう。」と答えました。
「左大将正頼殿は、それは格別なお方ですよ。あれほど酒宴が乱れて大騒ぎでありましたが、他の方々とは違っていらっしゃいましたね。」などとおっしゃり、そのままそこで、三人とも寝入りました。
あて宮様、これが今までの経緯です。祖父、母、わたしの長々しい物語をお聞きいただきありがとうございました。ここまで話すと、御簾の外の仲忠様のお姿も、ふっと消えてしまいました。




