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仲忠(その13)
仲頼様は、感動のあまり、また、段を走り下って、万歳楽を繰り返し舞われました。今度は父が、お召しになっていた衵を脱いで仲頼様に与えられました。左右の大将が琴を合わせて弾かれ、仲頼様、行政様が笛を吹かれ、そこ居にた人は皆、調子を合わせて合奏したり合唱したりなさいました。興のあることと言ったら限りがありませんでした。
正頼殿は、童であられたころ、嵯峨院の恩賀で、『落蹲』をこの上なく上手に舞われて名人と評判になったのですが、今宵、このように各々素晴らしい音で合奏し、そのうえ、琴の秘手まで添えて格別なので、正頼殿の子の侍従である仲澄様が『落蹲』を舞って階のもとに舞でて繰り返し舞われました。
わたしは、それを見て、素晴らしい舞に目を奪われ、正頼殿から被けられた衵を仲澄様に被けて、一緒に舞いました。仲澄様は、舞い終わって席にもどるときに、この衵を松明を持っていた者に打ち掛けて行きました。
夜が更けたので、わたしはやっとのことで抜け出して、垣下の席に行き、
「ひどく正頼殿が強いられるので、琴を弾くことになり、困ってしまいました。」と言って、氷を食べていますと、そこに仲澄様が来られたので、話をしました。




