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仲忠(その6)
年がかわり、父兼雅が、相撲の節で勝たれたので、味方の人々を饗応する相撲の還饗がありました。
そこで、父は、北の方(その屋敷に住む女主)である母に、
「被ものの準備をなさってください。この度の事は、この屋敷にてはじめての饗応になるので、心を配り、褒美として差し上げるものをご用意ください。
今までの例では、中将をはじめとして、近衛府の人には、皆に禄を取らせます。今年は、俊蔭の娘であるあなたが用意するのですから、それを聞いた人も、心惹かれているでしょう。役所の人たちにも贈り物の用意をしてください。
禄の例は、中将には女の装束一領ずつ、少将には白い袿一襲と袴ですが、この度は、中将にはさらに細長を添え、少将には綾の袿と三重の袴(表、中、裏の三枚の布を重ねた袴)などを用意して下さい。」とおっしゃいました。
母は、装束の色合いや仕立てなど、並々ではなく格別に素晴らしいものを用意されました。




