↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/81

俊蔭の娘(その26)

 子が、洞穴(うつほ)に移ることを勧めるので、わたくしは、

「何を言うのです。わが子が行かれるというところに、どこであろうとも、行かないということなどありません。里に住んでいても、あなとより他に訪ねてくる人などありませんから。」と言って、出立いたしました。


 この家の中には、何もありませんでした。父、俊蔭が遺言された琴どもは、この子に運ばせ、一緒に行くのに、特にこみあげて悲しい思いがあるわけでもなかったのです。


 涙川 渕瀬も知らぬ みどり子を しるべと頼む われや何なり

(私の流す涙の川の渕瀬の深さも知らない幼い子を、道しるべと頼ってついていく私は、いったい何なのでしょうか。)

とつぶやきながら歩くうちに、洞穴(うつほ)に着きました。


 とても奥深い山道の果てで、堪えがたいと聞いていましたが、洞穴(うつほ)とは思えないほど、広く、三千坪くらいあり、明るく開けておりました。人が造った家のように、木立が趣深く、松、杉、花の木、果物の木が生えていました。また、周りには、椎や栗の木が森のように生え連なっていました。仏の使いである童が造ったということで、わたくしのような行くところにない者でなくても住みたいと思うところであると見えました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。