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俊蔭の娘(その15)
このようにして、六月六日に、いよいよ子が生まれそうになりました。産気づいて苦しがっていると、嫗も心を乱し、
「どうかご無事にうまれますように。」と、神仏に祈願していました。ことさらにさわりもなく、光り輝くような男の子が生まれました。生れ落ちてすぐに、嫗は自分のふところに抱き、わたくしによく見せもせず、乳を飲ませるときだけ連れてきて、いつも背負って世話をしていました。
わたくしは、特に病むこともなく、しばらくして起き上がることができました。暑いころなので、貧しいわたしには大変良い季節でした。嫗は、
「この子は、大福徳(福を持って生まれた子)でいらっしゃいますよ。このように福福として、嫗になついていらっしゃいます。」と自慢して連れ歩いておりました。




