20/74
俊蔭(その20)
帝が、
「この琴は、音がまだ慣れていない。整えて献上せよ。」とおっしゃるので、
わたしは、せた風を受け取って、しばらくかき鳴らしてから大曲(楽章の多い曲)を一曲弾きました。すると、大殿の上の瓦が砕けて飛び散って花のように散りそそぎました。もう一曲弾きますと、六月の十日であるのに雪が綿のように降って積もりました。
帝はたいそう驚かれて、
「まことにこの調べは今まで聞いたことのない珍しい手であることだ。これはたしかに、『かいこくゆ』という手の、『くせこゆくはら』という曲である。唐土の帝が弾かれたとき、瓦が砕け、雪が降ったと伝えられている。」とおっしゃったのです。




