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俊蔭(その17)
わたしが帰途に就くと、例のつむじ風が吹いてきて、天女や山の人が名付けられた琴十二、名付けられていない琴も併せて巻き上げていきました。
わたしは、三人の仙人と三年住んでいた山に着き、それまでの事の次第を語って、どのように過ごしていたかも詳しく伝えていますと、つむじ風が、三人の前に琴を置いたのです。
わたしは、この名前のない琴を、一つずつ差し上げますと、素晴らしいと感動して喜んでおられることといったら限りないほどでした。
こうして、波斯国(ペルシャ)に渡りました。この国の帝と皇太子に、琴を一つづつ贈りました。すると、帝は大いに驚いて私を召されました。わたしが参上すると、事の次第を詳しく問われ、おっしゃるには、
「この琴は、荒いところがある。しばらく弾きならして献上せよ。よその国から来たものではあるが、渡ってきてから長い年月が経っている。それに報いてとどまる間は大切に遇しよう。」と。わたしは、
「日本に、年が八十歳になる父母がいます。その親を見捨ててまいりました。今は、塵か灰になってしまっているかもわかりません。せめてその骨だけでも見たいと思います。急いで帰ります。」と申し上げました。
帝は、あわれに思い、帰国を許してくださいました。




