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兵部卿の宮

 また、嵯峨院の皇子である兵部卿の宮からも、御文が来ました。


「わたしの思いがまったく通じていないようですが、だからといって思いがやむはずもありませんので。これほど難攻不落の御方とは存じませんでしたが。この上やはり、御返事もないのでしょうか。」と言って歌が添えてありました。


 わたくしは、まあ、脅しをかけていらっしゃるわ、と思ったのですが、返事は致しませんでした。


(というわけで、評判の高いあて宮は、モテモテです。

平安時代、一番身分の高いのは、帝。

それに続くのが、帝の子である皇子。その中でも、次の天皇である春宮が一番です。

あて宮には、春宮からの御誘いもありました。これは、父が検討中です。返答せず、ごまかすつもりのようです。

皇子は、たくさんいますが、まずは、兵部卿の宮が登場しました。(自分からの文に返事をよこさないとは、と怒っています。)

帝の子でも、後ろ盾のない皇子は、臣下に下り、名字をもらいます。これが、源氏や平氏です。

源氏の代表が、源実正で、某帝の孫です。兄弟が、あて宮の姉妹の婿になっています。

平氏の代表が、平正明で、嵯峨帝の孫です。

貴族の代表は、かの中臣鎌足の子孫の藤原氏です。鎌足は、臨終に際して藤原姓を賜ったので、何代にもわたってはびこり、藤原姓の貴族は山ほどいます。ここでは、藤原兼雅が代表です。)



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