表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の才女は毒に溺れる  作者: kuroyomi4


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/34

服従

 木曜日も彼女は来ていなかった。

 早く元気になってほしい。


 今日の昼休みも彼は来ない。

 LONEを開いて彼女とのトーク履歴を見る。


 彼女との履歴はまだ土曜日の楽しかった時のまま止まっている。

 送られてきていたツーショットの写真を眺める。


 写真の中の私は無表情でピースも曲がってるが楽しそうに見える。

 彼女も楽しそうに笑っている。


 もうこんな日は来ないんだろう。


「何を見てるんだい?」


 後ろから声をかけられる。

 この声は......まずい。

 スマホの電源を切り、後ろを振り向く。


「やあ、一緒にお昼を食べよう」


 やはり彼だ。

 見られた?いや、たぶん大丈夫だ。のぞき見防止もしている。


「わかりました、どこで食べますか?」


「そうだねぇ、生徒会室でどうかな?」


「いいですね、行きましょう」


 彼を一緒に教室を出て生徒会室に入る。

 私が先に入り、彼が後から入った。

 鍵が閉められる。

 嫌な予感がする。


「さて、さっきスマホで見ていたものを見せてもらえるかな?」


 彼は見えていて言っているのか、それとも見えていないのか、どっちか分からない。

 もし見られていないのなら見せるわけにはいけない。


「あなたには関係ない物ですよ、それよりご飯を食べましょう。私、お腹すきました」


 拒否しつつ、別の話題に持っていく。

 だが、これは悪手だった。彼は、あの時のような態度になっていった。


「早く見せろって言ってるんだよ、見せれないのか?」


 私の体が無意識に強張る。

 あの日のことを思い出してしまう。

 でも、これだけは。

 これだけは見られるわけにはいかない。

 どうすれば彼に見られないようにすることができる?


「......」


 私が黙っていると彼が詰め寄ってくる。

 体を後ろに引くが、彼に腕をつかまれそのまま上にあげられる。

 抵抗できなくなった私のスカートのポケットからスマホを無理やり取り出す。


「チッ、ロックしてるのかよ。おい、番号教えろ」


「それは......」


「教えろって言ってんだよ、言うこと聞けよ」


 掴んだ手の力を強めてくる。

 痛い、怖い。


「0623です」


 掴んでいた手が離され、バランスを崩して床に倒れてしまう。


「0623っと。開いたな」


 彼が私のスマホを隅々と調べ始める。

 やめて見つけないで。


「お前が見ていたのはこれか?」


 彼は私と彼女のツーショット写真を見せてくる。

 やっぱり見られてた。


「はい、そうです」


「やっぱりな。お前、あいつとまだLONE友達じゃねえか」


「はい。でも、連絡は取りあってません」


「は?そんなの関係ないっての、消せよ。あいつのLONE」


 そう言ってスマホを渡しに投げてくる。

 消す?彼女とのLONEを?つながりを?

 嫌だ。でも、消さなかったら......


「消さなかったらどうなるか分かるか?」


「どうなるの?」


「お前のお友達だったあいつ、どうにかなっちゃうかもよ?」


「それだけはやめて!消すから、お願い」


 駄目だ、これ以上彼女を巻き込むのは。

 それに、何をするのか分からない。


「そんなにあいつのことが大事なのかよ。さっさと消せ」


 私は、彼女の連絡先を削除する。


「したわよ......痛っ」


 手から強引にスマホを奪われる。


「消えたな、よし」


 またスマホを私に投げてくる。

 それから彼は深呼吸をしていつもの表情に戻る。


「じゃあ、食べようか。お腹すいたんでしょ?」


 口調まで元に戻っている。

 昼飯は味がしなかった。

 消してしまった後悔と消さなかったらどうなっていたかという恐怖。

 彼は私を服従するために彼女をも脅しの道具として使ってきた。

 もう、私は彼に逆らわない。


 その後は昨日と同じ。

 家に一緒に帰って、晩御飯を食べて吐いて、お風呂に入って少し勉強して寝る。


 金曜日、学校に行くと彼女がいた。

 良かった、元気になったんだ。

 それだけで十分。

 もう私と関わることなんて無いし、関わらせては駄目だ。


 私が教室に入ってきた時に一瞬こっちを見て嬉しそうな悲しそうな表情をしていた。

 彼女は私を見て何を思ったのだろう。

 この4日間で私の顔色はひどくなり、体重も落ちていた。

 他の人に気づかれないようにメイクもしているが隠せているか分からない。


 彼女との会話は無い。

 でも、それでいい。彼女が元気でいる。それだけで。


 昼休みは彼が来た。

 だが、今日は昼食の誘いではなかった。


「敦那、明日僕とデートしてくれないか?」


 デート?私とあなたが?絶対いや。

 少し前の私ならそう言って断っていただろう。しかし、今の私は彼の言葉に対して首を縦に振ることしかできない。


「いい......わよ」


 少しぎこちなかったが大丈夫だろう。

 彼もいつもの雰囲気だ。


「よかった、断られたら悲しかったからね」


 そう言って彼は私の頭に手を置いて撫でてくる。

 彼の手が触れる直後、体が反射的に怯えてしまった。

 誰も気づいてないと良いけど。


「じゃあ、僕はこれから生徒会の仕事があるから」


 教室を出ていく。

 明日、デートか......

 雨でも降って無くなりますようにと今から祈る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ