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孤高の才女は毒に溺れる  作者: kuroyomi4


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14/34

 台風が直撃して、月曜日は休校になった。


 火曜日も雨が激しかったが、休校にはならなかった。


 学校に着いた頃には靴と靴下が雨で濡れ、気持ち悪くなっていた。

 バッグから替えの靴下を取りだして履き替える。


「替え持ってきておいてよかった~」


 教室に入る。

 教室にいる人とあいさつをしながら席に座る。


「しののん、早く来ないかな~」


 昨日学校が休みになったので小説を一気読みした。

 映画より心理描写が細かく書かれていたり、映画ではカットされたシーンがあったりと映画を見ていても全然面白かった。

 小説は国語の授業でしか読んだことなかったが、自分のペースで読めるし文章でしか表現できないような細かい描写がとても面白かった。

 彼女に早く感想を伝えたい。


 予鈴が鳴って先生が入ってくる。

 しののんは来なかった。


 先生に聞くと家の用事で休んでいるらしい。

 それなら仕方ない。

 今日は少し退屈だ。


 次の日、雨は降っていなかったが曇が空を覆いつくしている。

 6月だというのに少し肌寒い。


 学校に着くと彼女はもう教室にいた。


「しののん、おはよ~」


「............」


 彼女は私のあいさつを無視する。


「お~い、しののん?」


「何?」


 低く冷たい態度で私を見てくる。


「え、何って。あいさつだよ」


 そう言ってもう一回「おはよう」とあいさつをする。


「おはよう」


 彼女は私に目を合わせずに窓の方を向きながら、冷たく言う。

 まるで私に関わってくるなと言わんばかりに。


 なんで?どうして?

 土曜日は楽しく遊んだし、あんなに話してたのに。


「なんかあった?もしかして、私なんかしちゃった?」


「............」


 彼女はまた無視する。


「ねえってば」


 顔が向いている方に移動して強引に目を合わせようとする。

 一瞬で顔をそらされる。

 でも私は見逃さなかった。彼女の顔に叩かれたような跡がうっすらとあるのを。


「ねえ、その顔のやつもしかして」


「............」


 何も答えない。


「何があったの?教えてよ、友達でしょ私達」

 口から出そうになるのを我慢する。


 お昼休みは生徒会長が彼女のことを迎えに来てどこかに行ってしまった。

 私はクラスの子とお昼を食べた。

 戻ってきてからも会話は無い。


 帰りのHLが終わると彼女は素早く教室を後にする。

 彼女と話したのは、おはようの挨拶だけ。

 やっぱり話したい、何があったのか知りたい。

 私は急いで彼女を追いかける。


 彼女は靴箱と校門の間にいた。


「しののん!ちょっと待って」


 止めるために声をかけるが無視されてそのまま歩いていく。

 校門の前に生徒会長がいるのが見えた。

 ダメ、待って。


 私は靴に履き替えずに彼女の元まで走っていき、手をつかむ。


「待っててば!」


 手をつかまれたことに驚いたの振り向いてこちらを向く。

 冷たい。

 あの日の少しの暖かさも無い、初日よりも冷たい。

 駄目だこの冷たさは。


「何?」


「何?じゃないよ!なんでずっと無視するの?」


「それは......」


「私たち友達じゃん、急に無視されると悲しいよ」


「友達......私たちは友達じゃないわよ」


「え?」


 言葉の意味が理解できない。

 友達じゃない?


「私とあなたでは生きている世界が違うの、私にはあなたのような人間の友達は必要ない」


「それに私、あなたの事本当は嫌いだったの。うるさいし学がないし、何より馴れ馴れしいのよ」


「なんで......」


 違う、彼女はそんなこと言わないはず。

 だって、2人で遊んだし次遊ぶ約束もした。

 小説をプレゼントしてくれたし感想を教えてと言ってくれた。


 何が彼女をこうさせたんだ。

 視線の端に生徒会長の姿が映る。

 彼は、私をあざ笑うかのような態度で立っている。

 あいつだ、あいつがやったんだ。


「ねえ、あの生徒会長になんか言われたんだよね?正直に言ってよ、私が何とかするから」


 彼女の手を強く握る。


「何とかする?あなたに何ができるの?」


 手を振りほどかれる。


「あなたはただの一般人よ、あなたは何もできない。何もしないで」


 それは彼女からの拒絶だった。


 私には無理だったんだ。

 何もできない。

 結局、大きな力の前では無力。


 雨が降り始める。

 生徒会長が傘をさして私たちの方へ向かってくる。


「敦那、濡れると風邪をひいてしまうよ。さあ、帰ろう」


 帰る?

 まるで2人が同じ場所に住んでいるかのような。


「ええ」


「ああ、それと茉莉さん」


 彼は雨に濡れる私を見る。


「何よ」


「言っただろう、敦那は君が触れて良い物ではないと。君は彼女に関わる資格が無いんだよ」


 彼女と関わることに資格なんて必要ない。

 誰と関わってどう生きるかは彼女の自由だ。


「次は痛い目を見るよ。分かったら金輪際関わらないことだね」


 脅しのつもりだろうか。


「もういいわ、そんな子。早く行きましょう」


「そうだね、じゃあ」


 2人は同じ車に乗って帰っていく。


 私の考えが甘かった。

 彼らがここまで彼女を管理しようとしているなんて思っていなかった。


 もう無理なんだ......

 私のしたことは全部無駄だったんだ......


 私は雨に降られているのを心配したクラスの子が傘を差しに来てくれるまで雨に降られた。

 私は風邪を引いた。

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