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孤高の才女は毒に溺れる  作者: kuroyomi4


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10/34

準備

 朝起きると今日も雨が降っていた。

 遊びに行く日は明日。晴れてくれると良いけど。


 部屋から出て東野が作ってくれた朝食を食べる。

 食べた後はいつも通り支度をして、家を出る。


 今日はいつもより30分ほど早く出た。

 彼女と明日の事について色々決めるためだ。


 学校に着いて教室に入ると、彼女が私に気が付いて元気よく挨拶してくる。


「しののんおはよ!今日はちゃんと傘さしてきたよ!」


「おはよ。雨が降ってるんだから傘さすのは当たり前でしょ」


 挨拶を返しながら自分の席に座る。


「で、明日は何しに行くの?」


 私は遊ぼうと誘われただけで何をするのかどこに行くのかも知らない。


「それより、私と遊びに行っても大丈夫なの?」


「いらない心配しなくて大丈夫よ、それに私も行きたいと思ったから行くのだから」


 多分、私の体調や家の事を気にしているのだろう。

 誘ってきたのはそちらだというのに。


「それならよかった......」


 ほっとした表情になる。


「で、何するの?」


「あ、そうだ。私も特に決めて無いんだよね~しののんの体調の事とかもあるし、私だけで決めるのは駄目かなって」


「そうなのね、ありがとう」


「しののん行きたいとことかやりたい事無いの?」


 行きたい場所とかやりたい事は特にないが、どうせなら彼女も楽しんでほしい。

 そうだ。


「じゃあ、私の好きな小説が映画化してるの。それを見に行きましょう」


「いいね!じゃあ、駅前にある映画館に行こう!」


 私はスマホを開いて映画館の上映スケジュールを見る。

 10時からの上映がある。時間的にもちょうどいい。


「集合は駅前の猫の銅像に9時半でいいかしら?」


「いいよ!一応ついたら連絡するね」


「10時からの上映ね、終わった後はお昼食べたり少しぶらぶらしましょうか」


 そう提案すると彼女は少し驚いた顔をする。


「なによ、その意外そうな顔は」


「いや、しののんは映画終わったら即解散って感じかと思ったから」


 私をどんな人間だと思っているのか。

 そんな冷たいやつじゃない。いや、冷たいやつか。


「あのねぇ、私だって遊びに行くってのがどういうことか分かってるわよ。だから時間も10時からのにしたし」


「ごめん、ごめん。でも、体調は大丈夫なの?」


「そんなに心配しなくて大丈夫よ、ちゃんと薬を飲んだら激しい運動しない限りは体調崩したりしないから」


「そうなんだ、じゃあ明日はちゃんと薬飲んでね!」


 彼女は初日に私が薬を飲み忘れたせいで倒れたから余計気にしているのだろう。


「たのしみだね!あ~早く明日にならないかな~」


 彼女が笑顔でそう言ってくる。

 楽しそうだ。

 私と遊びに行く事がそんなに楽しみなのか。


「そうね、私もたのしみよ」


 私は彼女に聞こえないくらい小さな声で言う。


 予鈴が鳴り、先生が入ってくる。


 帰りのHRが終わる。

 今日の授業はなんだか早く終わった気がした。

 実際は短縮授業だったわけでもないしいつも通りだ。


 席を立つ。


「しののん、また明日!」


 今日は昨日と違って元気な笑顔だ。


「また明日、じゃあね」


 東野が運転している車に乗る。


「東野、明日の予定だけど9時半に駅前の猫の銅像に集合になったわ。送迎を頼めるかしら」


「かしこまりました。何をしに行くのですか?」


「映画を見に行くわ。私が好きな小説の」


「いいですな、迎えは何時ごろに行けばよろしいですか?」


「映画を見た後にお昼食べて少しぶらぶらしようと思ってるから迎えに来てほしくなったらLONEするわ」


「かしこまりました。もし途中で何かあったらご連絡ください」


「ありがとう」


「......東野」


「なんでしょう」


「私、明日がたのしみなの。こんな気持ち初めて」


「そうですか」


 早く明日になればいいのに。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 走って家に帰る。

 玄関の扉を勢いよく開ける。


「ただいま!」


「おかえり~、東雲さんと明日の予定決めてきた?」


「うん!映画見てくる~。しののんが好きな小説の映画」


「いいねぇ、あんたが映画好きなことも考慮して選んでくれたんだろうね」


「そうなんだよね、やっぱ優しいよしののんは」


「じゃあ、はい」


 そう言って母は私に2万円を渡してくれる。


「いやいや、もらえないよ!」


「映画見に行くだけじゃなくてその後も色々するんでしょ?最近お小遣いもあげれてないし、バイトせずに家事やってくれてるんだから何も言わずに貰っときなさい」


「ありがとう」


「楽しんできなさいよ」


「うん!」


 今日の家事は母がやってくれるらしい。

 私は自分の部屋に行き、服の組み合わせを何着か選ぶ。

 何を着ていこうかな。

 可愛い系?かっこいい系?

 スカート?ズボン?

 髪はそのまま?セットする?

 メイクはガーリー?ナチュラル?


 いつもならあまり考えないことも今日は悩んでしまう。

 彼女と出かけれるのはこれが最後かもしれない。

 彼女に良い思い出として記憶してほしい。

 母も私と同じ考えをしているから2万円もくれたのであろう。別にそんなにお金を持っているわけではないのに。


 明日は晴れてくれるかな。

 映画、面白かったら良いな。

 しののん楽しんでくれたらいいな。


 ああ、早く明日にならないかな。


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