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「うぅ………」
規則的な揺れを感じ、ミミは目を覚ました。
まだ目が慣れないが、辺りは薄暗くどこからか水滴が落ちる音が聞こえてくる。
ミミをおぶい、岩壁に囲まれた狭い階段を降りているのは、老戦士のガンダルガであった。
その後ろに、アリッサ、ブラン、フェルナンドといった面々が続いている。
「おや、目がさめたかい」
足を止めることなく、アリッサが声をかける。
「本当ですか!?よかったぁ…」
やはり足を進めながら、ブランが安堵のため息をもらす。
「……………」
覚醒していくと同時に、ミミの中で先ほどのおぞましい記憶がじわじわと形を取り戻してくる。
しかし、今さら泣いたり騒いだりする気力はわいてこなかった。
「あの……父は……」
「死んだよ」
アリッサがぶっきらぼうに答える。
ブランが何か言いたそうに口を開くが、そのままうつむいてしまう。
いずれ伝えねばならぬ言葉である。今さら遠まわしに取りつくろう方が、不誠実なことに気づいたのだ。
「…そう……ですか」
ミミは、目を細め無機質な表情になる。
現在、ガロンの石像は湯〜ゲルンのロビーの片隅に放置されている。
アリッサの話によれば、一度イビルストーンにとりこまれ、それを失った人間は、例え石化の術を解いたところで、息を吹き返す事はないのだという。
あのおぞましい姿が色を取り戻すくらいなら、むしろ今の姿のままに弔った方が、ミミにとっていいのではないかとブランは思った。
ガロンを倒した後は、老人達の話し合いにより、ポッテヌとキャトが生き残った者たちをまとめ、ロビーでの警戒を続けることになり、アリッサ達が、ミミを連れてユガルタの迷宮を目指すという結論に達した。
現在一行は、先ほどまでいた温泉の底から青い扉をくぐり、どこまでも続いていく階段を降りていた。
ポタッ………ポタッ………
相変わらず、水の滴る音が絶え間なく耳に入ってくる。
先頭に浮かぶ、アリッサが指を鳴らして出した光球と、フェルナンドが持つカンテラの明かりだけだ、頼りなく彼らを照らしている。
「おお、扉があるぞぉ!!」
ガンダルガの必要以上に大きな声が響きわたる。
永遠に続くかと思われた階段も、ついに終着点をむかえたようだ。
彼らの目の前には、巨大な鉄の扉がそびえ立っていた。




