表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
74/101

74

空中で左手を突き出したアリッサの体は、正確にガロンの元へと飛んで行った。



グシャッ



彼女の突き出した手刀は、ガロンの胸部にある巨大な瞳のすぐ下に突き刺さった!!


(………!!!!!!!)


怪物の瞳が見開かれ、声にならない声が波動となってロビーに伝わっていく。



パキパキパキ……



アリッサの左手を中心に、怪物の体はこぼれた水が広がるような速さで、灰色の石へと化していく。


中心近くの手が、いまいましい侵入者をひきはがそうとアリッサの方へ殺到したが、彼女が右手を鳴らすと同時に結界が張られ、すべてはじき返されてしまった。


(があああああ!!!!)


ついに、ガロンの本体部分が醜い石像に変わり、それと同時に、この短時間で多くの人をあやめてきた無数の手は、一瞬で灰のようになり崩れ去った。


巻き上がった粉塵は、瞬く間にロビーを満たす。


「アリッサさん!!」


視界のきかない中、彼女のいた方へ見当をつけ駆け寄ったブランは、せき込みむせかえりながらも、ようやく老魔法使いの姿を見出した。


「アリッサさん、それは……!!」


「ああ、イビルストーンだね」


アリッサの右手には、黒い小さな玉が置かれている。


彼女の目の前に転がる、かつてはニーゲルン村長として剛腕をふるった男の石像、その胸に浮かんだ巨大な瞳の中心部分には、その玉がぴったりとハマるへこみがあった。


「また、この石を見ることになるなんて…」


それは、かつてキリー村の哀れな青年が最期に残したものと、全く同じ色と形である。


「まったく……こんなもんがホイホイ出回ってるようじゃ、北方も終わりだね」


軽い不満を述べた後、アリッサが何事かつぶやくと、イビルストーンは粉々に砕け、床に広がる灰の上にバラバラとこぼれ落ちた。


「アリッサさん!!その手…」


ようやく粉塵がおさまる中、ブランは、アリッサの左手首が不自然に曲がっている事に気づいた。


「ああ、折れちまってるようだね。ま、仕方ないさ」


青ざめるブランをよそに、当人はいたってのんきな顔をしている。


「やれやれ、とんだ足止めを食っちまったね。とっとと本筋に戻ろうじゃないか」


そう言うと彼女は、他の老人達の方へと歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ