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「え?」
再び怪物の方を振り向いたブランの顔に驚きが走る。
(ぐ………が………)
あれほどの魔法をくらいながらも、蜘蛛の怪物が活動を再開し始めたのだ。
「うわぁ!!!!」
「きゃっ!!やめてぇぇぇ!!!!」
怪物は、間近にいた二人のサークル生を憎々しげにその手でつまみ上げると、のろのろと回りに無数の手を群がらせた…
グキグキグキッ!!!!
その恐るべき力によって、獲物達は体中の肉を裂き骨を砕かれてしまった。
ジュルルルル…
そして、肉団子のようになった「その固まり」に緑の触手を突き刺すと、その体液をすすり始めたのだ。
「ううっ…」
ブランが思わずその様子を見て口に手をあてた、その時である。
「今だよっ!!!」
アリッサの声と共に、ブランの横をものすごい勢いで「何か」が走り抜けて行った。
「うぉりゃあああああ!!!」
それは、大剣を引き抜き全速力で怪物へと突き進むガンダルガであった。
タンッ
彼は大胆にも、怪物に飛び乗ると、その無数の腕をうまく足場に使い、一気にニコライをとらえている手のある場所まで近づいた。
怪物は、突然の無礼な来客をつかまえようとするが、先ほどの雷のダメージが残っているようで、のろのろと思うような動きができないでいる。
「どりゃあ!!!!」
勇ましい老戦士は、ニコライをがっしりとつかんだ怪物の腕を、気合いもろともぶった斬ると、ニコライの首をその不気味な手から引きはがした。
「やった!!すごい、ガンダルガさん!!」
ブランが感嘆の声を上げると、隣のアリッサは「ハッ」と面白くなさそうに、鼻をならした。
ガンダルガは、枯れ枝の様に動かないニコライを肩に担ぐと、すぐさま怪物の腕を伝って床に降り、こちらに向かって駆け出した。
その時、ようやく本来の動きを取り戻した数本の腕が、ガンダルガを捕まえようと迫ってきた。
ニコライを抱えているため、行き程の速度が出ないガンダルガに、魔の手が迫る!!
「危ないっ!!」




