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怪物のそばで、何やら複雑な呪句を唱えているキャトの足元には、黄色く輝く魔法陣が浮かび上がり、彼の右手は、おそらく魔力のエネルギーによってだろう、激しく光りはじめていた。
「うまくいきますかね………あれ??」
隣にいるはずのアリッサに向けて話しかけたブランだったが、そこには誰もいなかった。
見ればアリッサ、ガンダルガ、ポッテヌ、フェルナンドの元冒険者達は、ブランの後ろで頭をよせ集め、何やらヒソヒソと話し合いをしている。
その時、怪物の周りで動きがあった!!
「ああっ!!」
「け、結界がぁ!!」
このままでは自分の身が危険だと判断したのだろう、蜘蛛の怪物が今まで以上の力で激しくもがき出し、結界はそれに押されるように、不安定に明滅を繰り返し始めた。
(ぐぉ………おおおお!!!)
ズガァァァン!!!!!
「うわぁぁ!!!」
結界の戒めを突破した数本の手が、そのまま天井をぶち破ったため、ちょうどその真下にいたサークル生の上にがれきが降り注いだ。
不運なその若者は、頭部にがれきの直撃を受け、一瞬で絶命してしまった。
途端に結界の光は消え失せ、おぞましい怪物は、再び自由を取り戻した。
「…………覚悟」
チラリと仲間の遺骸に目をやったキャトだったが、すぐに向き直ると、たった今完成した強力な雷を目標に向けて打ち放った。
強力な雷ー実際には、雷の性質を帯びた魔法エネルギーの塊なのだがーは、見事に命中し、怪物の体は稲妻に包まれた!!
「すごい!!……でも、ニコライさんは!?」
ブランの心配した通り、キャトの魔法は明らかに見切り発動であり、他のサークル仲間達は、ニコライへ結界を張るどころか、腰を抜かしていたり、おろおろしているばかりの様子である。が、しかしー
「ああ、よかった!!」
稲妻が収まり、全身からブスブスと煙をあげ沈黙する怪物の一部に鈍い光に包まれたニコライの姿があった。
「ったくだらしないねぇ」
アリッサの声に後ろを向くと、彼女は二本の指をニコライの方に向けて、ニヤニヤとしていた。
「あの結界、アリッサさんが張ってくれたんですね!!」
「ああ。腑抜け共が腑抜けちまってるんだから、仕方ないだろ」
「またそんな言い方をー」
「それより、これからが本番だよ」
ブランの言葉を制したアリッサのは、意味深に怪物の方へあごをしゃくった。




