表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/101

54

様々な風呂が並ぶ湯〜ゲルン地下一階の廊下の隅に、目立たぬ古ぼけた木のドアが存在している。


そのドアを開けると、明らかに今は使われてない、ほこりがかった薄暗い通路が続き、その突き当たりに、赤く重々しい雰囲気を漂わせた、くだんの扉がどんと構えている。


一階のフロントでもらったキーで木のドアを開け、薄暗い通路の奥に集結した面々……ブラン、アリッサ、ガンダルガ、ポッテヌ、フェルナンド、メディナの視線は、今や目の前の少女、ミミに集中していた。


いきなり病床の祖父から重要な役割を託されたミミは、当然心の準備もないまま状況に流され、落ち着かない様子だったが、ここで手を震わせていても仕方ないと気づいたのだろう、束ねられた中から赤い鍵を選び出すと、扉の鍵穴にそれを差し込んだ。



ガチャリ



無事に鍵が開き、ミミはそのままドアノブに手をかける。



「では、中に入ります」



ミミの言葉を聞き、ブランがアリッサにささやきかける。


「一番にミミちゃんを入れちゃって大丈夫ですか??」


「まあ、いきなり矢が飛んできたりはしないだろうよ」


アリッサが不謹慎な事をニヤニヤと答える。


「ちょっ!!何てことをー」


「ロジ・マジが村人に託したということは、そこまで危険な役割ではないだろう」


すかさず、ポッテヌがフォローを入れる。


「それに、こういうのは『託された者』が行かないと進めない場合もあるんだ、ごちゃごちゃわめくんじゃないよ」


アリッサにビシッとしめられて、お約束通りブランはうなだれた。



ギィィィィィィ……



重い扉が、ミミの手で徐々に開かれていく。

驚くべき事に、ずっと…おそらくは三百年近く誰も入ることのなかったであろう室内からは、ボワッと明かりがもれていた。


ミミを先頭に、一行は中へと入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ