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「これがその扉か……」
ブランの声が廊下に反響する。
目の前の赤く塗られた金属製の扉の前には、先ほどニコライから渡された鍵を握りしめたミミが立っており、ブランの後ろには、『太陽の家』の面々が興味深そうな顔で並んでいた。
長老のニコライから、ロジ・マジの伝承にまつわる話を一通り聞いた一同は、さっそくその裏づけをとるべく、湯〜ゲルンの地下に足を運んだのだ。
「まことに情けない事なのだが……わしにわかるのは、その赤い鍵の使い道だけなのだ」
これからミミが「する事」についてポッテヌに尋ねられたニコライ老の答えは、いささか頼りないものだった。
三百年前、ロジ・マジによって、ヴィシュメイガ復活の際に使うよう託された品々とその使い道は、ニーゲルン長老頭の家系によって代々受け継がれ、守られてきたのだという。
その詳細については、里の者はもとより、その家に婿や嫁にきた者にも決して明かしてはならないという決まりがあり、したがって、婿入りしたガロン村長などには、鍵の秘密も木箱の意味も全く知らされていないのだという。
「本来ならば、自分の後を継ぐ者が十五になると第一の鍵の使い道を、二十になると第二の鍵の使い道、二十五で第三の鍵、そして三十になった時に木箱の意味と、最後の秘密を教わることになっておったのだが…」
ニコライ老の父、ミミにとって曾祖父にあたる人は、ニコライが二十才になる直前にはやり病で早逝してしまったため、ニコライ老は、第一の鍵についての伝承しか聞く事ができなかったのだという。
「『第一の鍵は赤の鍵』、湯〜ゲルン地下の最も奥にある扉を開くためのものです。そこを開いた後、どのような事がおこるかは、想像もつきません。どうか皆さまには、わが孫娘とともに、ニーゲルンを救う手助けをしていただきたい」
そんなわけで、ブランといくつになっても好奇心旺盛な太陽の家のベテランチームは、ミミについて件の扉の前にやってきたのだ。




