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黒眼鏡のため、表情が読みとりづらいギリウスだが、軽く咳払いをすると、ボソボソと言葉をついだ。


「まあ確かに、ノルン様が行かれれば、雪妖ごときたやすく滅する事もできましょうが…」


「そうだろ」


「しかし、そのような事をすれば、他の二大公から非難の嵐が来る事は確実でしょう」


「スヴェン老もフィングル老も頑固だからね」


「まあ、それは…」


「おまけに恐ろしく地獄耳ときた…おお、塔の結界を強化しといた方がいいかな」


「これは…おたわむれを」


どうやらノルンは、この老魔道士と話す時には幾分くだけた口調になるようだ。


「さて、本題に戻ろう。ヒースはこっちに戻ってるね」


「はい」


「それでは、ヒースを団長として、その下に火炎魔法が得意な魔道士15名をつけ、ニーゲルンに飛ぶよう命じてくれ。人選はまかせるよ」


「かしこまりました」


「ニーゲルン近郊にて待機し、雪妖がニーゲルンから移動を開始したら人家の少ないポイントを見つけて、そこで滅するように」


「ははっ」


「失敗した時は速やかに撤退すること。もし、そうなったらグリムス陛下にお頼みして、おかかえの火炎魔道団を派遣してもらうしかないだろうね」


「さようですな」


「それに―」


「はい?」


「いや……何でもない。下がっていいよ」


「かしこまりました」


ギリウスの映像が消えると、室内はより薄暗さを増した。


ノルンは小さくため息をつくと、先ほどギリウスに言いかけた考えについて思いをめぐらした。


彼の魔道士の直感は、今回の事件が思いもよらぬ形で解決するであろう事を告げていた。


有能な予知者を呼んだり、自ら先見の術を行うことで、その詳細を知ることもできたが、それらをする気にはなれなかった。


「まあ、何が起こるかとくと拝見させてもらうとしよう」


まるで、彼のよく知る皮肉屋の老魔法使いのような言い回しだなと、ノルンは思わず苦笑をもらした。



ジジジ―



「ノルン様―」


その時、別の魔道士からの映像が浮かびあがり、ノルンは一瞬の追憶を終え、公務へと引き戻されたのだった。


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