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翌日は、雲一つない快晴だった。
朝早く「湯〜ゲルン」を出たブランとアリッサは、馬車を使わず目的地を目指した。
「あ…おはようございます!!」
森の入口に着くと、そこにはすでにミミが待っていた。
「あの、今日はわざわざありがとうございます」
ミミは、初めて話すアリッサに深々と頭を下げたが、アリッサの返事は実にそっけなかった。
「こっちの好きでやってるこった。さ、行くよ」
そう言うなり、砂利道をザクザクと進み始める老魔法使いの後ろを、ブランとミミが横ならびに追いかける。
「ごめんね、ミミちゃん。あんな言い方で」
「いえ、そんな!!」
「あの人、口と態度は思いっきり悪いけど、きっとミミちゃんの力になってくれると思…わぁぁぁ〜!!!」
前を行くアリッサが、こちらを振り返りもせず指を鳴らした途端、ブランの足をツタがからめ取り、彼は前のめりに転んでしまった。
「だ、大丈夫ですか!?あ、鼻血が…」
「平気平気、お約束だから。あれ?」
鼻を押さえながらミミを見上げたブランは、彼女の首から下げられた「あるもの」に目をやった。
「ミミちゃん。その箱って…」
それは、ひのきでできた六面体の小箱で、表面には奇妙な文様が刻まれていた。
「あ……これはお母さんからもらった物なんです」
ミミは、うれしいような悲しいような表情で、胸元の箱をそっとなでた。
「ニーゲルンの長老をつとめる、うちの家系に代々伝えられている守り箱で、母の前はおばあちゃんが持っていたんですよ」
「へえ、そうなんだ」
「あの……ブランさんの首かざりには、何か由来があるんですか??」
「えっ!?」
いきなりの答えづらい質問に、ブランは動揺を隠せなかった。
「えっと…南方のもので…」
何と説明しようかとブランが口をもごもごさせていると、いつの間に戻ってきたのか、アリッサがこちらを不機嫌そうににらんで口を開いた。
「遅い」
「あ、すみません!!…ってアリッサさんが転ばしたんじゃないですか」
アリッサは、ブランの不平を無視して、今度はミミの方へ向き直った。
「おい、娘」
「は、はいっ!!」
「今から何があっても、その箱だけは手離すんじゃないよ」
「え?」
「わかったね」
「は、はい!!わかりました」
言うだけ言うと、アリッサは再びスタスタと歩き始めたため、残りの二人もあわててあとを追いかけた。
やがて、森がひらけ、目の前に切り株だらけの土地が広がってきたが、そこにはすでに「ロジ・マジのほこら」はなかった。




