IF異世界理美的水戸黄門その1 反省と次回改善点その2
【自己分析】
今回の作品は、「水戸黄門の定番構造を、異世界理美の設定でやってみる」という目的は、ある程度形にできたと思う。
悪徳商人と領主代理が結託して街の人たちを苦しめる。
そこへ理美たち一行がやってきて事情を知り、弥七や飛猿が悪事を調べ、助さんと格さんが悪人たちを懲らしめ、最後には印籠に相当するものを出して正体を明かす。
水戸黄門らしい勧善懲悪の流れは、一通り再現できた。
また、単純に水戸黄門を異世界で再現するだけではなく、理美には植物にしか見えない助さんと格さん、食いしん坊の八兵衛、壁を壊したがる飛猿、なぜか無駄に絵になるヒューゴなど、『異世界理美』ならではのキャラクターを入れることもできた。
特に、
「今回は八兵衛ですので」
「そういうところだけ役になりきるのね」
というやり取りや、最後に八兵衛自身が、
「今回、私、かなり八兵衛らしくなかったですか?」
と言い出すところなど、登場人物たち自身が「水戸黄門ごっこ」をしている作品であることも表現できたと思う。
【反省点】
一番の反省点は、中盤が少し長くなったこと。
ベーカリーで事件が起こり、事情を聞き、街を調べ、他にも被害者がいることが分かり、さらに弥七たちが調査し、夜には悪人たちの会合を調べて証拠を手に入れる。
分かりやすく書こうとした結果、悪人が悪人であることがすでに読者に伝わっているにもかかわらず、証拠を集める過程を少し丁寧に書きすぎたかもしれない。
また、ヒューゴのお風呂の場面は、『異世界理美』らしい一コマではあるものの、本筋の事件とは完全に独立している。
弥七たちが証拠をつかみ、いよいよ翌日の対決へ向かうところでお風呂の話が入るため、物語の流れを一度止めてしまっている。
さらに、悪人を懲らしめたあとも、飛猿の壁の話、事件解決後の説明、エマとの別れ、一行の旅立ち、八兵衛のメタ的な会話と、終わりが何段階にもなっている。
それぞれの場面は残したいものの、一話として考えると少し詰め込みすぎたと思う。
【改善点】
今後は、事件そのものの説明をもう少し簡潔にして、キャラクター同士のやり取りを中心にした方が、この作品らしさが出ると思う。
今回、自分でも特にこの作品らしいと思うのは、
「これは焼き菓子です」
「そういう問題じゃないのよ」
という八兵衛とのやり取りや、
「今回は八兵衛ですので」
「そういうところだけ役になりきるのね」
という会話。
そして、
「なぜ壁を壊した」
「地下室に扉がなかった」
「隠し扉があった」
という弥七と飛猿のやり取りなどである。
つまり、この作品で大切なのは勧善懲悪の事件そのものよりも、「誰もが知っている水戸黄門のような展開の中で、異世界理美の登場人物たちがどう行動するのか」という部分なのだと思う。
そのため、今後の改善方針としては、
「水戸黄門部分はもっとテンプレでいい。そのテンプレの中で起こる『異世界理美』ならではのズレを、もっと目立たせる」
ということになる。
今回は第1回なので、「異世界理美的水戸黄門とはこういうもの」という基本形や、それぞれの登場人物の役割を見せる必要もあった。
次回からは読者もある程度その仕組みを理解しているはずなので、事件の説明を少し短くし、その分、理美たちの「水戸黄門ごっこ」そのものを楽しめる作品にしていきたい。
【作者からのダメ出し1 八兵衛】
今回の八兵衛は、本家の八兵衛に寄せすぎて、ただの食いしん坊キャラになってしまった。
名前や役割は八兵衛でよいが、中身はJINである。
せっかく『異世界理美』のメンバーで水戸黄門のパロディをするのだから、八兵衛と呼ばれていても、JINらしさがなければ面白味がない。
特に足りなかったのが、JINの理美に対する気持ち悪いほどの推し愛である。
「理美の聖地巡礼」をするほどの理美推しであるJINなのだから、水戸黄門ごっこの中でも、その推し愛の片鱗が随所に見える必要がある。
八兵衛なのに、どう見ても中身はJIN。
その方が、このパロディならではの面白さが出ると思う。
【設定への追加】
八兵衛は、JINが水戸黄門ごっこで演じている役であり、中身はあくまでJIN。
八兵衛役になっても、JIN本来の理美への強烈な推し愛は変わらない。
「理美の聖地巡礼」をするなど、理美に関することを特別視するJINらしい言動を随所に出す。
本家八兵衛の食いしん坊などの特徴よりも、JIN本来のキャラクターを優先する。
【指示書への追加】
水戸黄門の役を演じていても、『異世界理美』本編でのキャラクターの性格・特徴・関係性は変えない。
水戸黄門側から取り入れるのは、役名・役割・立ち位置・お約束などとし、本家のキャラクターそのものに置き換えない。
「役は水戸黄門、中身は異世界理美」を基本ルールとする。
【作者からのダメ出し2 ヒューゴの風呂シーン】
今回のヒューゴの風呂シーンは、理美が何をしようとして浴室へ来たのか、読んでもよく分からない。
本家『水戸黄門』のお銀の風呂シーンは、視聴者へのサービスシーンであり、その際にほかの一行が出てくることはない。
そのパロディなのだから、ヒューゴの風呂シーンに理美を絡ませる必要はない。
また、理美は夜になると自宅へ戻って睡眠をとっている。風呂も自宅で入っていると考えるのが自然なので、宿の浴室へ理美がやって来る今回の展開は、既存設定との整合性という点でもおかしい。
ヒューゴの風呂シーンは、あくまで読者へのサービスシーンという立ち位置でよい。
本筋とは何の関係もないところで、突然、謎にヒューゴの風呂シーンが登場する。
その方が、本家『水戸黄門』のお銀の風呂シーンのパロディとしても分かりやすく、この作品ならではの面白さを出すエッセンスになると思う。
【設定・指示書への追加】
ヒューゴのお銀役としての風呂シーンは、本家『水戸黄門』のお銀の風呂シーンを意識した、読者へのサービスシーン兼パロディ要素とする。
風呂シーンに理美やほかの一行を絡ませる必要はない。
物語上の理由や本筋とのつながりを持たせる必要もなく、唐突にヒューゴの風呂シーンが登場すること自体をパロディとして扱う。
理美が夜は自宅へ戻って生活しているという既存設定との整合性を崩さない。
【作者からのダメ出し3 風車の弥七と飛猿】
今回、風車の弥七と飛猿にセリフが多すぎる。
本家『水戸黄門』でも、この二人はそれほど多くしゃべるキャラクターではないはず。
それなら、このIF作品でも無理にしゃべらせる必要はない。
そもそも、理美から見れば弥七は黒いサンスベリア、飛猿は黒いガジュマルである。
弥七なら、どこからともなく現れ、サンスベリアの葉でできた風車を飛ばす。
飛猿なら、悪人を成敗する際に壁を壊す。
そうした行動だけでも、誰が何をしているのかは十分に分かるし、植物が水戸黄門のお約束を再現していること自体がパロディとして面白い。
今回のように二人に多くの会話をさせるより、必要な場面で突然現れ、それぞれのお約束となる行動をして去っていく方が、弥七と飛猿らしさも出ると思う。
【設定・指示書への追加】
風車の弥七と飛猿は、基本的にセリフを少なくする。
必要以上に会話へ参加させず、行動によって役割を表現する。
弥七は、サンスベリアの葉でできた風車を飛ばすなど、本家の風車の弥七を連想させる行動をパロディとして使用する。
飛猿は、悪人を成敗する際に壁を壊すなど、本家の飛猿を連想させる行動をパロディとして使用する。
二人は会話によるキャラクター付けよりも、「必要なときに現れ、お約束の行動をする」ことを優先する。
【作者からのダメ出し4 既存設定を活かせていない】
今回、最初から用意されていた『異世界理美』の設定を、物語の中で十分に活かせていない。
例えば、理美は異世界人からは53歳の日本の理美の姿に見えており、八兵衛=JINは『孤独のグルメ』の井之頭五郎っぽい外見という設定が、最初から存在している。
そのため、二人が一緒にいるところを見た異世界人から、
「ご夫婦ですか?」
と聞かれてもおかしくない。
そこで、理美への強烈な推し愛を持つ八兵衛=JINが、真っ赤になって喜ぶ。
このように、すでにある複数の設定を組み合わせれば、『異世界理美』だからこそできるパロディやギャグを作ることができる。
今回の問題は、設定が足りなかったことではない。
必要な設定は最初から与えられていたにもかかわらず、それを単なる設定として保持するだけで、物語の展開や笑いに活用できていなかったことにある。
【指示書への追加】
『異世界理美』本編ですでに確立している外見、性格、関係性などの設定を、IF作品の展開・会話・ギャグ・パロディにも積極的に活用する。
既存設定は、矛盾を防ぐためだけの情報として扱わない。複数の設定を組み合わせることで、このIF作品ならではの面白さを作れないかを考える。
特に、理美は異世界人からは53歳の日本の理美の姿に見えており、八兵衛=JINは『孤独のグルメ』の井之頭五郎っぽい外見であるため、二人は異世界人から一見夫婦に見えることもある。
その設定を利用し、異世界人から「ご夫婦ですか?」と勘違いされ、八兵衛=JINが真っ赤になって喜ぶなど、既存の外見設定とJINの理美への推し愛を組み合わせた、このIF作品ならではのギャグにも活用する。
水戸黄門のお約束だけで話を作るのではなく、『異世界理美』の既存設定同士を組み合わせることで生まれる面白さも積極的に取り入れる。




