99ー仲がいい?
俺の肩に乗ったガンちゃんが、当たり前のように言った。
「久しぶりやな、カリーナ様やん」
「ガンちゃん、きおくないって」
「あー、そっか。そうなんか」
「何!? なにかしら!?」
ほら、カリーナ様が驚いているから自己紹介しな。
「ワイはガンちゃんや。ベルの使い魔やで」
「まあ! なんて可愛いんでしょう!」
カリーナ様が手をパチンと合わせて目を輝かせている。この反応って前の時と同じだ。嬉しいなぁ。
「まるっきり一緒やん!」
「なー」
ふふふ、ガンちゃんも言ってる。カリーナ様は前の時も初めてガンちゃんを見た時に、今と同じ反応をしたんだ。
俺もガンちゃんも、とっても可愛がってくれた。
だからガンちゃんはカリーナ様のいる領地にお使いに行くと、なかなか帰ってこなかった。きっと、至れり尽くせりだったのだろう。
記憶はないとしても、同じ反応をしてくれるのはとっても嬉しい。また仲良くできそうに思えるから。
「ゲイブ、使い魔って何なのかしら?」
「大奥様、実はベルは竜族なのですよ。それで使い魔がいるんです」
「まあまあまあ! 竜族なの!? ならドラゴンになれるのかしら?」
「おー、あたぼう」
「何を偉そうに言ってるんだ。まだチビだろう」
やっぱブレイズ様って、うぜー。
「ちっ」
「だからベル! 舌打ちするなぁッ!」
「ふふふ、仲良しなのね」
「お祖母様! 違います!」
俺だって、ちげー。ハッ! 俺って気付いてしまった。そうか、そうなのか?
もしかしてブレイズ様って、俺のことが好きなのか? 好きすぎて、ちょっかい出してしまうみたいな? 拗らせちゃった男子かよ。
「ベル、何を考えているんだ?」
「ブレイズちゃまって、もちかちて、おれがちゅき?」
「なんでだよ! なんでそうなるんだ!」
「うふふ」
あら、お嬢が笑ってるよ。まるでお花の精霊さんみたいにさ。
「きゃわいぃー♡」
「ベル、心の中が駄々洩れやで」
だってお嬢が可愛いのだから仕方がない。
その時俺はカリーナ様に、ガシッと両肩を掴まれた。
「ねえ、ベル。ドラゴンを見てみたいわ」
キラキラした目で見ている。こういうとこは、少女みたいだ。好奇心旺盛というか、興味津々なんだな。
「いいじょ」
「まだベルは、チビドラゴンだけどな」
「待て、ベル。まだ体力が戻ってないだろう?」
「あ、ちょうらった。ちょっとだけなら、へいき。みてな」
そう言って、俺はポポンとチビドラゴンになって空を飛んだ。
「キュィーッ!」
黒い翼をパタパタと動かして、空を飛ぶ。陽の光に漆黒の鱗が輝いている。
ふふふん、どうよ。かっちょいい俺の姿は。
「まあ! 可愛い! 本当に小さいのね!」
「ベルー! かわいいわー!」
可愛いじゃねーって。かっこいいと言ってほしい。まあ、確かにまだチビドラゴンだけど。
皆の頭の上を旋回して元に戻る。
「かっちょいいらろ?」
「ベル、とってもカッコいいわ!」
ふふふん、やっぱカリーナ様には分かるんだよな。俺のこのかっちょいいドラゴン姿がさ。
「やっぱりチビだな」
「うるちぇー」
「なんだとぉー!」
「あらあら、本当にブレイズとベルは仲良しなのね」
「お祖母様! これのどこをどう見たら仲良しなのですか!」
「そんなところよぅ」
俺もブレイズ様は遠慮しておく。ブレイズ様じゃなくて、お嬢がいいもん。
トコトコと、しっかりとお嬢の隣に並ぶ。ちょっと、おすまししちゃったりして。
「ね~、おじょう」
「ベル、かわいかったわ」
「ちょう? もっとおれがげんきになったら、いっちょにとぼうな」
「ほんとう? たのちみにちてるわ」
ナデナデ。おっと思わずお嬢の頭をナデナデしちゃった。うひょひょ、今日はこっちの手は洗わねー。
「ベル! ネネから離れるんだ!」
グイッとブレイズ様に引っ張られちゃった。
「ちぇ、ブレイズちゃまって、おじゃまむち」
「ベルー!」
テッテケテーと逃げる。今日はお嬢をナデナデしちゃったから、ここら辺で許してやろう。
「アハハハ! ベルはホンマにマヌケやなぁ!」
「えー、ガンちゃん」
「けどな、可愛いで! めっちゃ一途やん」
「ふふふん」
脱線しちゃったけど、カリーナ様は親方が作ったインカムが気に入ったらしい。ずっと手に持って見ている。
前に親方が、領地で作ったと話していた物とは違うだろう? ずっと使いやすくなっている。
「親方、これって私も欲しいわ。領地で使えるでしょう?」
「大奥様、これはお邸の敷地中限定なんだ。領地内で使えるほどのパワーはないぞ」
「そうなの? それじゃあ駄目よ。ね、あなた」
「お? おう」
カリーナ様が来てから、借りてきた猫みたいに大人しいフラン爺。
なのにカリーナ様のそばにくっついてる。好きなんだね。
フラン爺って、本当は小心者なんじゃないか? 大胆なことをするくせに。
「ちゃんと領地で使えそうなのを作ってあるぜ」
「さすが親方だわ!」
ちょっと待ってな、と言って親方は作業場へ戻って行った。
あれだ、前に改良した物だな。領地には魔石が設置してあるのだから、いいよな。
これでフラン爺は
領地のどこにいても、カリーナ様に呼び戻される運命になる。
「フランじい、がんば」
「ベル、何を言うか」
「カリーナちゃまの、おもうちゅぼ」
ちょっと肩を落としている。でも、黙ってウロウロするからだ。それは仕方ない。
一応、領地の一番偉い人なのだから。なのに、黙ってここまで来てしまうし。そりゃ、カリーナ様に叱られるよ。
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