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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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100/106

100ーおしどり夫婦

 そのフラン爺が小さな声で俺に言い訳をしてきた。俺に言っても仕方ないぞ。


「ベル、今回は仕方ないだろう? なにしろ、ほら。記憶がだな」

「あー、ちょうらった」


 フラン爺だけ前の時の記憶があったのだものね、そりゃあ困惑するだろう。

 でも一言言ってから来ような。


「いってくるね~って、カリーナちゃまに、いえばいいんら」

「言えば、行かせてもらえないだろうが」


 ああ、確信犯だ。これはいけない。でも今回だけは、慰めてあげよう。お嬢のピンチだと、飛んできてくれたのだから。

 自分だけが持っている未来の記憶は何なんだ? と思いながらも。

 仕方ないなぁ。フラン爺はカリーナ様には弱いから。


「それで、あなた。すっきりしたのですか?」

「カ、カリーナ!」

「あなたが何か悩んでいることくらいは、分かってましたわよ。柄にもなく、考え込んでいたじゃないですか」

「カリーナァッ!」


 皆が見ている前だというのに、フラン爺はカリーナ様を抱きしめた。

 体育会系のフラン爺が、愛しみが溢れるような繊細な手つきで。

 なんだ、バレバレじゃん。フラン爺ってカリーナ様の手のひらの上で、クルックル踊らされてないか?


「ふふふ、おばあちゃまと、おじいちゃまはいちゅもああだわ」


 そうだね、本当は仲良しだものね。オシドリ夫婦って感じだ。

 俺はフラン爺もカリーナ様も大好きだ。また会えて嬉しいよ。


「そういえば、ブレイズ。あなた外に出ていて平気なの?」

「え? あ、お祖母様。もう完璧ですよ」

「おれのおかげ」

「ベル、それは言うな」


 今回は何もしてないけどな。でも前の時に、俺が制御する手伝いをしてやったことは本当だ。

 カリーナ様にとっては、まだその頃のブレイズ様のままなんだ。

 本当なら別邸にこもっていた頃だ。なのにいつの間にか、普通に外に出ている。一緒に遊んでいるのだから、そりゃ驚くだろう。


「ブレイズは天才なのね」

「お祖母様、それは大袈裟ですよ」

「ふふふ、そうかしら。だってまさか、こんなに早く制御するなんて思わなかったわ」

「おれのおかげ」


 ボソッと言っておこう。それより親父、お喉が渇いたぞ。


「なんだ、ベル」

「おのどがかわいた。じゅーちゅねえ?」

「そうだな。大奥様、取り敢えず中に入りましょう。お茶をご用意しますよ」

「そうね、そうしましょう」


 じゃあ、俺の出番だな。ちょっと簡単なお茶請けでも作ってこよう。


「おやじ、りょうりちょうのとこいってくる」

「ああ、何か頼んだぞ」

「おー」


 ガンちゃんが大人しく俺の肩に乗っている。ニコニコしているから、もう期待しているんだ。

 お昼ご飯前だから、かる~い物がいいな。爽やか~な感じのが。

 トコトコと調理場へ向かう。先にジュースを貰おうっと。


「りょうりちょう、おのどかわいた」

「おう、ベルか。オレンジジュースでいいか?」

「おー」


 ヨイショと丸椅子に座ると、料理長がジュースをくれた。コクコクと飲む。

 前のテーブルで、ガンちゃんも貰っている。ポテッと足を投げ出して座っている。お行儀が悪いぞぅ。


「なに言うてんねん、ワイはこうしか座られへんっちゅうねん」

「大奥様が来られたんだってな」

「ちょうちょう」


 だからさ、ちょっと小洒落た軽いものを作ろうかなって。おっと、料理長がもう準備している。何も言わないのに、鍋を持っていたりして。


「何作るんだ?」

「ちょうらな~、くだものある?」

「おう、果物はいつも色々用意してあるぞ」

「おじょうが、ちゅきらから」

「アハハハ。お嬢様だけじゃなくて、奥様もお好きだからな」


 ふむふむ、じゃあその果物を何種類かカットしてもらって。


「苺はあれか?」

「おじょうのだけ、おれのらぶ」

「アハハハ」


 苺はもう覚えてくれた。ハートに見えるようにカットしてくれている。

 オレンジもいいな、あとはキウイとか。一口大にカットして、冷やしておいてもらおう。


「えっちょ、かためるの」

「ゼリー寄せみたいにするのか?」

「ちょうちょう。ちょれの、ちゅめたいの」

「ああ、いいな。爽やかだ」

「うん」


 この世界ではゼラチンがあるんだ。といっても、俺の前世にあったような使いやすい物ではない。

 まだまだ原始的なものだけど、貴族が野菜のゼリー寄せみたいに見た目に拘って作っていたりする。

 こんにゃくみたいに、プルンプルンしていて固形だ。それを必要な分だけ湯で溶かして使う。原料はきっと同じだと思う。


「ちょこに、ちょっとおちゃとう(砂糖)と、レモンをちぼ()ってまぜまぜ」

「おう、混ぜるんだな。少し甘味を感じる程度か?」

「ちょうちょう」


 フルーツも甘いから、ゼリーまでしっかり甘くすると甘すぎる。だからほんの少しだけ。


()かちたら、()やちて」

「これだけで、冷やすのか? フルーツは入れないのか?」

「あとで」


 見た目も可愛くだ。今日は早く作りたいから裏技を使って冷やそう。


ばっと(バット)にうちゅ~く」

「深い容器じゃなくて、浅いのか?」

「ちょうちょう」


 そして俺の魔法で冷やす。あんまり一気に冷やすと、透明にならなかったり硬くなりすぎたりするから、少しずつソヨソヨ~ッと冷たい風を送る。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


100話です!あともう少しで追いつきます!

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