101ー召し上がれ
俺は風魔法にしているけど、氷魔法でもいいよ。ただし、ゆっくりとだ。
「ほう、なるほどな。そうしたら早く固まるのか」
「ちょう。れも、やりちゅぎたら、ちっぱいちゅる」
プルンとした硬さになったらオッケーだ。食感や喉越しも大事だ。
出来上がったゼリーとフルーツを盛り付けよう。
「かためたのを、フォークでくだくの」
「フォークでか? ボロボロになるぞ?」
「あら~くれいい」
「こんな感じか?」
「ちょうちょう」
うん、良い感じだ。ゼリーの大きさが不揃いな方がいいんだ。食感に変化をつけてってな。
透明な容器があるといいな。見ていた料理人が、冷たいものだからとガラスの器を用意してくれた。気が利くね。
少し深さのある涼し気なガラスの器に盛ってもらおう。
「ふるーちゅ、じぇりー、ふりゅーちゅ、じぇりーっていれる」
「へえー、よく考えたもんだな。可愛いじゃないか」
「うん、おじょうのは、おれのらぶいれて」
「アハハハ、分かってるって」
良い感じじゃないか? ミントの小さな葉を飾ったりして。
「おう、お洒落じゃないか」
「ベル、味見させてや」
「俺も」
はいはい、どうぞー。みんな食べてみて。
「同じゼリーなのに、食感が違っていいな」
「うめー」
「カリーナちゃま、じゅっとばちゃだったから」
「そうだな、果物だと優しくていいな」
「ちょうちょう。おひるごはんまえだち」
これを持って行ってもらおう。もう、メイドさんがスタンバっていた。もしかして、食べてみたい? と出すと、嬉しそうな笑顔になった。
「これいいな、果物を変えたらまた味も違ってくるだろうし」
「ホイップとか、あいちゅとかも」
「おー、そうだな」
そうそう、良い感じにデコレートしてくれるといいよ。
俺のラブが入っているのはお嬢に。メイドさん間違えないでね。そう思って見ていると、ニッコリされちゃった。
そのゼリーをみんなに食べてもらう。見た目もいいだろう?
「どーじょー、めちあがれ」
「まあ、綺麗ね」
「ベルは色々考えるわね」
今日は旦那様は登城していて留守だ。カリーナ様と奥様が二人で器を持って眺めている。
「カリーナちゃま、たべて。ちゅかれてるだろうから」
「ベルは優しいのね」
だって何日も馬車に乗ってきたのだから。
「ベルは点数稼ぎが上手いんだ」
「ブレイズ、そんな言い方は駄目よ」
「はい、母上」
良い返事をしているけど、俺にはフンッてお顔をしている。なんだ? 文句があるならブレイズ様は食べなくてもいいぞ。
「どうせあれだろう? ネネには入っているのだろう?」
「おれのらぶ」
よく分かるな。さすが俺のストーカーのブレイズ様だ。
「ブレイズちゃまは、おれのちゅとーかー」
「ベル、なんだって? そんなわけないだろう!」
はいはい、テレなくてもいいよ。俺はドンと受け止めてやるから。ふふふん、俺はブレイズ様より大人だからね。
「なあに? ラブなの?」
「ちょう、おれのらぶ」
「おばあちゃま、いちごをハートにかわいくきってくれているのでちゅ」
「それでラブなのね。ふふふふ」
いや、だから俺の気持ちだって。お嬢は分かってる? 分かってくれてないと困るんだけど。
「それより、あなた。ちゃんと話してくださいな」
「お、おう……」
ゼリーを食べていたフラン爺の目が泳いでいる。これって、ちゃんと説明できそうもないぞ。
仕方ないな、俺が助け船を出してあげよう。
「フランじいは、おじょうのぴんちをかんじとったんら」
「そ、そ、そうなのだ!」
「ネネがピンチだったの?」
「ちょうちょう」
「お義母様、実は……」
奥様が上手く記憶のことに触れないで説明してくれた。第2王子の婚約者を決める目的だろうお茶会があったって。
王妃様が主催だから断れなくて、でもお嬢は婚約者に選ばれたくなくて。
「そうなのだ! 私はネネが心配だったのだ!」
急に元気になったフラン爺。機転が利かないってどうなの? あー、だから領主に向いてないのか。
でもさすがに、未来の記憶があることは話してはいけないと思っている。
それを自分だけあるのはどうしてだ? と戸惑っただろうに、よく黙っていたと思う。
フラン爺なら、カリーナ様に話していそうだもの。いや、カリーナ様なら話してもいいと思うよ。
時を巻き戻したなんてとんでもない話でも、ドンと受け止めてくれそうだ。
「第2王子殿下は……まだ幼いのに優秀な方だと聞いているけど」
「そうなのですが……少し、傲慢な一面もあるのです」
奥様ったら結構ハッキリ言った。確かに傲慢で自分は偉いと思っている。
下手に頭が良いから余計なんだ。そして、王妃もそれを注意したりしない。
王子の教育係はどうなのだろう?
「でもネネに決まるとは限らないでしょう?」
「カリーナ、それが他の公爵家に同年代の女の子はいないのだ」
「それは……困ったものね。それでネネは、婚約者になりたくないのね?」
「あい、おばあちゃま。じぇったいにいやなのでちゅ」
お嬢の訴えに、カリーナ様は真剣に耳を傾けてくれた。
まだ3歳の子供の言うことなのに、ぞんざいに扱うこともなく。お嬢の気持ちを理解しようと、ちゃんと向き合ってくれた。
あの時何があったのか実際に見てもらう方が早いと、奥様はあのお茶会の時の映像をカリーナ様に見せた。
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