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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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90/100

90ー気になる

 少し時間は戻るが、俺はちょっと気になることがあったんだ。

 お茶会の帰りの馬車で、お嬢は俺を隣に呼んだ。


「ベル、よこにちゅわ()って」

「おー」


 むふふ、いいのか? お嬢の隣に座ってもいいのか? それはラッキーだ。

 俺が座るとお嬢は、深呼吸をするみたいにゆっくりと大きく呼吸をした。


「ベル、ありがと」

「おー」

「ふふふ、そうね。私からもお礼を言うわ」

「どーってことねー」

「ベルがきてくれて、あんちん(安心)ちたの」

「いちゅでも、おれはおじょうをまもる」

「うん」


 そんな話をしていたら、お邸まですぐの距離なのにお嬢は俺の肩に頭を乗せて眠り出したんだ。

 お嬢の寝息が耳元で聞こえる。これはなんだ? 何かのご褒美か? え? 俺ってこんなご褒美もらってもいいの?

 なんておバカなことを思っていた。


「ネネはショックだったのだわ」

「奥様、あれは驚きますよ」

「そうね、私もすぐに身体が動かなかったわ」


 だってまさか第2王子が、お嬢の腕を掴もうとするなんて誰も思わない。

 貴族って、幼い頃から男女間の距離を教えられる。周りに変な誤解をされないように。

 どんな些細なことが、自分や家系の足を引っ張ることに繋がるのか分からないから。

 高位貴族になるほど、それは厳しく言われる。

 相手は第2王子だ。貴族の頂点、王族だ。そんなことは教わっていて当然なんだ。

 なのに、あの行動だ。お嬢はそれは怖かっただろう。ショックだったのかも知れない。

 それが強いストレスになって、眠ってしまったのかも。

 俺が気になったのはそれだけじゃない。お嬢を起こさないように、小さな声で話す。


「おくちゃま、おじょうはまほう(魔法)ちゅか(使)った?」

「魔法? 今までにかしら?」

「ちょう、おじょうは、ちゅかえるはじゅ()ら」

「そういえば……使ってないわね」

「ベルちゃん、お嬢様はまだ3歳よ。魔法はこれからでしょう?」


 そっか、アイレは前の時の記憶がないから。


「ベル、後で私の部屋に来なさいな」

「おー」


 アイレの前では話し難い。それにすぐにお邸に着いちゃった。

 馬車の扉を開けた親父が、ちょっぴり驚いていた。お嬢が俺にもたれて眠っていたから。


「ゲイブ、ネネを部屋に運んでちょうだい」

「はい、奥様」


 親父に目配せをする。話したいことがあるって。

 お嬢を部屋に寝かせてアイレに任せ、親父は俺のところにやってきた。

 まさか帰りの馬車でお嬢が眠っているなんて、思わなかったのだろう。開口一番に聞いてきた。


「ベル、何があった?」

「おやじ、じちゅは」


 お茶会であったことを説明した。

 親父は少し目を見開き、驚きの色を浮かべていた。そして大きなため息をついた。


「なんだそれは」

「おれが、あいだにはい()った」

「そうか」

「ちょれからおうじ(王子)と、おう()がきた」

「な、なんだと!? 陛下と第1王子殿下がか!?」

「ちょうちょう。まどうぐ(魔道具)()いてた」

「そうか、殿下にはお渡ししていたから」

「ちょう」


 それより親父、気になることがあるからこれから一緒に奥様の部屋に行こうぜと。親父と一緒に向かった。


「なんだ、気になることって」

「おくちゃまと、はなちゅ」


 奥様は部屋で待っていてくれた。オヤツを食べられなかったでしょうと言って、蒸しパンを用意してくれていた。


「らっきー」

「ふふふ、ヒューゴが食べさせてくださいと言って持ってきたわ」


 あー、料理長だ。俺にもっと肉をつけようと、日々色々食べさせてくれる。


「感想を聞きたいと言っていたわよ」

「おー」


 最近料理長は、蒸しパンにハマっているらしい。昨日も蒸しパンだった。

 入っているものを変えてくれるのだけど、だけど蒸しパンだ。

 そろそろ違うものが食べたいから、また調理場へ行こう。


「ベル、食べながらでいいわ。ネネの魔法ね」

「ちょうちょう」

「ゲイブは気付いていたかしら?」

「いえ、前の時ですとまだ先でしたから」

「でしょう? 私も何も考えてなかったわ。でもベルに言われて、そう思ったのよ。どうして使えるのに一度も使わないのかしらって」


 そうなんだ。そこが俺が気になったことだ。

 お嬢は時を戻す前に、最上級魔法が使えた。その能力をそのまま引き継いでいるはずだ。だってブレイズ様がそうだから。

 それは前の記憶がある者は皆そうだから、お嬢だけまだ使えないなんてことはない。

 俺は巻き戻す時に、そんな制限はかけていない。だって巻き戻すだけで精一杯だった。


「それは……ベル、どういうことなんだ?」

「おじょうが、わじゃ()と、ちゅかわないんら」


 そこが問題なんだ。どうして自分で使わないようにしているのか? それとも、もしかして使えないのか?

 それはお嬢に確認してみないと、正確なところは分からない。だけど考えられることがある。

 そんな真面目な話をしているのに、蒸しパンの匂いに釣られて出てきたヤツ。


「めっちゃいい匂いするやん!」

「あー、ガンちゃん」

「ベル、なんで一人で食べてんねん。わいも食べるっちゅうねん」


 はいはい、たくさんあるから食べな。ガンちゃんの顔より大きいけどな。


「うまッ! やっぱ料理長のスイーツは美味いな!」


 蒸しパンをスイーツに分類して良いものなのかどうか?

 いや、そんなことはいい。それよりもだ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


そして! ハルちゃんの4巻と、ロロの5巻も発売中です!

どちらもコミカライズ連載中です!

よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゜


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

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