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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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88/100

88ーモーニングコール

 実際にブレイズ様から苦情が出てる。

 今朝も使用人用の食堂で朝食を食べていると、ブレイズ様が乗り込んできた。

 おとなしく座って食べている俺の側までやって来て、バンとテーブルを叩いて睨んできた。

 なんだ? 朝から、ウゼー。なんて思っていたのだけど。


「ベル! 朝から、もちもちうるさいんだ!」

「ブレイズちゃには、もちちてない」

「だって聞こえるだろう! しかもなんだ! あの内容は!」

「だって、おじょうはかわいい」

「可愛いのは分かってる! 僕が言ってるのは、そこじゃない!」


 はて、そこじゃないとな? なんて俺はすっとぼける。


「今朝、ネネに話したことを今ここで言ってみろ!」

「えー、ひみちゅ」


 モグモグと食べながら俺は返事をする。隣にいる親父の肩が揺れている。あ、これは親父も聞いていたな。


「おやじ、きいてたな」

「アハハハ! あんなもん聞きたくないわ!」


 爆笑されてしまった。今朝の俺のモーニングコールだ。


「もち〜、おじょう、おはよ」

「ベル、おはよう」

「きょうも、おじょうは、こえ()もかわいい」

「ふふふ」

あちゃ()から、ちぇいれいちゃん(精霊さん)()いにいこうかな」

「あら」

「おじょうは、ちぇいれいちゃんみたいに、かわいい」

「ふふふ、ベルったら」

「ぎゅーって、ちたい」


 こんな感じの可愛いモーニングコールだ。これを毎朝やってる。俺ってお嬢一筋だから。


「ベル、はよ(早く)改良してもらうほうがええで」


 お口にいっぱい入れてるから、ほっぺを膨らませながらガンちゃんが言う。

 そうだな、俺もお嬢と二人だけの秘密にしたいし。だってブレイズ様ったら、勝手に聞いておいて酷いんだ。


「気持ち悪いからやめろ! ネネの清廉さが汚される気がする!」

「ちッ」

「だから舌打ちするなー!」


 なんて言うんだ。酷くね? だから今、親方に頼んで改良中だ。

 チャンネルみたいな機能を追加できないか、試行錯誤している。

 発信側が思った人に繋がるように。なんかアバウトな感じなのだけど。

 俺は要望を言って魔力を流すだけで、実際に考えて作るのは親方だ。

 改良しているうちに、どんどん性能が上がっている。

 あれだけ、魔石を建てないと無理だ! なんて言っていたのに、今はそれもクリアしている。

 要は、魔石が必要なだけの魔力を流せば良いんじゃね? ということに今更気が付いた。

 ホルハティ家は皆魔力が多い。血縁者じゃない親父だって膨大な魔力量を持っている。親父は竜族のハーフだから当然なのだけど。

 あの料理長だって普通より多い魔力量があるんだ。

 なら、魔石に拘る必要があるか? てことに気付いた。

 一番持っていなければいけないフラン爺も、魔力量が多くて普段はだだ漏れだ。

 どうしてその歳で、魔力操作ができてないんだって話なんだけど。

 その有り余る魔力を使って魔道具を使う。そして、自分が思った人とだけ話せる機能が付けば完璧だ。

 で、王はその魔道具を旦那様に聞いたと。


「知らないうちに、シュテファンも持っているじゃないか! どうして私が持っていない!」

「えっちょぉ……ちらねー」

「ベルー!」


 いやいや、両肩を掴まれちゃってもね。お顔が近い、近すぎる。

 イケオジだな、しかもイケボかよって、それはいい。お顔を近付けるのはお嬢だけでいいぞ。

 その王が、俺の肩辺りを見て言った。


「ん? 今日もガンちゃんはいないのか?」


 この王って、もしかしてガンちゃんを気に入ってるのか? お茶会の時も、ガンちゃんのことを聞いてきた。


「あくうかんにいる。よぶ?」

「ああ! ガンちゃんは楽しいからな!」


 はいはい、ガンちゃんお呼びだよ。


「呼ばれて飛び出てガンちゃんやー!」


 お馬鹿なことをいいながら、ポポポンと飛び出てきたガンちゃん。調子がいいんだから。


「おー! ガンちゃん!」

「なんや、わいがおらん(いない)と寂しいか?」

「アハハハ! ガンちゃん、久しぶりだな!」


 王ったらそんなことを言いながら、ガンちゃんを抱っこしている。

 ええー、ガンちゃんったらいいの? そっちに行っちゃう? 俺の使い魔なのに?


「だってな、王は美味しいもんをくれるんや」


 あ、餌付けされちゃってる。モモンガだけに?


「なんでやねん! わいは知能の高い魔モモンガやっちゅうねん!」

 

 いつの間に貰ったのか。小さな手に大きなクッキーを持っている。それって料理長が作ったクッキーじゃね? なら王から貰わなくても、お邸にあるぞ。


「え? ベル、そうなんか? わいは騙されとったんか!?」

「ちらねー。くいけ(食い気)はち()るからだ」

「なんでやねん! 美味いもんは美味いっちゅうねん」


 意味が分からない。だからお邸にあるって。


「そうやったわ」


 そう言いながら、ソファーセットのローテーブルの上に足を伸ばして座り、自分の顔より大きなクッキーに齧り付いている。

 ガンちゃんって足を曲げられないの?


「ベル、それはどうでもええことやで」

「ちょう? きになったの」


 だって足が短いから関節があるのかな? なんてさ。


「短いんとちゃうっちゅうねん! そこは間違えたらあかん! わいは体自体が小さいからやっちゅうねん!」


 はいはい、ガンちゃんがいると賑やかだ。


「ワッハッハッハ! ガンちゃんは面白いな! その言葉もどこで覚えた?」

「なんや? わいの一族はみんなこうやで」

「そうなのか?」


 ふむふむと、ガンちゃんをガン見している王。おっと、洒落じゃないからね。


お読みいただき有難うございます!

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