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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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86/100

86ーラスボス登場

 第1王子ったら、今日は特にキラキラして物語に登場する王子様みたいだ。

 第2王子ほど着飾っていないのに、この王子の方がキラキラして見える。

 これは見た目だけじゃない。内面が伴っているかだ。

 第1王子は、自分の立場故の責任や、今まで積み重ねてきたことの自信がオーラとして現れているんだ。

 以前お邸に、一緒に来たことのある護衛のティムの顔も見える。

 キリリとした顔を作っているのだけど、ちょっと困っているように思えるのは気の所為かな?


「シュテファン、あなたには関係ないでしょう?」

「ええ、母上。私は関係ありません。しかし今日のお茶会に婚約の話も関係ありませんね」

「それは私の自由でしょう? シュテファンには関係ないことだわ。口出ししないでちょうだい」

「そうではないな」


 おっと、ラスボスの王の登場だ。側近や護衛を引き連れて、堂々と王様がやってきた。

 王子の何倍キラキラしているだろう? あれは洋服の所為なのか? それともやっぱオーラか? 

 そんなことはどうでもいい。それよりも、王や王子も出席するなんて、予定にはなかったはずだ。だって王妃主催のお茶会だから。

 全員が慌てて、頭を下げる。まさか王子だけじゃなく、王まで登場するとは一体誰が想像できただろう。俺はまったく思いつかなかったぞ。

 それに、どうした? せっかくのちびっ子の交流会なのに、戦場みたいにピリピリしてしまっている。

 控えていた従者たちも、自分が仕えている夫人とちびっ子のそばまで行っている。もちろんアイレも、お嬢のすぐ後ろで控えている。


「王妃、あれだけ何度もしつこいくらいに言い聞かせたというのに、これは一体どういうことだ?」


 顔はにこやかに微笑んでいるのだけど、目がとっても怖い。激オコじゃないか? おお、こえー。

 この王ってこんなだっけ? 公爵様たちと一緒の時とは、全然違うじゃないか。

 あの時はフレンドリーな王だな、なんて思ったのに、めちゃくちゃ威厳がある。威圧感まで感じる。

 そう思っていたのに、いきなりニカッと笑っておれの頭を撫でた。


「ベル、偉いぞ。守ったのだな。今日ベルが来ているとフランヴァに聞いて、顔を見にきた」

「えっちょ、おひちゃち(久し)ぶりでちゅ?」

「アハハハ! 疑問形か? 今日はガンちゃんはいないのか?」

「おれの、あくうかんにいる」

「そうか、今日は会えないのか。それは残念だ。さて、王妃」


 王妃を見る王の目付きが、一瞬で変わった。後ろにいる側近や護衛たちの目も鋭い。

 ああ、とうとうやっちまったぞって、みんな思っていそうだ。

 王に睨まれて、一瞬たじろいだ王妃だけどすぐに持ち直した。口元を引きつらせながら、平静を装っている。


「陛下、わざわざどうされました?」

「だから今言っただろう? ベルに会いにきたんだ。それよりも王妃、聞き捨てならないことを耳にした」

「あら、何でしょう? 今日は子供たちの交流を目的にしておりますのよ。皆仲良くしておりましたの」

「そうか? 私はネーネルファ嬢の泣き声を耳にしたが?」


 そう言われた王妃は、いきなり振り向いてお嬢を睨みつける。

 そんなことをしても無駄だ。俺の後ろにしっかり隠しているから、いくら睨んだってお嬢には見えねーよ。

 変わりに俺が睨み返してやろう。なんだったら、ファイティングポーズもとってやろうか?


「私はすべてを見ていたぞ。シュテファンもそうだな」

「はい、父上」


 クッと声にならない声を出して、王妃は自分の顔半分を扇子で隠した。その扇子に隠した表情はどんなだろうな。


「君はいつからそうなった。婚姻した当初はそうではなかったのに、私は残念だ」

「陛下!」

「それにシリス、お前のその思考はなんだ? 教育係にそう教わったのか?」

「ちちうえ! ははうえが、れいじょうはだれでも、こんやくしたがっていると、おっしゃってました! わたしは、おうじだからです!」


 王妃の刷り込みだったのか。それを悪気もなく、堂々と言ってしまうのだから何も考えてない。

 それが正しいのかどうか、判断できないんだ。言われたままのことを、疑いもせず信じている。

 まだ4歳だから……そう言ってしまえばそうなのだけど。

 でも第2王子って天才なのだろう? それくらい考えられなくて、何が天才だよ。

 王がスッと片手を上げると、警備をしていた騎士が近寄ってきた。


「王妃とシリスを連れて行きなさい」

「はッ!」

「陛下! 今日は私が主催のお茶会ですわ!」

「え!? ちちうえ!」

「君は金輪際公の場に出なくて良い。シリスも自分の部屋にいなさい」

「な、な、なにをおっしゃいます!? 私は王妃ですのよ!」

「後で話そう」


 王が手をヒョイと振ると、騎士が否応なく王妃と第2王子を連れて行った。

 そこに残された俺たちはどうしたらいいんだ? 公爵家の奥方は未だしも、他の奥方が真っ青な顔をしている。


「ベル、僕も役に立っただろう?」

「え? れんか(殿下)?」


 第1王子が、さりげなく胸元を示す。ああ、魔道具が光っている。もしかして、それで聞いていたのか?


「ふふふ。また魔道バイクに乗せてほしいな」

「いちゅれも、おいれ!」

「ありがとう」

「なんだ? シュテファン、なんの話だ?」


 ふふふと、王子と二人で含み笑いをする。ね~、なんてお顔を見合わせたりなんかして。


「父上、ベルは楽しいですね」

「アハハハ、そうか。ベル、また遊びにくるといい」

「あい、ありがとごじゃましゅ」


 王妃がいなくなると、前に会った時のような雰囲気の王に戻っていた。


お読みいただき有難うございます!

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