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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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80/100

80ーお茶会会場

 護衛の騎士に先導されて城内を奥へと入って行く。

 今日は高位貴族の子供たちだけだと聞いているから、お茶会は中庭でするのかな?

 遅れないようにトコトコと歩きながら、周りを窺う。

 等間隔に、黒の団服に白のアクセントカラーの騎士が立っている。

 あれは第3騎士団だ。ふむ、そこは妥当なとこだ。いつも王城を警備している騎士団なら、どこが死角になるかも熟知しているだろう。

 まあ、いざとなったら俺は飛ぶから空まで追いかけてはこられない。ふふふん。


「ベルちゃん、抱っこしましょうか?」


 アイレが聞いてくる。なんでだよ、俺って従者枠で参加するのに抱っこしてもらっていたら意味がない。


「へいき」

「そう? 辛くなったら言ってね」

「おー」


 俺ってそんなにひ弱に見えるのか? そりゃそうか、ガリガリだもんな。チビのガリガリくんだ。

 トコトコと警戒しながら無言で歩く。敵は王妃と第2王子だけじゃないからな。だって不審者がいないとは限らない。

 城の中央辺りを過ぎると、外廊下から中庭へと歩みを進める。

 やっぱ中庭だな。しかも、中央より奥の方にある庭だ。ここは下位貴族は入れない場所だ。打倒なところか。

 あの、ぽよよ~んなえせ聖女は子爵令嬢だっていうから今日は呼ばれてない。

 どうにかして入ろうとしても、この場所には入って来られない。まだちびっ子だから、そんな悪知恵もないだろうし。

 なんだっけ? いつ出会ったのだっけ? 確か、お嬢が学校、じゃなかった。この世界では学園っていうんだ。そこに通うようになってからだったよな?

 そんなことを考えながら歩いていると、黒地に黄色のラインのアクセントカラーの入った団服を着た騎士たちが囲むように等間隔にたっている中庭に着いた。

 あれは第2騎士団だ。貴族の護衛を第1騎士団にさせて、会場の守備を第2騎士団にさせ王城全体は第3騎士団だ。

 ふむふむと、俺は周りを見渡す。


「ベルちゃん、従者はこっちよ」

「おー」


 ここでお嬢や奥様とは分かれる。少し離れた場所で従者やメイドは待機する。

 会場を見渡せるようになっているから、何かあれば飛んでいくぞ。

 広くなっている中庭に、豪華な切花が飾られた真っ白な丸いテーブルセットがいくつも並べられている。

 その一つのテーブルにお嬢と奥様は案内されて座っている。


「あ、わちゅれてた」

「なあに?」


 お嬢に王子が来たら、ずっと魔道具に魔力を流しておいてねって言うのを忘れてたぞ。

 これはいかん、ブレイズ様に叱られる案件じゃないか。ブレイズ様のことだから、後でネチネチと言ってくるぞ。


「アイレ、ちょっとおじょうとこいく」

「もう始まるからすぐに戻ってくるのよ」

「おー」


 テッテケテーと走って行く。他にも貴族のご令嬢がいるのだけど、やっぱうちのお嬢がダントツでプリティーだぜ。なんて思いながら。


「おじょう」

「ベル、どうちたの?」

「あのな」


 コチョコチョコチョとお嬢の可愛らしい小さな耳に、囁くように話して伝える。

 ふふふ、ちょっと得した気分だ。お嬢の髪が俺の頬を撫でていく。ひょ~ッ、良い香りがするぜ!


「わかったわ」

「ブレイズちゃまが、きいてるからな」

「まあ! だからあの子は私の分を欲しがったのね」

「ちょうちょう」


 奥様は側から離れないでね。奥様の胸にはキララ~ンと光る魔道具が揺れている。これってやっぱ大きいよな。


「もうちょっと、ちっちゃいほうがいい」

「これでしょう? そうなのよ、重さもあるのよ」

「おやかたにいっとく」

「ええ。ベル、もう戻りなさいな」

「あい」


 もっとお嬢の側にいたかったな。なんて思いながら、戻ってアイレの側にチョコンと立つ。

 周りを見ても、俺みたいなちびっ子が従者として来ているのは俺だけだ。

 このちびっ子は何なんだ? みたいな目で見られている。

 俺ってやっぱ可愛いから。ふふふん。


「ベルちゃん、どうしたの?」

「ちびっこは、おれだけだな」

「ふふふ、そうね。一番可愛いわ」


 そうだろう、そうだろう。しかもそれだけじゃないんだぞ。結構つよつよだぞ。

 ちょっと胸を張って立っている俺に、お嬢がふふふと笑いながら小さく手を振ってくれた。

 ひょーッ! 今日はなんていい日なんだ! お嬢が俺に向かって手を振ってくれた。思わず俺も振り返す。

 いや、ちょっと気を引き締めよう。親父が今日は真面目にやれって言ってたから。

 お嬢と奥様が座っているテーブルには、他の公爵家の奥様と子息が座っている。

 以前旦那様が、公爵家に第2王子と近い年齢の女の子がいないと言っていたように男の子ばかりだ。

 気に入らねーな、男の中にお嬢一人が女の子じゃないか。

 城の王族の生活圏に近い中庭だ。ここは普段は入れない場所だ。高位貴族といえども、王族の許可がないと入れない。

 王妃ご自慢の、色とりどりの花が咲き乱れる花壇が見渡せる場所で近くには真っ白なガゼボもある。

 少人数だと、きっとあそこでお茶でもするのだろう。

 ここからだと、建物に入ると真っ直ぐに王族の生活圏に入ることができる。

 今日は高位貴族限定のお茶会だから、この場所が選ばれたのだろう。

 今日は良い天気だ。暑くもなく肌寒くもないポカポカ陽気だ。


お読みいただき有難うございます!

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