79ープリケツ
「おやかた、これをもっとこがたにできねー?」
「あ? 小さくか?」
「ちょうちょう。おじょうがもっても、いわかんないように」
「それはちょっと待て。魔力回路を一から組まないといけないだろう? それがワシはできん!」
「ええー」
なんだよそれ、今目の前で修復してたじゃん。
元があって部分的な修復はできるけど、何もない状態から作るのは無理ってことか? それ、おしいな!
「だから分解したかったんだ!」
ああ、な~る。そういうことなのね。でも分解は待ってほしい。今日使うから。
「よし、母上に相談してこよう」
ブレイズ様が走ってお邸に入って行った。自分が話せる魔道具を持っていたいものだから、張り切っているんだ。
「ベル、ただのお茶会だろう? どうしてそんなに気を付けているんだ?」
「いろいろあるんら」
「そうかよ。まあワシは何もできないからな」
何言ってんだ、親方はブービー賞じゃなくて、なんだっけ。あ、そうそう、MVPだって。
今のところ、一番活躍しているぞ。ま、これから俺が盛り返すけどな。
「ちょんなことねー。おやかた、ちゅごい」
「そうか? ワッハッハッハ」
まだ余裕がある見たいだからさ、親方。
「これも、きれいにちて」
「おう! 任せとけ!」
今、改造してもらったばかりの魔道具の大きな魔石に、同じように飾り彫りをしてもらう。
奥様が持っていても、あら、ちょっと珍しいペンダントね。て見える程度にさ。
その間に俺は、そろそろお昼ご飯を食べようっかな~。そんなことを思っていると、親父が呼びに来た。
「ベル、昼飯だ」
「おー」
「なんだ、もう昼飯か?」
「きょうは、おれ、ちょっとはやいんら」
「お茶会があるからか?」
「ちょう。はやくたべて、おひるねちゅる」
「アハハハ! 昼寝かよ。まだちびっ子だからな」
ちゃんと食べないと、力も出ないからな。食べてお昼寝して、それからお着替えもしなきゃ。
そうして俺は少し早めにお昼寝から起こされて、またメイドさんに着替えさせられた。
今はお嬢と奥様とアイレと一緒に馬車に乗っている。
ギリギリまでブレイズ様がまとわりついて、ちょっとウザかった。
「ベル、本当に大丈夫なのか!? 頼んだぞ! ネネも我慢しなくて良いのだからな!」
と、しつこく言ってきた。まあ、心配なのだろうね。手にはしっかり、奥様が持つはずだった魔道具をゲットしていた。
馬車に乗せてくれる時に、親父が俺に言った。
「今日は真面目にやれよ」
「なにいってんら、いちゅもおおまじめだ」
親父はニカッと微笑んで、俺の頭を力強く撫でた。
せっかくメイドさんが綺麗に梳かしてくれたのに、クシャクシャになるじゃん。
「奥様、どうかお気をつけて」
「ええ、ゲイブ。頼んだわね」
「はい、いってらっしゃいませ」
穏やかに微笑みながら、軽く頭を下げている。
ちょっと気持ち悪いじゃんなんて思っていた。いつもツンデレさんな親父なのに。
あの笑顔ができるのだから、今回親父は本当に心配していないようだ。
なんでだろう? 俺にはさっぱり分からん。
それより、この馬車も親方に改造してもらおうぜ。俺の可愛いプリケツが割れてしまいそうだ。
きゃー、もう二つに割れてるぞ! なんてね。
お嬢は大丈夫か? お嬢の隣に座りたかったのに、俺はアイレの隣だ。正面に奥様とお嬢が座っている。
何? 誰か馬車に妖精のお人形を忘れちゃったか? そんなおバカなことを考えてしまうくらいに、可愛いお嬢だ。
表情を見ている限りでは、怖がっているようには見えない。プリティーすぎて、思わず見惚れちゃうよね。
でも重大なことを聞かないといけない。
難しいお顔をして、胸の前で腕を組み考える。俺は決心して思い切って聞いてみた。
「おじょう、おちりわれてね?」
「ベルったら、女の子に何を聞いているの」
「だっておくちゃま、おちりがいたい」
骨に響くぜ。馬車ってこんなだっけ? 覚えてないけど。これは絶対に親方に頼もう。
「ふふふ、ベルちゃんはお肉がないからですよ」
「アイレ、ちょう?」
「あたちはクッションがあるから、へいきよ」
「おれ、ねーじょ」
そしたらアイレにヒョイと抱き上げられて、お膝に乗せられた。
おふ、極上の天然クッションじゃないか。背中にもクッションが二つ当たるぞ。いやいや、まいったね。
「ふふふ、ベルったら」
「アイレ、ありがと」
「はい。ベルちゃんは、まだまだ食べないといけませんね」
「おー」
今日のところはアイレに甘えておこう。俺のプリケツの方が大事だから。
そうはいっても、城にはすぐに着いた。
城を囲むように貴族のお邸は建っていて、近くなるほど高位貴族の邸が並んでいる。だから四代侯爵家の邸は一番城に近い。
俺だけならトコトコと歩いて行くのだけど、貴族はそうはいかないらしい。面倒だ。
城門をくぐり奥へと進んで行く。一番奥の馬車停めで馬車は止まった。そこからは徒歩だ。
外から馬車の扉が開けられる。今日は子供とその母親だけだから、男性の騎士が一家に一人ずつ護衛に付いてくれる。
黒の団服に赤色のラインのアクセントカラーが襟と袖に入っているから、これは第1騎士団だ。
いつもは王子を護衛している第1騎士団が付くのか。ほうほう、それは気合が入っている。
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とうとう運命のお茶会です!




