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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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69ー焦っている?

 当日魔道具を持っているのが、会場にいる奥様とお嬢と俺だ。お邸では、フラン爺と親父。城にいる旦那様。

 あと一組は第1王子と護衛に渡す。

 

「万が一の時はベルの判断で、ネネを連れ出してほしい。その時は、家や周りのことは考えなくていい」

「あい、だんなちゃま」

「おとうちゃま、だいしょぶでちゅ」


 お嬢はそう言うけど、皆は心配なんだ。

 前の時の記憶を持ったまま巻き戻ってから、お嬢は一度も第2王子に会っていない。会ってみて、どう感じるか分からないだろう?


「おじょう、むり(無理)ちないで、おれをよんで」

「ええ、わかったわ」


 冷静でいられるはずがないと思った。

 俺がこの邸にやって来て確認するまで、この記憶は何だろう? と思っていたかも知れない。

 ただの悪夢だと思っていたのかも知れない。

 今はそうじゃないと皆理解している。前の時に実際にあったことなんだって。

 そう、皆頭では理解しているんだ。だけど実際に、その原因になっている第2王子と会ったらどうなのか? お嬢の心がどう反応するかだ。

 お茶会の前日、夕食後に皆が集まっている時に聞いてみた。旦那様は城で第2王子と会ってないか? その時、どう感じた? てさ。


「滅多に城の奥から出て来られないんだ。やり直しているのだと分かってから、私はお会いしていない」


 旦那様も会ってないのか。どうなのだろう? 今までと同じように、冷静でいられるものなのか?

 俺は無理だぞ。超ムカついているからな。お嬢に何してくれてるんだって思っている。隙があれば、ぶっ飛ばしてやりたい。

 拳を作ってファイティングポーズをとり、思い切り片手を前に出す。パンチするみたいにさ。


ちゅっちゅっ(シュッシュッ)て」

「ベル、何を言ってるんだ?」

「おやじ、おれは、むかちゅく。ぶっとばちてやりてー」

「ベルは冷静でいないと駄目だ。それができないなら、お嬢をお守りするなんてできないぞ」

「なんれらよ。バコーンって、ぶっとばちたらいいんら」

「だからそれは駄目だと言っているだろう」

「えー」

「ベル、殴る前にネネを連れ出してくれ」

「おー、だんなちゃま、まかちぇろ!」


 なんならチビドラゴンになって飛ぶぞ。それからガンちゃんの転移でお邸まで一瞬だ。


「わいに任せんかいな!」

「なー! ガンちゃん」


 第2王子がお嬢に近寄ってきたら、すぐに割って入ってやる。そう思うと拳に力が入るってもんだ。


「だが、前の時とはかなり違っているだろう? 前は第1王子が来られることはなかった」

「そうね、いろんなことが変わっていますわよね」


 奥様も、何か感じたのだろうか?


「王妃はシュテファン王子の婚約が、かなりショックだったのでしょう? 殿下の話を聞いて、焦っておられるように感じましたわ」

「あの王妃は、何もかもをご自分の思う通りに進めようとされる。以前はこれほどではなかっただろう」

「あなた、前の時にクァンイン侯爵令嬢が毒で倒れたなんて聞いたかしら?」

「いや、毒に限らず倒れたなんて話は聞いたことがないはずだ」

「今回はどうしてそこまで、手を出されたのかしら?」


 ほうほう、そこも違ってきているのか。


「よほど焦っておられるのかしら?」

「もしかして、シュテファン殿下は完璧に王妃をシャットアウトされたのかも知れないぞ。それで余計にムキになっておられるのではないか?」

「父上もそう思われますか。よほど婚約を無かったことにしたいのでしょう」

「でもそれは無理でしょうね。王子殿下はそれが分かっていて、王妃には内緒で陛下に直接話されたのじゃないかしら?」


 あれだな、第1王子は全く自分の母親を信頼してないんだ。それだけ、心が傷付くことがあったのだろう。


「ああ、シュテファン王子のあの話を聞くと、クァンイン侯爵令嬢が側にいて良かったとさえ思うな」

「そうですわよ、お寂しい思いをされたのでしょうね」

「でも僕が見ている限りですが、物心がつくとすぐに割り切っておられたような気がしますよ?」


 幼い頃から王子の遊び相手として、時々登城しているブレイズ様だ。

 それも前の時はなかった。こうして王子が来ることなんてなかったかし、接点もなかった。

 前の時だと幼い頃は、ブレイズ様は別邸から出られなかったからだ。

 なのに今は普通に生活をして、王子のお友達なんてことになっている。それも第1王子のだ。

 第2王子でなくて良かったよ。あれ? それって話はなかったのかな? 第2王子の側近候補に、丁度いい年齢だと思うぞ。

 第2王子より少し年上で、諭し見守れる歳って感じでさ。


「ブレイズちゃま、あいちゅの、おともらち(友達)にってはなち()はなかった?」

「何を言ってるのか分からないぞ」

「ガンちゃん、おねがい」

「ベルは、ブレイズ様が第2王子の友達にって話はなかったんかって聞きたいんやんな?」

「ちょうちょう。かんぺき」

「当たり前やないか」


 ふぅ、もうちょっと普通に喋られたらな。それまでガンちゃん通訳を頼む。


「おう、わいはベルの使い魔やからな。任せとき!」

「第2王子の……それはなかったわね。あなた、何かご存じかしら?」

「ああ。第2王子は同年代とは、交流できないだろうと判断されたんだ」

「まあ、そうなのですね」


 同年代と交流できないって、なんだそれ? 単純に意味が分からないぞ。


お読みいただき有難うございます!

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