68ー秘密だぁッ!
「ベル! お前なんてことを思っとるねん! わいは、有能な使い魔やっちゅうねん!」
あれ? それって前にも聞いたぞ。
「けろ、だんなちゃま。ガンちゃんのてんいは、ちってるひとの、とこちかだめ」
「ああ、今日殿下とお会いしたから大丈夫だろう?」
「もちろんや!」
ガンちゃん、ちょっと調子に乗ってないか? 本当に大丈夫なのか? 俺はちょっと不安だぞ。
転移はできてもその転移した先が、どうなっているか分からないだろう?
「あ、そうか。そういうこともあるんか」
「ちょうちょう」
「ベルが一緒やったら平気やん」
「ガンちゃんだって、まほうはちゅかえる」
「そうやけどな。転移してすぐはちょっとキツイなぁ。わい、そんなに器用とちゃうからな」
なんだよ、有能なんじゃなかったのか? 言いたいことは分かってるけど。
転移してすぐはどうしても一瞬の隙ができてしまう。それは仕方ない。俺が一緒に行くさ。
「ベルもガンちゃんも頼んだ」
「おー」
「任されたで!」
そう言って自分の胸をポンと叩いて、ケホッと咽ている。めっちゃ不安じゃん。
「それは何ですか? 話せるって何ですか?」
護衛のティムは部屋にいなかったら魔道具のことを知らない。なら、説明してあげて。念のために、ティムにも持たせるか?
「だんなちゃま、ティム」
「ん? 殿下の護衛だろう? 私は城で何度も会っているから知っている」
旦那様の職場は城だから、そうだろう。でも俺が言いたいのはそうじゃなくて。
「そうか、ベル。ティムにも持たせるか」
「ちょうちょう」
王子と護衛、一緒にいることが多いだろうけど、もしものことを考えて用心に越したことはない。
「ティム、これは秘密だぞ! 誰にも話してはならない! 守れるかぁッ!?」
「はいッ! 厳守します!」
おやおや、テンションが同じだ。そんな大声で言ってたら、秘密にならないじゃないか。
親方がティムに説明すると、めっちゃ驚いてた。目を輝かせながら。
「マジッスか!? そんな物を作れるなんて、親方は天才ッスか!?」
「ガハハハ! どうよ!」
「ティム、君はすぐに言葉が乱れる」
「あ! 申し訳ありません!」
旦那様に注意されているし。これは何度も注意されていそうだ。
「殿下、これテストしましょう!」
「僕はさっきやったからいいよ」
「そんなことをおっしゃらずに! 私が離れます!」
珍しいから使いたくなるのは仕方ない。ティムが、門の方へ走って行った。
「あんなに離れてもいいのかな?」
「殿下、何言ってんだ! ここと城とで話せるって言ってんだろう」
「親方、そうだったね、それにしてもこれは便利だ」
遠くから、いいッスよー! て声が聞こえてきた。だから、魔道具で話そう。あ、しまった。
「ティムに、もち〜って、おちえてない」
「ワッハッハッハ! ベル、そこは拘るとこではないな!」
ええー、そう? ならいいけど。でも、王子は『もち〜』て話しかけてね。
「ティム、聞こえるかな?」
あれ? 『もち〜』はどうした? 門庭の方から、凄い! 聞こえるッス! て大きな声がした。魔道具の意味がない。
「アハハハ、だからティム、普通に話せるんだって」
それからはティムも分かったらしくて、王子と少し話していた。
「城の壁が問題なんだ」
「城壁もあるし、城内も入り組んでいるしな」
「旦那様、そうなんだよ。まだパワー不足だな」
使っている魔石が小さいから。なら、小さな魔石をいっぱいくっつけるってどうよ?
「おやかた、ブローチのまんなかにな」
俺は考えたことを説明した。ブローチって、真ん中に大きめの宝石を使っている物があるだろう。あれみたいに大きくする。
なんならその表面に飾り彫りをしたっていい。アクセサリーっぽいだろう?
そして周りの枠にも細工の飾りみたいに、小さな魔石を付けるんだ。そして耳の方にも全面に小さな魔石を付ける。それでカバーできないか?
「なるほどな、どうせブローチ型にしているんだからな」
「ちょうちょう」
「よし! 作るぞ!」
親方は作業場に走って行った。思いついたら作ってみないと気がすまないんだ。
それが完成して動作確認をしたら、王子に渡している物と交換することに決まった。
その日は、夕方近くまで遊んで王子は帰って行った。護衛も一緒になって、はしゃいでいた。何回魔道バイクに乗るんだってくらい、気に入って乗っていた。
護衛だからって、引いて見ているよりずっといい。こうして一緒に遊ぶことで、信頼感も生まれるってもんだ。
王子の突然の来訪はあったけど、お茶会に向けての準備もしていた。
親方がすぐに試作品を作った。俺も魔力回路を組む時にしっかり手伝わされた。お茶会まで日数がない。毎日親方に呼び出されて魔力を流し、計8個出来上がった。
「これなら王都を離れない限り使えるぞ」
親方が太鼓判を押した。そしてお茶会前日に、また皆が集められた。
「ベル、一つ渡しておく。当日はアイレと一緒に会場に入ってくれ」
「まかちぇろ」
俺も一つ魔道具を渡された。前のは魔力を流しながら話す。新しい物もそこは同じなんだけど、使う前に魔石に魔力を溜めておくことでパワー不足を補う。
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