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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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63/100

63ー魔道バイク

 三輪車の時とは全然違う。しかも漕がなくていいんだ。フワーッと風で髪が靡く。広い裏庭を一周だ。

 これってエコだよな。だって魔石で動いているから、公害もなにも関係ないし。しかも音も静かだ。

 ブレーキを少し握ってみると、ちゃんと思ったとおりに減速してくれる。

 これはいいぞ。これの大きいのを作ったら、大人も乗れるじゃん。小さくても良ければ、これでも十分に乗れそうだ。

 裏庭を軽く一周して、戻ってきた。お嬢の横に、キュッとかっちょよく止まった。ちょっとお顔もキリリと格好つけて。ふふふん、俺に惚れてもいいんだぜ。


「ちゅごいわ! ベル、はやいのよ!」

「めっちゃいいよな!」

「ベル! 次は僕だ!」

「だめ、ちゅぎ()はおじょうをのちぇ(乗せ)る!」

「おにいちゃま、ちゅぎは、あたちでちゅ!」

「ネネは僕が乗せるって!」


 はいはい、もうお嬢は乗る気で後ろに回ってるし。三輪車の時に乗ってるから、慣れたもんだ。

 だけど、三輪車よりスピードが出るから気を付けないと。お嬢に怪我なんてさせられない。


「おじょう、()っかりおれにちゅか()まって!」

「ベル! いいわよ!」

「よち! ちゅっぱ~ちゅ(出発)!」

「ちゅっぱ~ちゅ!」


 ゆっくりとアクセルペダルを踏んで、徐々にスピードを出していく。お嬢は怖がってないか?


「ベル! もっとはやく!」

「おー!」


 全然大丈夫そうだな。これって二人乗りになっちゃうから、本当は危ないのだけど。お嬢も安全に、一緒に乗れるように何か考えないとな。

 少しずつアクセルを踏んでいく。お嬢はなかなかのお転婆さんだ。怖がる素振りもなく、俺の肩を持ってバランスよく乗っている。


「きもちいいのよ~!」

「おじょう、ちゃんともってないと、あぶないじょ!」

「へいきよ!」


 お嬢の手が俺の肩を持っている。その感触でドキドキしてソワソワして落ち着かない。

 まるで肩に心臓があるみたいにドクドクして、そこに意識が集中する。ああ、こんな幸せなことがあるのだろうか!


「ベル、お前はほんまに、一途なんやな!」

「あたりまえ」

「今度こそ、頑張らんとな!」

「おー!」


 ガンちゃんったら、風は大丈夫か? 尻尾が風に靡いてるぞ。被膜がパタパタしないか?


「何言うてるねん! こんなスピードなんて、どうってことないっちゅうねん」


 ガンちゃんが被膜を使って飛ぶ時は、もっと早いもんな。

 裏庭を一周してブレイズ様の待つ場所へ戻る。今度は待ってくれないらしい。


「ベル! 交代だ!」

「ええー」

「ふふふ、おにいちゃま、とってもきもちいいわよ!」

「そうか! ネネはまた後で一緒に乗ろうな!」

「ええ!」

「アハハハ! ブレイズの印象が変わっちゃったよ!」


 王子もそんな俺たちを見て、良い笑顔で笑っている。


「次は殿下ですよ!」

「ええ? 僕も乗るの!?」

「当たり前ですよ!」


 そう言ってブレイズ様は走って行った。最初にアクセルペダルを踏みすぎて、ちょっとびっくりしている。

 加減が分からないんだな。だってこの世界にはこんな乗り物なんてないから。まだ三輪車に乗ったことがあるから、少しはマシだけど。


「ネーネルヴァ嬢は怖くないの?」

じぇんじぇん(全然)こわ()くないでちゅよ! たのち(楽し)いでちゅ!」

「アハハハ、そうなんだ」


 俺は親方に、ちょっと話を聞こうかな。


「おやかた、まえ()にいってたのは?」

「あん? なんだっけか、カートだったか?」

「ちょうちょう」

「あれはな、ちょっと待て。難しいんだ」

「ちょう?」

「ああ。今ブレイズ様が乗ってるのは、ここにあったのを手本にしたからすぐだったけどな」

「あー、ちゃんりんちゃ」

「あんだって?」

「ちゃんりんちゃ」

「えっと、三輪車か?」

「ちょうちょう」


 なるほどね、あの三輪車を手本に作ったってことか。それでも魔石で自動にするアイデアは超いいぞ。しかもカッコよくなってるし、親方は天才か!?


「おやかた、あれの()っきいのをちゅく()ったら、おとな(大人)ものれる」

「大人もか、そうだなぁ」


 あれれ? 親方の反応が微妙になっちゃった。どうして? と思っていたら、フラン爺が待ったをかけた。


「ベル、あれはここでは邸の外で乗っては駄目だ」

「フランじい、どうちて?」

「量産できないだろう? あんなもん、親方にしか作れないだろう。なら、争いの元になる」


 ええー、勿体ないなぁ。絶対に便利だぞ。前とか後ろに荷物を載せられるような籠を着けたら、お買い物に超便利じゃん。

 重くてもへっちゃらだし、馬車みたいに場所を取らないし。


「お前が思うことは分かるが、駄目だ。だが、領地ではかまわんぞ!」

「ええー、じゅりー(ズルイ)

「ワッハッハッハ!」


 フラン爺ってそういうとこ適当だよな。なんで領地ならいいんだよ。領地だって王都だって一緒じゃん。


「ベル、ちゃんと理由があるんだよ」


 話を聞いていた王子が教えてくれた。


「どうちて?」

「王都は人も多いし、貴族も多い。新しい便利な物には飛びつくだろう。でも作り方が分からないとなると、今度は親方を手に入れようとする者も出てくるだろう。そうなったら危険だ。だけどホルハティ家の領地なら別だ。フラン爺が長だからね」

「ちょんなもんか?」

「そうだよ。だからあれは秘密だ。話せる魔道具も秘密だよ」

「へえ~」


 なんだ、せっかくの親方の発明なのにね。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ご存じの方もおられるかと思いますが、カクヨム様で先行投稿しているものです。

こちらに投稿する前に読み返して、小さな修正を入れてます。

あちらでは、117話まで投稿してますので先が気になる方は是非(^◇^;)

ですので、微妙な表現が変わっている場合があります。

ご了承くださいませ(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゜

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