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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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62/100

62ー新作

「よろしく。この話せる魔道具は凄いね!」

「おう、そうだろう! 領地だともっと離れてても話せるんだけどな!」

「そうなの?」


 そこからまた親方は、領地に魔石を設置していることを説明して。

 それは俺はもういいんだ。それよりも早くこれに乗りたい。

 親方が工夫してみたと言って作った物。それは三輪車をバージョンアップさせた物だ。

 同じ三輪で子供用の小さい物なんだけど、前世でいうと子供用電動バイクってとこかな。これってミニバイクみたいでカッコいいじゃん。

 三輪車なんだけど、それよりしっかりとしたボディに作ってあって本格的だ。黒にアクセントで使っている深紅のボディーが光っているぜ。

 真っ黒のサングラスはないか? ブイブイ言わせて走りたいぞ。何も知らないのによく作ったものだ。

 電気はないから、さっき親方が言っていたように魔石で動く『魔道バイク』とでも呼ぼう。これって魔力を流したら自動で動くんだよな? だって漕ぐペダルがないもの。


「おじょう、いっちょにのろう?」

「ええ! かっこいいわね!」

「ベル! 何言ってるんだ! ネネを最初に乗せるのは僕だ!」

はや()いもん()ち」

「僕は兄だぞ!」

()らねー」


 兄だからなんだってんだよ。俺が先にお嬢を誘ったのだから、一番は俺だ。決まりじゃん。


「なあなあ、ベル。これって前のより速いんか?」

「うん、たぶん」

「なんか、かっちょいいやんな」

「なー」


 親方、早く乗りたいぞ。魔石に魔力を流すんだろう? 早くしようぜ。


「おやかた、はやく()よう」

「おう! この魔石に魔力を溜めてくれ」


 親方が出してきた魔石は、三輪車に入れた物より二回りほど大きな物だった。


「親方、その魔石は領地から持ってきたのか?」

「おう、大旦那様。そうだぞ」

「これに使っても良いのか?」

「だってもう話す魔道具は作ったから、構わんだろう?」


 ほうほう、話せる魔道具にこんな大きな魔石を使うつもりだったのか。

 それって携帯するのに邪魔だな。というか、これくらいの魔石じゃないと、離れた場所で会話できないってことだよな。

 そりゃそうか、だって領地には魔石を設置してあるのだから。


「なんだい? これに乗るの?」

「殿下、そうですよ。これは魔力を流すと動くそうです」

「へえ~、馬が必要なくなるね」

「でもこれはちびっ子用ですね」

「アハハハ、小さいもんね」


 大分、王子の言葉も崩れてきた。部屋で話していた時は、大人みたいな話し方だったけど。

 こうしていれば、ちょっとしっかりした子供って感じだ。それになにより、目がキラキラしている。初めて見る魔道具に興味津々なんだ。

 そんなことを考えながら、俺は魔石に魔力を流そうとしていた。とにかく満タンにすれば良いのだろう? だから一気にドバッとだな。


 ――パキーンッ!


「あれれ?」


 俺の手の中にあった魔石が、木っ端滲んに割れてしまった。なんでだ?


「ベル! 一気に流し過ぎたぁッ! 勿体ねーことしやがって!」


 え? ごめんね。でもまだそれほど流してないぞ。あれれ~? 親方が慌てて割れた魔石を回収している。また何かに使うのだろうな。


「ワッハッハッハ! ベルは竜族なのだから、もっと手加減をしないといかんぞ!」

「ええー」


 だって早くお嬢を乗せて走りたいのだもの。二人一緒に風になるってどうよ!? 超嬉しいじゃん!


「おやかた、べちゅ()のちょう()い」

「仕方ねーな。今度はもっと手加減しろよ」

「おー」


 手加減か。じれったいな。割れちゃうから仕方ないけど。俺は親方に貰った魔石を小さな手で包むように持ち、少しずつ魔力を流していく。


「魔石が割れるのなんて、初めて見たよ。竜族は違うんだね」

「まあ、チビドラゴンですけどね」

「アハハハ。ブレイズはそこに拘るんだ」

「だって、チビですから」


 ブレイズ様だって今はちびっ子なのに、自分で分かってないのか?

 だんだん魔石の色が変わってきたぞ。もうそろそろいいんじゃないか?


「おやかた、いろ()がかわった」

「おう、もういいな」


 親方は魔石を、サドルシートをパカッと開けてそこにパコンとはめ込んだ。今回は細かい回路も一緒に組み込んである。

 三輪車とは性能が違うだろうと期待も膨らむ。これは楽しみだぞ。


「おやかた、のっていい!?」

「おう! 最初からあんまり飛ばすんじゃないぞ!」

「わかってる!」


 取り敢えず、まずは一人で様子見だ。俺はサドルに座る。少し幅広く作ってあるフットレストの先端の方にアクセルペダルがついていた。

 それを踏んでスピードを調整し、ハンドルについているブレーキレバーを握って止める。

 ハンドルの握る部分に、小さな魔石がついている。これに魔力を流しながら走るんだな。よし、早速魔力を流すぞ。

 俺が魔力を流すと、ヘッドライトがペカペカッと点滅した。おお、凝ってるじゃん。


「よし、いいぞ!」

「おー! おじょう、ちょっといっちゅう(一周)ちてくる!」

「ええ! きをちゅけてね!」


 くぅ~! 気を付けてねだって! 超可愛い! 何を言っても可愛い!

 出掛ける時に『気を付けてね』なんて言われると、行くのが嫌になってしまうな! 即行で回れ右して『ただいま』て言ってしまうぞ。


「ベル、もうええって。はよ(早く)、行こーぜ!」

「おー」


 ガンちゃん、突っ込まなくていいから。何も言わなくてもハンドルの真ん中に乗って、スタンバっているガンちゃん。


「ちゅっぱちゅ!」


 アクセルペダルを軽く踏むと、ゆっくりと走り出した。もっと踏んでスピードアップだ。


お読みいただき有難うございます!

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宜しくお願いします。

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