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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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54/102

54ーみんないた

「くるまえに、クロックムッシュたべたとこ」

「なんだって?」

「陛下、クロックムッシュです」

「それを私は知らないぞ」


 他の公爵も知らないと首を振っている。あれれ? そうなの? 料理長は普通に作っているぞ。


「うちの料理長は一時期、王都の店で修行をしていた所為でしょう」

「ほう、そうなのか?」

「はい、王都民が食べるような物も作りますから」

「それは珍しいな」

「けろ、ちょー()うめー」

「本当に美味い。この肉は最高だ」


 さっきから、ゲブソル・ティエーラは肉しか褒めていない。


「このプリンもそうなのか? 王都ではこのようなものが食べられているのか?」

「ああ、それはこのベルの考案だ」

「なんだとッ!?」


 えっと、急に皆で俺をガン見するのは止めてほしい。

 いくら気さくに話してくれるといっても公爵だ。眼力があるってもんじゃない。


「えっちょ、プリンはあま~くて、おいちい」

「おう、確かに甘くて美味い。ベルは料理ができるのか?」

「できねー」


 だってまだちびっ子だし、この小さな手では作れない。ほら、と手を開いて見せる。


「アハハハ! そうだな、まだちびっ子だから無理だな」


 さて、用事は終わったしガンちゃん帰ろう。と俺は立つ。


「ベル、もう帰るのか?」

「うん、おじょうとあちょ()んでたから」

「そうか、届けてくれてありがとう」


 おう、いいぜ。これくらいお安い御用だ。

 一応、公爵たちと王様にペコリと頭を下げる。


「アハハハ! お利口じゃないか」


 王がそう言ってるけど、笑っているからあんまり褒めているように思えない。


「ガンちゃん、かえろ」

「おー、ほな行くでー!」


 じゃーなー! と、ガンちゃんを頭に乗せて、俺は手を振りながらペカーッと光って消えた。

 その後、マジで消えたぞ。なんて言われていたことは、俺は知らない。

 シュンッと転移して調理場に戻ると、料理長が待っていた。


「ベル、お渡ししてくれたか?」

「おー、みんなうま(美味)いってたべてた」

「んん? みんな?」

「みんなって、どなたがいたんだ?」


 なんだ、親父も待っていたのか? そりゃ、悪かったね。ちょっとゆっくりしちゃったから、待たせちゃったかな?


「えっちょぉ、フランじいとこうしゃく(公爵)おう()


 俺がそう言うと、親父がビックリ目になってしまっている。なんで? てか、みんなは昼飯食べたのか? お嬢は食べたのかな? 俺の分は?


「ベル、公爵と王と言ったか?」

「ちょうら」


 俺もちょっと食べようかな? いや、クロックムッシュ食べたしな。


「ベル、わいは、なんか食べたいで」

ちゃ()っきも、()べてたのに」

「あんなん、食べたうちに入れへんっちゅうねん」


 よく食べるガンちゃんだ。食い意地が張っているとも言う。


りょうりちょう(料理長)のプリン、えっちょぉ、シュートスちゃまがおいちいって」

「おう、そうか!」

「ちょれから、にんじん」

「人参がどうした?」

「フォスヌンちゃまが、きれいって」

「ふふふ、そうだろう」

「ちょれから、ローストビーフがちょー()うまいって、ゲブソルちゃまがいっぱい()べてた」

「ベル、他の公爵様方が揃っていらしたのか?」

「ちょうちょう、おう()()べてた」


 またまた料理長と親父がビックリして固まっている。だから最初に王もいたって言ったじゃん。何を今更びっくりしてるんだ?


「ベル、陛下もお食べになっていたのか!?」

「うん。おいちいって、たべてた」

「そうか! アハハハ! そうかよ!」


 料理長は喜んでいるけど、親父はちょっと微妙な表情をしていた。


「まさか……お話しされている最中だったのじゃないか?」

「ん~、ちょうかも。けろ……」


 そう言えば、フラン爺は家にいる時より大人しかったような気がする。


「どうした?」

「フランじい、おとなちかった」


 そう言うと、親父と料理長が顔を見合わせている。ふぅ~と親父が大きなため息をついた。


「大旦那様が大人しかったのか」

「ちょうおも()った。いちゅ()もよりな」

「ゲイブさん、大旦那様のお話がうまくいってなかったのでしょうかね?」

「そうではないだろう」


 親父が多分と言いながら話してくれた。

 フラン爺は畏まった場が苦手だ。公爵家の現当主が全員集まっていて、しかも王が一緒だとは思いもしなかったのだろう。

 フラン爺は、一人一人と話すつもりだったらしいから。

 

「それで緊張されたのだろうな」

「えー、フランじいが?」

「大旦那様は、そういう場が苦手だと言っただろう」


 そりゃそうだけど、そんな畏まった感じじゃなかったぞ。とっても和やかな雰囲気だった。

 俺が突然現れて、最初は驚いてたけどな。そうだ、騎士に斬りつけられそうになったっけ。


「大丈夫なんでしょうかね?」

「旦那様がご一緒なのだから、大丈夫だろう」

「大旦那様って肝心な時に、小心者になるんですね」

「ああ、どうしても苦手らしい」


 よくそれで当主をしていたものだ。かなり無理をしていたな。普段はあんなに豪快なのに。


「けろ、ベーコンエッグサンドたべてた」

「アハハハ、そうか。あれは大旦那様がお好きだからな」

「帰ってこられるのを待つしかないな」


 え? なんでそこで俺を見る? 俺になにか期待していたのか? 俺はただ弁当を持って行っただけだって。


お読みいただき有難うございます!

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