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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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48/100

48ー告白もできねー

「おう、ベル! お前改良して欲しいって言ってただろう?」


 おっと、お邪魔虫な親方だ。お嬢と二人っきりになれると思ったのに。


「ベル、なんか作って欲しいって思ってたやん」

「ガンちゃん、ちょうらけど」


 今じゃなくてもいいんじゃね? と思うわけだ。お嬢と二人っきりになる方が大事だから。だからここはお嬢が優先だ。


「おじょう、おれがのせてあげる!」

「ええ? どうちゅるの?」


 トコトコとお嬢の側に行って、こうだよって教える。三輪車の後ろのところにお嬢が立って、俺がキコキコ漕ぐからって。


「まあ! たのち(楽し)ちょうだわ!」

「だろう!?」


 お嬢って見た目と違って体育会系だからな。別名、お転婆さんとも言う。絶対にのってくると思ったんだ。


「よち! おじょう、のって! おれに、()っかりちゅ()かまって!」

「うん!」


 お嬢が後ろに乗って、両手で俺の肩を持つ。うひょひょ! お嬢が俺の肩を持ってるぜ! くすぐってー。めっちゃ肩に意識が集中してしまうってもんだ。


「ベル、しょうもないこと言うてんと、お嬢に怪我させたらあかんで」

ちょん()なことちねー(しない)


 いいかな? 動くぞ!


ちゅっぱーちゅ(出発)!」


 お嬢を後ろに乗せて、キコキコキコキコ。ああ、なんて幸せなんだろう。お嬢の手の温もりを肩に感じて、俺は三輪車を漕ぐ。


「キャハハハ! ベル、もっとはやく!」

「おー!」


 キコキコキコと足を早く動かす。これってやっぱ魔石が小さいからじゃないのか? いくら漕いでもスピードが出ないじゃないか。

 それでも優しい風が頬を撫でていく。こうして平和でいられるように、俺はできる限りのことをしようと思う。もう二度と、後悔しないように。


「ベル! ありがと!」

「えー、おじょう。なんら?」

「ベルがいてくれて、こころぢゅよ()いわ!」

「ちょっか! おれはいちゅれ(つで)も、おじょうのちょば()にいるじょ!」

「ええ! ふふふ」


 三輪車の後ろに乗って、俺の肩を持っていたお嬢が突然首に抱きついてきた。

 え、なに? これって何かのご褒美なのか? それとも俺はこの天使と一緒に、天に昇っちゃうのか?

 ドキドキなんてもんじゃない。身体全部が心臓になったみたいで、血液が流れているのさえ感じる気がする。

 しかも頬を撫でていた風も周りの景色も止まって感じる。


「ベル! お前しっかりしろよ! こんなチャンスにヒヨってたらあかんで!」


 三輪車のハンドルの真ん中にチョコンと立っていたガンちゃんが、サムズアップしながら俺に叫んだ。ウインクまでしてる。

 ガンちゃんったら、とっても強気なのだから。俺はそんな余裕もないっての。


「ふふふ、ベルがきてくれて、ほんとうにうれち(嬉し)いの」

「おじょう……」


 俺は三輪車を漕ぐ足を止める。


「おじょう、ごめんな。ちょばにいなくて」

ちょん()なことないわ。ベルがだきち(抱きし)めてくれた、うで()あたたかちゃ(温かさ)を、おぼえているもの」


 あの時だ。お嬢が爆裂魔法をぶっ放して、それを止めようと後ろから抱きしめた時だ。

 あの時のお嬢の目には、なにも映ってなかった。俺の言葉も届いていなかった。


「ちゃんと()こえてたわ。ベルがきたから、もうだいじょぶ(大丈夫)だって、おもったの」

「ちょっか」

だいじょぶ(大丈夫)だったで()ょう?」

「おじょう、けどあれはやりちゅ()ぎら」

「ふふふ、ちょう()ね。ちょっとやりちゅ()ぎちゃったわ」


 いいんだよ、お嬢が何をしたって俺がなんとかする。お嬢は自分の思うようにしていいんだ。何も我慢しなくていい。


「おじょう、ちゅ()き」

「あー、言うてもたな」


 ガンちゃんったら今いいとこなんだから、黙ってて。


「おじょうが、だいちゅき。おれのヨメになって」

「まあ、ふふふ」


 俺の首に回されたお嬢の手を握る。いい雰囲気じゃないか。このシチュエーションもバッチリだ。爽やかな風が俺とお嬢の髪を撫でていく。俺の頬に長いお嬢の髪が掛かる。フワリと良い香りがする。


「ベル! お前何しているんだ!」


 ああ、天敵が来ちゃった。ブレイズ様が、叫びながら走ってくる。こなくて良いのに。


「あら、おにいちゃま」


 あっという間に俺の前に来たブレイズ様は、無理矢理お嬢の腕を引っぺがした。

 俺の至福の時間は、あっという間に終わりを告げた。ああ、もうせっかく良い雰囲気だったのに。


「ネネ、ベルにくっつくんじゃない!」

「おにいちゃま、いっちょ(一緒)あちょ()んでたのよ」

「だからって、くっつく必要はないだろう!」

「ちッ」

「ベル、今舌打ちしたか!?」


 そりゃ、舌打ちもしたくなるさ。お邪魔虫だって分からないかなぁ? ゆっくりお嬢に告白もできねー。お嬢の柔らかい腕を堪能してたのに。


「アハハハ! ベル、お前ほんまに、おもろいな!」


 だからガンちゃん、煩いって。


「ベル、親方が何か作るって言ってたぞ」

「あー」


 まあ、それよりお嬢と二人の時間の方が大事だから。なのに、ブレイズ様っていつも邪魔するんだ。


「さあ、親方のところに戻ろう。それに……」


 ん? なんだ? 真剣な表情で俺を見る。


「父上の話次第では、ベルに飛んでもらわないといけない」

「おー、わかってるじょ」

「分かっているなら、もう少し緊張感を持てないか?」

「えー」


 そんなずっと緊張してたら持たないって。こうしてお嬢と触れ合うのって大事だよ? 俺にとっては何より大事だ。

 そういうブレイズ様だって、ずっとお嬢と手を繋いでいるじゃないか。それを見ると余計にさ。


「ちッ」

「また舌打ちしたな!」


 はいはい、戻ればいいんだろう? 戻れば。


お読みいただき有難うございます!

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