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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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45/100

45ー朝ごはん

「ガンちゃん、おなかちゅ()いたな」

「おうよ、料理長のとこ行こうぜ」


 ベッドからのそのそと起き出して、着替えようとパジャマを脱ぐ。脱いだは良いのだけど、俺って今はちびっ子だった。


「えっと……あれれ?」

「アハハハ! なんや、自分で着替えられへんのかいな」

「だって、ガンちゃん」


 やっとの思いでシャツに袖を通す。でもボタンが問題だ。この小さな手の短い指でどうすんだ?

 いや、これってお手上げなんじゃないか? その時親父が部屋に入ってきた。


「おう、起きたか」

「おやじ、たいへんら」

「なんだ?」

「おれ、きが(着替)えられねー」

「アハハハ! ちびっ子だからな」


 結局親父に着替えさせてもらって、顔を洗う。まいったね、着替えもできないのかよ。超不便だ。


「朝飯を食べに行くぞ」

「おー、おじょうは?」

「ああ、食堂で食べておられる」


 親方は作れたのかな? あれが必要だとフラン爺は言っていたから。

 俺は別になくてもいいんじゃね? て思うのだけど。ガンちゃんに行ってもらえばいいじゃん。


「ベル、それは言うたらあかんで」

「わかってる」

「ああ、親方は作ったぞ」

「ちょうなのか!?」

「朝食後にテストをするらしい」

「ちょれで、だめだったら?」

「いや、大丈夫だろう。親方はああ見えて、凄腕だからな」

「へえ~」


 あれができたら、俺とお嬢の分も作ってもらおう。

 それにあの三輪車も、もう少し改良したいし。ゴーカートみたいなのにできないかな~なんて思ってる。

 どうしてかって? だってその方が、かっちょいいだろう? ふふふん。

 どうせ魔石が動力なんだから、わざわざ足で漕ぐ必要があるのか? て思ったんだ。ハンドルを握って走らせるって、良いと思わないか? 親方に相談しよう。

 親父と一緒に調理場へ行く。と思ったら、そのすぐ隣にある使用人用の食堂だった。

 使用人は皆それぞれ都合の良い時間に食べる。調理場とは繋がっていて、トレイを持って行けばそこに乗せてくれる。学食みたいな感じだ。

 ちょうどアイレが食べていたから、同じテーブルに座る。


「ベル、ここで待ってろ」

「おー」


 すまないね、全部してもらって。俺はまだチビだから届かないし、トレイをちゃんと持って歩ける気がしない。


「ベルちゃん、おはようございます」

「あいれ、おはよー」

「あら、もしかして泣きましたか?」

「え……」

「ふふふ、瞼が少し腫れてますよ」


 えー、マジかよ。どうしよう。思わず両手で目を隠す。


「それくらいなら、すぐにひきますよ」

「ちょう?」

「はい、大丈夫です」


 俺はいいんだ。ちゃんと起きていて自分の意識がある時に泣いたから。

 でもお嬢はそうじゃないだろう? ちょっと気になるから、こっそり聞いてみようかな。


「あいれ、おじょうらけど……よる()()いた?」

「あら、知っているのですね。昨夜は大丈夫でしたよ」

「ちょっか」


 ふぅ、少し安心した。毎晩じゃないんだな。お嬢は笑っているけど、一番傷付いているのはお嬢なんだ。


「昨日は、ブレイズ様やベルちゃんと遊ばれたから、疲れたのでしょうね」


 あ、そうだった。思い出したぞ。ブレイズ様は抜け駆けしたんだ。ズルイよな!


「ベルちゃん、お嬢様とたくさん遊んでください。昨日はよく笑っておられましたから」

「おー」


 いくらでも笑わせてやるさ。お嬢の笑顔は最高に可愛いからな! 天使の笑顔とはこのことだ。


「おじょうは、てんち(天使)

「ふふふ、天使ですか」

「めっちゃかわいい」

「ベルちゃんも可愛いですよ」

「ちげー。おじょうは、てんちのかわいちゃ(可愛さ)

「ふふふ、じゃあ今日もたくさん天使の笑顔を見ないといけませんね」

「おー」


 親父が両手にトレイを持ってやって来た。お腹が空いたぞ。

 俺の前に置かれたトレイには、やっぱまだスープにパンを浸したものが乗っていた。それにフルーツだ。


「ええー、おれもう、ふちゅう(普通)のが()べたいのに」

「今日からパンがしっかり残っているそうだぞ」

「ちょう?」

「ああ、スープに浸してあるだけだと言っていた」


 なら、いいか。そのスープもクラムチャウダーみたいで美味しそうだ。

 それより料理長、俺のまで苺をハートに切らなくていいって。

 なんだよ、この可愛い苺さんは。しっかりハート型に切った苺が並んでいた。しかもウサギさんのりんご付きだ。何を考えているのだか。


「親父、わいも食べるで」

「ああ、ガンちゃんのもあるぞ」


 小さな器をガンちゃん用に置いた。ガンちゃんは超チビだから、テーブルの上に乗って食べている。

 その小人さん用みたいなスプーンはどうした? モモンガって、カトラリーを使うのか? 

 そんなのあったのか? 料理長ったら、何を張り切っているんだ。


「まあ、可愛い!」


 昨日初めてガンちゃんを見てから、アイレはガンちゃんがお気に入りだ。まあ、可愛いことは認めてあげよう。


「なんやねん、わいはカッコいいねんで」

「えー」

「ふふふ、ガンちゃんもベルちゃんも可愛いですよ」

「なんでやねん!」


 はいはい、食べようね。アイレは先に仕事に戻って行った。きっとそろそろお嬢が食べ終わるんだ。俺もさっさと食べてしまおう。


「ベル、食べたら裏庭だ」

「おー。ためちゅ(試す)んらな」

「そうだ」


 大きなお口を開けて、モグモグと食べる。美味いね。今日はちゃんとパンも歯応えがある。


お読みいただき有難うございます!

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