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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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43/100

43ー俺もほしい

「よし! さっきの調子で流してくれ!」

「おー」


 親方が小さな魔鉄の板に細かい模様を描いていく。魔法陣のような、幾何学模様のような不思議な模様で複雑に線が絡み合っている。

 こんなのよく分かるな、てか書けるな。俺は全然分からない。竜族は細かい作業が苦手なんだ。

 慎重に丁寧に書き進めていくこと、数十分。ふぅ~と親方が顔を上げた。


「おやかた、()きた?」

「いや、まだ半分だ」


 ええー、もう書く場所がないじゃないか。


「もう一枚対になった物を作らないと、聞く方と喋る方が作れないだろう?」

「ちょうらな」

「これは喋る方だ」

「ほうほう」


 また一枚小さな板を取り出し、書き込んでいく。対になった二枚で小一時間だ。

 これを最低二組欲しい。フラン爺と旦那様の分だ。てことは、あと一時間はかかるってことになる。


「おやかた、こばら(小腹)ちゅ()いた」

「ああん? さっきおやつを食べたばっかじゃないか」

「だって、ちゅ()ぐにちゅ()くんだ」

「じゃあ、休憩するか」

「おー」


 俺は料理長のところに行こうかな。今日二回目のおやつをもらいに。


「ベル、おやつをもらってきたぞ」

「おやじ、ないちゅたいみ~んぐ(ナイスタイミ~ング)!」

「腹が減るだろう?」

「ちょうなんら」

「今休憩にしようと言っていたとこだ」


 そうそう、小腹が減ったとこだ。


「それで、できそうなのか?」

「おう、一時間流しっぱなしでもベルの魔力は余裕らしいからな」

「一時間か……ベル、どんな感じだ? まだいけそうか?」

「よゆー」

「アハハハ。そうか、余裕か」


 親父が持ってきてくれたおやつを、モグモグと食べながら返事した。

 今日二回目のオヤツは、さつまいもの蒸しパンだ。やっと形になったものが出てきた。ふんわり柔らかくてほんのり甘い。とっても美味しいぞ。


「ベル、それうまいんか?」

「うん、うめー」

「わいも食べよ」


 ガンちゃん。その齧り付いている蒸しパンは、ガンちゃんの体と同じくらいの大きさだぞ。それをパクパクと食べている。体全部が胃なのか!?

 りんごジュースも持ってきてくれていて、コクコクと飲む。美味いな。


「料理長がりんごもいいといってな」

「おー、うめー」

「なんだ、酒はないのか?」

「こら、親方。できてからだ」

「おう、そうだな」


 お酒のことしか頭にないのだろうか? さっきもお酒を呑みながらとか言っていたし。ドワーフって本当にお酒が好きだからな。

 俺は蒸しパンをモグモグと食べる。でも小さな一つを食べたら、もうお腹がいっぱいになっちゃう。


「ごちちょーちゃま」

「ベル、もういいのか?」

「うん、おなかいっぱい」

「お前ずっと魔力を流していて大丈夫か? そんな少ししか食べられないなんてよ」


 親方が心配してくれるけど、魔力は全然平気だから気にしないでほしい。


「おやかた、へいきら。やるじょ!」

「よし! あと一組作ったら二つ作れるからな」

「おー」


 最低限、二人分だ。これはでも便利だから、きっと奥様やブレイズ様も欲しがるだろうなぁ。俺も欲しい。お嬢と話したい。


「おじょう、もち~(もしもし)?」


 なんて言ってさ。『あら、ベル、どうしたの~?』なんて言われたりしてさ。ふふふ。


「キモッ! ベル、マジでキモイって!」


 うるせーよ、ガンちゃんにしか分からないんだから、黙っていてちょうだい。


「おやかた、おれもおじょうと、はなち(話し)たい」

「これが上手くいったら作ってやるさ」

「おー」


 よし、なら張り切ってやろう! ガンガンやろう!


「いいぞ、流してくれ」

「おー!」


 ちょっと嬉しくて張り切っちゃったものだから……ついね。


 ――ブブブブバキーンッ!!


「ベルー!」

「あ、ごめん」


 つい魔力を流し過ぎてしまって、魔鉄がまた木っ端微塵になった。

 変だな、ちょっと張り切っただけなのだけど。


「ワッハッハッハ! なんだ、ベル。できてないじゃないか」

「おやじ、わらうなって。ちゅ()い、はりきっちゃった」

「ベル、さっきと同じ感じだぞ!」

「おー」


 いかんいかん。冷静にだ。これを早く作らないと、お嬢と遊べないのだから。

 それからまた約一時間かけてもう一組作った。これでフラン爺の分と旦那様の分ができる。


「よし! ここからはワシの仕事だ!」


 いや、ずっと親方の仕事なんだけど。俺はただ魔力を流しただけだ。

 実際にあの小さな板に、複雑な魔法回路を組み込んだのは親方だ。ドワーフって、こんな細かいこともできるのだなと感心した。

 だってイメージは酒を呑んで、ガハハハと豪快に笑っている感じだから。


「おやかた、しゅげーな」

「そうだろう? 親方は鍛冶だけじゃないんだ。魔道具の作成だってピカイチだ」


 ならあの三輪車の魔道具、ちょっと改良してくれないかな? 今は無理だけど。あれれ? そういえば、あの三輪車はどこだ?


「おやじ、()こだ?」

「何がだ?」

「あれ、おれが()ってたの」

「ああ、大型の魔道具か? あれならさっきまでお嬢様が、喜んで乗っておられたぞ」

「え……」


 お、お、俺がお嬢を乗せたかったのに。俺はお嬢が乗ってるのを一度も見てないぞ。

 これは、いかん! せめて見たい! キャッキャウフフと楽しそうに乗っているお嬢を眼に焼き付けないと!


()こだ! おじょうは、()こ!?」

「もうとっくにお邸に戻られたぞ。今頃は夕食を食べておられるのじゃないか?」

「ええー!」


 なんだよぉ! せっかく俺がぁぁぁ! 俺はガクリと肩を落とした。

 ああ、マジで見たかった。そして後ろに乗せて走りたかった。夕焼け空に向かって! いや、もう外は真っ暗だ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


投稿できなくて申し訳ありませんでした(*>ㅅ<)՞՞

リリの発売日だったもので!(言い訳)

今日からまた投稿していきますので、よろしくお願いいたします( ᴗˬᴗ)⁾⁾

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