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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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42/100

42ー魔力回路

「ベル、これめっちゃおいしいやん!」


 ガンちゃんったらさっきもフレンチトーストを食べていたのに、またプリンを食べている。その小さな身体のどこにそれだけ入るんだ?


「ベル、忘れてるみたいやけどな。わいもベルが魔力を封じられてる間、亜空間でひもじい思いをしてたんやでぇ」


 え、そうか? だってガンちゃんは魔モモンガだから、俺の魔力で生きているだろう? 敢えて食べる必要なんてないんだ。

 それに亜空間は俺の魔力でできているから、飢えることなんて有り得ない。


「ベル、そういう気持ちやったってことやで」

「へー」


 まあ、なんでもいいや。調子のいいガンちゃんの言うことだし。

 さて、おやつを食べたらさ。


「おじょう、いっちょ(一緒)あちょ()ぼう!」

「ええ、ベル!」


 ふふふ、お嬢と手を繋ごうぜ! 俺は椅子からピョンと降りてお嬢に手を出した。

 お嬢が俺に微笑みかけ、小さいけど真っ白で柔らかそうな手が俺の手に乗せられ……


「ベル、何言ってんだ! これから作るぞ!」


 俺の手に乗せられる寸前で、親方が言った。途端にお嬢の手が戻される。ああ、なんでだよ! もうちょっとでお嬢とお手々を繋げたのにぃ!


「ええー、おやかた。おれは、おじょうとあちょびたい」

「明日に間に合わせないといけないだろう!」

「らってー、おじょうとぉ……」

「ベル、すまないが親方に協力してやってくれ」

「……あい、だんなちゃま」


 旦那様に言われてしまったら仕方ない。お嬢とお手々繋いで、らぶらぶにと思っていたのに。


「ほら、ベル! やるぞー!」

ちゃーねー(仕方ない)


 親方に連れられて、作業場に向かう。お嬢とお手々を繋ぎたかったのに、なんで暑苦しい親方に手を引かれてんだよ。トボトボと歩く。


「アハハハ! ベル、残念やなぁ。わいがお手々繋いだろか〜?」

「うるちぇー」


 作業場は、もうちゃんと掃除されていて炉にも火が入っている。いつの間にここまでしたんだ?


「ブレイズ様はまだ子供なのに、火の使い方が完璧だぞ!」

「へー」


 ああ、ブレイズ様が炉に火を入れたのか。ほー、前の時だと今頃はまだ別邸に籠っていたのに。

 こんな少しの変化が、先の大きな変化に繋がると俺は思いたい。

 ブレイズ様のこともそうだけど、フラン爺が今ここにいることもそうだ。前の時はそうじゃなかった。明日、旦那様が王に謁見することだってそうだ。

 こうして少しずつ積み重ねていくことが大事なんだ。

 婚約が正式に決まったのはお嬢が5歳の時だった。それまでまだ2年ある。先手先手で一つずつ婚約の可能性を潰していく。


「おやかた、おれはなにちゅ()るんだ?」

「おう、ワシがこのペンで魔力回路を書いていくから、ペンに魔力を流してくれ」

「おー、わかった」


 親方が『ペン』と言っていたけど、正確にはペンじゃない。

 ペン型になっていてその先端から魔力を細く放出し、魔力回路ってものが書ける専用の物らしい。

 それに魔力を流すと先端から魔力が出て、ジジジジと魔鉄に書き込めるようになっている。


「いいか、少なくても多すぎてもだめだ」

「えー、わかんねー」

「練習してみよう」


 親方は木の板を出してきた。それで練習するらしい。木でいいのか? 本番は木じゃないだろう?


「おやかた、ほんとう(本当)()じゃないよな?」

「おう、違うぞ。本当は魔鉄を使ってるんだ。普通の鉄より魔力を多く含んだ鉄だから、魔力の伝わり方が全然違うんだ」


 ほら、みろ。全然違うって、今自分で言ったぞ。なのに練習が木でいいのか?


「おやかた、ちが()うなら、れんちゅう(練習)にならねー」

「お、そうか?」

「ちょうら」


 よし、と言って今度は鉄っぽいものを出してきた。


「これは同じものだ」

「おー」


 親方が持つペンに魔力を流したらいいんだな。よし。


「ベル、いいか?」

「おー」


 魔力を流す、流せばいいんだな。俺は、手のひらを向けて魔力を流す。


「……」


 魔力を流す、ちょっとずつな。


「……ベル、流してるか?」

「おー」

「少なすぎるな、全然書き込めないぞ」

「え、ちょう?」

「ああ、もっと多くだ」


 よし、多くだな。じゃあ、こんなもんでどうだ? さっきより多く魔力を流した。


 ――ブブブブバキーンッ!!


 変な音を立てて、魔鉄の板が木っ端みじんに砕け散った。

 あれれ~? どうしてこうなるのかな~?


「ベルー! 粉々じゃねーか!」

「らって、おおくって」

「多すぎるんだ!」

「ええー」


 いかん、全然加減が分からないぞ。


「最初より多く、だが今より少なくだ」

じぇんじぇん(全然)、わからん」

「だから練習だ!」

「おー」


 俺が魔力を流し過ぎたから、魔鉄が耐えられなくなって木っ端みじんになってしまったというわけだ。その加減が難しい。


「慣れたら、酒を呑みながらでもできるぞ」


 いや、俺はまだ呑めない。ちびっ子だってことを分かっているか? ちびっ子扱いをしてくれてないけど。

 こんなもんかな? と俺は魔力を流す。するとジジジジと音を立てて魔鉄に印が彫り込まれていく。

 これを魔力回路を書くとか組み込むとか言うらしい。ほうほう。


「おう、ベル。良い感じだぞ」


「よし、じゃあ本番だ!」


 おう、ちゃっちゃと作ってしまおうぜ。俺はお嬢と遊びたいんだ。

 親方が出してきたのは、本当に小さなものだった。頭に乗っけていたゴーグルをかけて、親方は腕捲りをする。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


お知らせです。

明日はリリしゃまの完結巻の発売日です!

ですので、発売記念SSを投稿予定です。

よろしければ、読みにいらしてくださいませ(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゜

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