41ー抜けがけ
「父上、母上、遅いですよ。先に食べてました」
「ああ、ブレイズ。構わないよ」
「ネネ、美味しいかしら?」
「ええ、おかあちゃま、とってもおいちいでちゅわ」
俺のラブも食べてくれてるかな?
「おれのらぶ、おいちかった?」
「ベル、僕が食べた」
「ええー!! なんでブレイズちゃま!」
「うちょよ、いちごはだいちゅきでちゅもの」
なんだよ、ブレイズ様って意地悪だな。
俺はさっき食べたからおやつはいいのだけど、お嬢の隣に座ろうと自分より大きな椅子をズリズリと引きずって動かす。
ちょっとブレイズ様、そっちに寄ってくれないかな? お嬢の隣に座りたいからさ。
「ベル、お前は何をしているんだ」
「え、ブレイズちゃま、おじょうのとなりにちゅわるんだ」
「馬鹿なことをしていないで、こっちに座りなさい」
「えー、ブレイズちゃまのとなり?」
「嫌なのか?」
ここは無言でいよう。口に出したら駄目な気がするから。だってブレイズ様の目がとっても怖いから。
「親方、明日までにできそうか?」
おっと、あの魔道具のことだ。フラン爺が親方に聞いた。途端に親方は食べる手が止まった。大きな口を開けたまま、手にはフレンチトーストを刺したフォークを持って。
「大旦那様、あれは魔力回路を組み直さないといけないので」
「で? できるのか?」
「これからベルに手伝ってもらって、やってみます」
「ほう、ベルが?」
「ベルの魔力を借りないと、ワシの魔力量だと無理なんだ」
「そんなになのか!? だが、領地だと使っているだろう?」
「だから大旦那様、あれは……」
またここで親方は魔石が設置しているからだと説明した。それを聞いていた旦那様が口を挟む。
「そんな物が作れるのか? 領地でそんな物を使っているなんて、知りませんでしたよ」
「父上、親方に作れない物はないそうですよ」
あらら、ブレイズ様は根に持っているのか? あの時遊んでしまっていたから。
ブレイズ様に睨まれちゃった。だってあれは楽しいぞ。
「おじょう、たべたらいっちょに、あちょぼう」
「ええ、あちょびまちょう」
「いいものがあるんだ」
「ふふふ、ちってるわよ」
ええー! なんでだよ! 俺がジャジャーン! て見せたかったのに。誰だ? 先に言ったのは!?
「僕と一緒にもう遊んだものね、ネネ」
「ええ、おにいちゃまにおちえてもらってのったのよ」
「ええー! ブレイズちゃま、じゅりー!」
「何を言ってるんだ。あれはベルの物じゃないだろう?」
「ちょうらけろー!」
だって俺も、お嬢が三輪車に乗ってるのを見たかった! 俺が後ろに乗せてキコキコしたかったのにぃ!
「ふふふ、僕が最初にネネを乗せたんだ」
「ちょう、じゅりー」
え? ちょっと待った。乗せたってことは、ブレイズ様はあれに乗ったのか? もう8歳なのに、三輪車に? それってどうなんだ? ぷぷぷとちょっと笑ってしまう。
「ベル、どうして笑うんだ?」
「だってブレイズちゃま、もう8ちゃいなのに、あれにのったの?」
「歳は関係ないだろう?」
「ええー、あれはちびっ子ののりものだじょ」
ぷぷぷー! と俺は笑う。
「あら、何かしら?」
「母上、作業場に大型の魔道具があったのですよ」
「まあ、魔道具なの?」
「以前あそこを使っていた者が、作ったのだろう?」
「そうなんです。それにネネと一緒に乗ったのです」
「じゅりー。おれがみちゅけたのに」
しかも魔道具といっても三輪車だぞ。魔石で動くんだけどさ。
何度も言うけど、それをもう8歳のブレイズ様が乗るなんて。足が邪魔じゃなかったか? その嫌味なほどに長い足がさ。
「あれのおっきいのをちゅくったらいいんら」
「ベル、大きいのか?」
「ちょうら、おやかた」
ブレイズ様ならその身長に合わせたものをさ。なんなら旦那様たちの身長の物もいいじゃないか。発明になるぞ。
てか、ブレイズ様って俺には怒っておいて、自分はお嬢と一緒に遊んだのかよ。それって理不尽だ。
「ベル、それをもっと詳しく教えてくれ!」
「親方、今は先に作る物があるだろう」
フラン爺に睨まれちゃっている。親方って調子がいいんだ。
おやつを食べたら、その魔力回路ってのを作ろうじゃないか。俺は全然知らないけど。
「ベルが考えるおやつは、美味しいわね」
奥様が頬に手をやりながら、しみじみと言った。そうだろう? 美味いだろう? 俺が作ったのじゃないけどな。
「これってレシピを登録しておけば、良いのじゃないかしら?」
ああ、前の時にもそんなことをしていたっけ。
この世界では珍しいものを最初に作った者は、それを商業ギルドに登録するんだ。そしたらそれを見て皆が作る。
最初だけ料金が発生する。レシピや設計図を購入するんだ。それは登録者にも還元される仕組みになっている。
だけど、今はそんなことで目立ちたくはない。
「おくちゃま、めだったらだめ」
「あら、そうだったわ」
俺は、このお邸の人たちが美味しいって食べてくれるだけでいいんだよ。
「ベルが食べたかったのだろう?」
「ちょれもある」
でも一番はお嬢だ。お嬢が、美味しいって食べてくれるのが一番いい。
俺のラブも添えてあることだし。まずは、お嬢の胃袋をググッと掴んでだな。
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宜しくお願いします。
いつも遅くなって申し訳ありません(*>ㅅ<)՞՞




