38ー俺のラブ
「そんなシロップがあるのか?」
「かんたん」
早速料理長に伝授だ。
プリティーベルくんの料理講座の開講だ。はい、注目~! てな。
「ちゃとうをいれる」
「おう」
「おみじゅも」
「おう」
「にちゅめる」
「それだけか?」
「ちょう。あんまり、にちゅぎると、かたまる」
「なるほど」
「プリンにもあう」
「ほう、そうなのか。で、そのプリンって何だ?」
え、そこもなの? あれれ? 前の時に料理長はプリンを作っていたぞ。そういえば、ちゃんとカラメルソースも作ってた。あれれ?
「アハハハ! だからベルが教えたんやって」
「ちょう?」
「そうやで、なんで覚えてないねん」
ふむ、そうか。ならついでにプリンも伝授しよう。
「りょうりちょう、プリン」
「どう作るんだ?」
「たまごと、ちゃとうをまぜまぜ」
「卵と砂糖か」
「ぎゅうにゅうを、あたためる」
「よし、牛乳だな」
モグモグと俺はフレンチトーストを食べながら料理長に教える。床に届いていない足をプランプランさせながら。
俺ってちょっと偉そうじゃね? 全然偉くないんだけど。
「ちょれを、たまごにちょっとじゅつまぜまぜ」
「少しずつなのか?」
「ちょうら」
「よし、できたぞ」
「ちゃっきの、ちろっぷある?」
「シロップか? おう、あるぞ」
「ちょれを、さきにいれる」
「底に入れるってことか? この容器でいいか?」
「うん、ちっちゃいほうがいいな」
「一人分ずつってことか?」
「ちょうちょう。ちょこに、こしながらそっといれてむちゅ」
「濾しながらだな。後は蒸すだけか。なんだ、簡単じゃないか」
「うん、ちょーかんたん」
料理長が作ってくれたフレンチトースト、めっちゃしみてて美味いぞ。ちょっと歯応えが無さ過ぎだけど。
「りょうりちょう、ちょっちやわらかちゅぎ」
「何言ってんだ。ベル用だからだ」
「おれ?」
「お前はまだ柔らかい物しか駄目だ。まだ意識が戻ったとこだろう?」
「あー、わちゅれてた」
「アハハハ! もう元気そうだけどな、3日も食べてなかったんだ。量も食べられないだろう。少しずつ普通に戻していくから我慢しろ」
「おー、ちょうがねー」
料理長が言うように、思ったほど食べられなかった。ガンちゃんはパクパク食べてたけど。
「ちゅぐに、はらいっぱいになるな」
「だからまだ胃が普通じゃないんだって」
「ちょっか」
「日に何度も食べに来い。作っておいてやるから」
「ありがと」
それはそうと、料理長。いつも白い布の頭巾と口元を隠しているから気が付かなかった。
素顔を見ると印象が変わる。あれれ? 前の時ってこんなだっけ? て思ったくらいだ。
「なんや? ベル」
「ガンちゃん、りょうりちょうって、いけめん?」
「なんやそれ」
「おかおがいい」
「わいはモモンガやからな。人がどうかなんて分からんわ」
「ちょっか」
いや、どう見てもイケメンだろう。キリッとした眉と少し釣り気味なのに綺麗な二重の目。それに鼻筋も通っていて、おまけに口元がちょっぴり色っぺー。大人の男の色気ってやつか?
まあ、大人になった俺には負けるけどな。ふふふん。
「アハハハ! ベルは何考えてんねん」
「ライバルは、ちゅくないほうがいい」
「なんのライバルやねん!」
決まってるじゃないか。お嬢だよ。まさかこの年齢差で、どうこうはないと思うけど。
ああ、そっか。俺が覚えている前の時の料理長ってイケオジだったんだ。12年も若返っているからだ。
「りょうりちょう、もてもて?」
「あ? 何言ってるんだ?」
「だから、料理長は女子にモテるんか? て、ベルは聞いてるねん」
「何言ってんだ。俺は奥さん一筋だ!」
「ほう」
なら安心だ。よし、料理長は許可しよう。
「なんの許可やねん」
「おじょうに、ちかよるきょか」
「ベル、ほんまにちょっと引くで」
仕方がないじゃないか。だって戻す前から、こじらせてるんだから。
しかも目の前で、魂が抜けたようなお嬢を見てみな。こじらせまくって、ほどけなくなって、今度こそって思うぞ。
「あー、それはまあ、そうやな」
「なんだ、ベルはお嬢様がそんなに好きなのか?」
「おー、だいちゅき。ヨメにちゅる」
「アハハハ! そうか、頑張れ!」
「あたりまえら」
そんな話をしていたら、プリンが蒸しあがった。料理長、食べてみな?
「うまいじゃないか! これは濾す時に丁寧に濾したら、もっと滑らかになるか? ベルはなんで色々知ってるんだ?」
「ふふふん」
だって前世は、飽食の国の日本人だったもの。細かいことにも拘り、美味しさを追求する。俺が前世で、作っていたかどうかなんて覚えてないけど。
「これ、いいな。早速今日のおやつに出していいか?」
「このうえに、ホイップちて」
「ああ、そうだな」
「いちごもハートに切って」
「アハハハ! 分かった分かった、ベルのラブだな」
「ちょう、おれのらぶ」
それにせっかく料理長が、フレンチトーストを作ってくれてるんだからさ。
「プリンを、おちゃらにぱかって」
「ん?」
「しゃーないな、わいが通訳したるって」
それがとっても腑に落ちない。なんでガンちゃんに、通訳されなきゃなんないんだよ。
「ああ、皿にか」
「ちょうちょう。ちょちたら、フレンチトーストもいっちょに」
「ああ、そうだな」
「で、いちごはらぶ」
「アハハハ! 拘るなぁ」
当たり前だ。小さなことからコツコツとだ。
どんな時でも俺はお嬢のことを思っているし、味方なんだって無条件に思えるくらいになって欲しいんだ。
もしも、今回辛いことがあったとしても、また一人で抱え込まないように。
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