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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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33/100

33ー作業場

 前世では当たり前に使っていたスマホ。それがどうできているかなんて、考えながら使ったりしてない。


「わかんねーな」

「ここと領地と、どんだけ離れてると思ってんだって話だ!」

「ちょうらよな」


 ん? 距離か? そう言うってことは、親方の中では距離が問題なのか?


「チビ、お前は知らねーか?」

「ちびじゃねー、ベルだ」


 何回言ってんだよ。


「おう、ベル。お前は領地に来たことがないだろう?」

「うん、ねーな」

「領地だと、どこにいるのか分からないフラン爺と、お邸にいる大奥様たちと話せる魔道具があるんだ」


 な、な、なんですとッ!? 初耳だぞ! 前の時に領地に行ったことあるけど、気付かなかったぞ。

 それは旦那様とか知ってるのか? いや、それがあるから、フラン爺はすぐにできると思ってるんだ。


「おやかた、ちょれって、どれくらい?」

「何がだ?」

きょり(距離)だよ、きょり」

「領地内に限るな」


 いやいや、取り敢えずそれで十分じゃね? 親方の話によると、領地内に限られるがその中だとどこにいても使えるらしい。

 何故かと言うと、領地に等間隔に魔石を設置しているからだ。それが前世の電波塔の代わりになっている。

 魔石を中継させることで、領地内だと話せるらしい。

 だから親方は距離だと言っていたんだ。

 それができるのなら、この王都の中なら余裕じゃん! て俺は思っていた。だけど問題が一つある。そうだよ、魔石だ。

 領地内で通話できるのも、予め魔石が設置してあるからだ。王都にはそれがない。勝手に、ちょっとごめんね。なんて魔石をそこら中に設置したりできない。なんだよ、お手上げじゃねーか。


「おやかた、むりらな」

「だろう? 魔石がねーもんな」

「ちょうちょう」


 これはどう考えても無理だ。まさか親方が何も考えてないなんて思わなかったし。


「ちゃーねー」

「ベル、何か思いつかないか?」

「おやかた、フランじいにちゅなお(素直)あやま()るちかねーな」

「なんでだよ! そんなことして酒を貰えなくなったらどーすんだッ!」


 そんなこと知らねー。酒ってなんだよ。

 だって親方が、ちゃんと考えてなかったのが悪いんじゃん。と、俺はジト眼で親方を見る。


「なあ、ベル。何か考えてくれよ、協力しようぜ!」


 こんなちびっ子に何を言ってるんだって話だ。


「竜族って色々スキルを持ってんだろう!? だってドラゴンだろうよ!」

「かんけーねー」

「ベルー!」


 こらこら、ちびっ子に縋るんじゃない。


「ちかたねーな」

「お! 何かあるのか!?」

「とりあえじゅ()さぎょうば(作業場)にいって、ちょうじ(掃除)ら」

「掃除かよ!」

「ワッハッハッハ!」


 また親父が笑ってる。本当に親父は今回心配していないみたいだ。でもなぁ、俺はやっぱ不安だぞ。

 そう思いながら、お邸の裏の隅っこにある作業場にやって来た。


「なんだ、まともな工房があるじゃねーか!」

「親方、だが掃除しないと。もう何年も使ってないんだ」

「お? そうか?」


 そうそう。ほら、みんな手を動かそうね。さっさと掃除をしてしまおう。

 一応、整然と片付けられてはいるが、親父が言ったように何年も使っていない作業場だ。埃っぽいから窓を開けて空気を入れ替えて、炉だって確認しないと。

 俺はちびっ子だから大したことはできないし、と思って取り敢えずハタキを手にウロウロする。主に親方と親父で頑張ってほしい。

 この作業場があるのは知っていたけど、中に入るのは初めてだ。ちょっと好奇心をそそられる。


「おやじ、ここってまえ()は、どんなひと()ちゅか(使)ってたんだ?」

「前か? 親方が来る前だからもう何年も使ってないな。ちょっと変わった奴だったんだ」


 親父が言うには、親方がこの家の武器関係を引き受けてくれる前のことだ。鍛冶もして錬金術もする少し変わり者が、色々作っていたらしい。


「なんだか見たこともないような、へんてこりんな物をよく作っていたぞ。ほら、その奥にまだあるだろう?」


 ほう、なにがあるのかな? と思って、俺は作業場の奥へと入って行く。

 ガラクタと言って良いのか、これって何に使うんだ? て、チンプンカンプンな物ばかりだった。

 でもその片隅に、小汚く埃を被った布が掛けられている物に目がいった。

 それだけ布を掛けてあったから、余計に目に入ったんだ。その布を取り払うと、ボアッと埃が舞う。


「ぶへッ、ほこりだらけじゃん」

「アハハハ、そりゃそうだ。ずっと使ってないんだからな」


 親方は領地に、わざわざ工房を作ったんだ。そこで作っているから、この作業場はもう誰も使わなくなった。

 布を取っ払って、そこにあった物を見て俺は驚いた。


「え……おやかた、これってちゅかえるか!?」

「なんだ?」

「おれ、これ()ちーじょ!」

「なんだこれ? ワシはこんなの見たことねーぞ」

「うごくか?」

「どこを動かすんだ?」

「ここらよ! ここをキコキコって」

「ああん? なんだこれ?」


 だから俺は乗ってみせた。


「こうらよ!」

「アハハハ! ベル、お似合いだぞ!」

「おやじ、うるちぇー」


 俺はマジなんだって。これはある意味ちびっ子の定番だぞ。必需品と言ってもいい。この世界にこんな物があるなんてな。

 どういう発想で作ったのか知らないけど、天才じゃないか?


「で、乗ってどうすんだ?」

「だから、キコキコ」


 試しに足を動かしてみると、やっぱ動かない。錆び付いてんのかな?


お読みいただき有難うございます!

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宜しくお願いします。


遅くなりました!申し訳ありません!

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