32ーノープラン
けどさ、親父。フラン爺に、一言言っておいてくれ。
「大旦那様、ベルはまだ今日目覚めたばかりで、体力が戻ってないのです」
「なんだとぉッ!? 何をしていたんだぁッ!?」
いや、だからさ。そこは覚えてないのか? 俺って奴隷にされてたんだって。親父が見つけてくれた時には、結構ヤバかったんだ。
「それはいけないなッ! ならベルの体力が戻ってからにしよう!」
やった、生き延びたぜ。なにしろ、フラン爺の鍛練は厳しいからな。てか、俺って鍛練とか嫌いなんだ。
「一刻も早く、体力をつけるのだ!」
「おー!」
体術の鍛練は免れたから、俺は早速ドワーフ族のヴェストリ親方を探す。きっと裏庭にいるだろう。
「なんだ、この剣はッ! 刃がガタガタじゃねーかッ! どんな使い方をしとるんだ!」
ああ、ほら暑苦しい声がする。親方の声だ。きっとこの邸にいる騎士たちの剣を、チェックしているんだ。
「声がするな。また、面倒なことをしているぞ」
「まあ、親方やしな。けどここには鍛冶のための工房なんてあるんか?」
「いや、実は小さいけど作業場があるんだ」
「そうなんか? 知らんかったわ」
「普段は誰も使わないからな」
親父とガンちゃんが俺の後を付いてきて、そんな話をしていた。
そうだよな、鍛冶の作業場なんて誰も使わないから忘れていたけど、確かに小さな作業場がある。親方はそれを知っているのか?
「おやじ、おやかたは、ちってるのか?」
「作業場か? 知らないだろう」
「おちえてやらねーと」
「ああ、まずは作業場の掃除だな」
「ええー」
それは、マジで面倒だ。だけど、作ろうとしている魔道具には興味がある。とってもある。
俺は騎士たちに怒鳴り散らしている親方に声を掛ける。
「おやかた! ひちゃちぶりだな!」
「ああん!? ワシはお前みたいなちびっ子を知らねーぞ!」
ああ、そうだった。忘れてた。この頃はまだ親方と会っていなかった。
「おやじ」
「ああ、分かってる。親方、紹介しよう。馬鹿息子だ」
そう言って俺を紹介してくれた。前の時の記憶がある人とない人の区別がつかないって、ちょっと面倒だな。
俺はみんな知っているから、つい慣れ親しんだ感じで声を掛けてしまう。
「ゲイブが引き取ったのか!?」
「面倒見てやってくれ」
「ワシはちびっ子なんて面倒見れねーな!」
親方は親父よりずっと背が低い。ドワーフだから。ドワーフはガタイは良いのだけど、身長は高くない。だけど態度はデカイ。
今だって親父を見上げながら、超偉そうに腕を組んでいる。
「大旦那様がそうおっしゃっている」
「なに!? 大旦那様がか!?」
「そうだ、こいつはちびっ子だけど竜族なんだ。まだチビドラゴンだけどな」
「竜族か!? ワシは初めて見たぞ!」
竜族と聞いて、物珍しそうに俺をジロジロと見る。
「おやかた、よろちくな」
「仕方ねーな。邪魔はすんなよ」
ほら、超偉そうだ。前の時には仲良く酒を呑んでいたのにさ。ちょっと寂しい。
「おい、ゲイブの肩にいるそのちっこいやつはなんだ?」
「ああ、こいつはベルの使い魔でガンちゃんだ」
「ガンちゃん!?」
「おう、よろしくな!」
ガンちゃんもチビなのに、超チビなのに態度はデカイ。俺の周りにはこんなやつばっかなのか?
「なんだ、もしかして魔物か?」
「わいは魔モモンガやで。ほら、頭に角が2本
あるやろ?」
「ガハハハ! ちっせー角だな!」
「何言うてんねん。身体が小さいねんから、これでも立派な角やっちゅうねん」
「そうか、そうか! ガハハハ!」
こらこら、ガンちゃんがメインじゃないんだ。
「おやじ、ちゃっちゃとはなちを、ちゅちゅめてくれ」
「なんだ、ベルのくせに偉そうだな」
そんなことはいいって。だんだん面倒になってきた。
親父がフラン爺が話していたことを、親方に説明してくれた。俺も魔道具の製作を手伝うと。
「何!? 竜族ってそんなこともできんのか!? ドラゴンブレスだけでも反則なのに念話だと!? エルフみたいじゃねーか!」
そのエルフさんに、俺は知り合いはいないから知らない。
「だから大旦那さまが、役に立つだろうとおっしゃってな。ブレイズ様も手伝われるそうだ」
「坊ちゃんもか!? そりゃあ、本気でやらねーとなッ! ガハハハ!」
なんだ? もしかして、今まで本気じゃなかったのか?
「おやかた、できてんの?」
「いや、全然できてねーぞ」
「ええー」
「あんなもん、そう簡単にできるかよ! 全然分からん!」
あらら、暗礁に乗り上げているのだね。
「どこまで、かんがえたんだ?」
「ん? 全然、全く、何もだ! ガハハハッ!」
ええー、だって明日必要みたいなことをフラン爺は言ってたぞ。しかもフラン爺の話だと、もう完成直前みたいな感じだったぞ。
「フランじいは、もうちゅぐできるって、おもってる」
「え……」
「まじ、ちょういってた。な、おやじ」
「ああ、そうだな。明日必要みたいだぞ」
そう言うと、親方の顔色がみるみる真っ青になった。おもしれー、目の前でこんなに顔色が変わるのを始めて見た。
これはかなりヤバイと思っているよな。
「おい、ちびっ子」
「ちびっこじゃねー。べるだ」
「ベル、今から作るぞ!」
「ちょーがねーな」
仕方ないな、まずはプランを練ろうじゃないか。と言ってもだ、俺だってそんなの全然、全く、さっぱり分からない。
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オジサンばっかになってきた(^◇^;)




