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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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31/100

31ーヴェストリ親方

 フラン爺が真剣な眼差しで言った。少し悔しさを滲ませながら。


「謁見はフランヴァに任せる。その間に私は他公爵家を回ってくる」


 回りくどいことができないフラン爺だ。だけどストレートに王妃の手から逃れたいと、だから協力してほしいと訴えることならできる。


「助力してもらえるように、話してくる」

「おー!」

「そこでだ、ベル」


 フラン爺の提案だ。王と会っている旦那様がどんな話になっているか分からない。それを知りたい。できればリアルタイムでだ。


「領地にドワーフがいるだろう? 一緒に来ている」


 ここで少しドワーフの話をしよう。

 ホルハティ家の領地は、このラフィーナ王国の南端にある。代々、火属性魔法を得意とし、国内で最大級の炎を操る家系だ。

 その炎に魅せられて、押しかけて来た一人のドワーフがいる。いつもは領地にいるのだけど、フラン爺と一緒に来ているらしい。

 ドワーフ族のヴェストリ親方だ。みんな『親方』と呼んでいる。

 鍛冶にホルハティ家の炎の温度と勢いは最高だと言って、居座っている。いや、ホルハティ一族の武器を全て請け負ってくれている。

 対価はなんとドワーフらしく酒だ。

 領地ではワイン、ラム酒、テキーラのような酒が生産されている。原料になるサトウキビやブルーアガベのような植物が、育ちやすい気候なんだ。

 もちろんサトウキビから砂糖を、ブルーアガベからはシロップを作り国中に流通させていて特産品になっている。

 そのテキーラの中でも、エキストラと呼ばれている樽熟成を3年以上経たものがドワーフの大好物なんだ。それをまるでビールのようにガブガブと呑む。

 そのドワーフに俺は、戻す前の時に刀を作ってもらったことがある。

 その時にどうしてこんな変わった剣を知っているんだ? と聞かれ、俺は竜族だからと話した。

 俺の父たちが使っていたのは刀だったから、当たり前のように俺も刀を使いたいと思った。

 剣ではなく刀だ。前世日本人の俺としては、剣より思い入れがある。前世では、もちろん使ったこともないし触ったこともないのだけど。

 親方は竜族と接するのは初めてだったらしく、興味を持って色々聞かれた。

 それからずっと仲良くしていた。一番は親方の酒の相手ができるのは、竜族の俺だけだったんだ。

 ドラゴンって酔ったりしないんだぞ。だってドラゴンが酔っ払って、ドラゴンブレスをぶっ放したりしたらどうなる?

 それこそ国があっという間に焼野原だ。

 ドラゴンは状態異常にはならない。アルコールもそれと判断されて無効化される。だからいくら呑んでも酔わない。

 

「親方と相談してくれ」

「えっちょ、じぇんじぇん(全然)いみ(意味)がわかんねー」

「ドラゴンは念話と言ったか? 口に出さなくても、思っていることを伝えることができるのだろう?」

「ちょれは、おなじりゅうじょく(竜族)か、ちゅかいま(使い魔)にな」

「思ってることまでは望まない。だが離れた場所にいる者と連絡が取れるような魔道具を、作ろうとしてくれている」

「ひょーッ! ちゅげーなッ!」


 あれじゃん、前世のスマホじゃん。そんなの作れんのか? だって電波がないぞ、電源だってどうするんだ? あ、それは魔石でいけるのか?

 いやいや、ドワーフって魔道具師みたいなこともできるのか? 俺の中では前世で読んだノベルとかだと、そういうのって魔道具師がすることなんだけど。

 ちょっとテンションが、アゲアゲだぜ。いや、けど待てよ。


「なんで、ちょん()なもんを、ちゅく()ってんだ?」

「あれだ、私が度々こっちにくるだろう? それで領地の者が、こう度々長期間連絡がつかないのは困ると言い出してな。連絡が取れないから行くなと言われたんだ」


 ああ、みんな困っているんだね。でもフラン爺は、お嬢とブレイズ様が可愛いから定期的にやって来る。それでか。


「そんなことができるものかぁッ! 私は可愛いブレイズとネネに会いたいんだぁッ!」


 はいはい、それはよく知っている。

 領地の人にしてみれば、会いに行ってしまうフラン爺を止められない。ならなんとか連絡をと知恵を絞ったのだろう。

 なんだか苦労がうかがえる。

 俺は関係ないのだけど、ちょっぴり申し訳なく思ってしまったじゃないか。


「私だって、我慢しているのだぞッ!」


 お、おう。我慢していてもこう度々くると、領地の人は困るだろうに。


「ブレイズも協力してくれるから、二人で親方と相談してくれ」

「おー!」

「ベル、また力を貸してくれ」


 俺みたいなちびっ子に、フラン爺は躊躇せず頭を下げる。それができるのが、フラン爺だ。

 正直で実直。根回しなんて、できない。なんでも真っ向勝負だ。そんなフラン爺が、俺は大好きだぞ。


「フランじい、まかちぇ(任せ)ろ!」

「ワッハッハッハ! おう! 任せたぞ、ベル!」


 旦那様と奥様、そしてフラン爺。二手に分かれて第2王子との婚約を回避する。

 名付けて『お前にお嬢はやらねー』作戦だ。まんまだけど。俺は思わず決意の拳を掲げる。

 そんな俺を見て親父が、また変なことを考えているぞと、思っていたことは知らない。


「そういうことだ。さて、ベル! 早速お前の今の能力を見せてもらおう!」


 おっと、やっぱするのか? 今の話だと回避できたと思っていたのに。仕方なく俺は構える。


お読みいただき有難うございます!

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