表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/100

25ーお嬢と俺の物語 3

「お嬢様! お一人で行かないでください!」

「アイレ、だいじょぶよ」


 何度か見たことのある女性が女の子を追いかけてきた。親父と話していたことのある人だなって、アイレの顔は覚えていた。


「あら、こんなところにいたの? ベルちゃんよね?」

「おー」

「ゲイブさんが探してましたよ」

「ねえ、アイレ。じいのところに、きたこよね?」

「はい、そうですよ。ベルちゃんです」


 ベル()()()って呼ぶのは止めろ。


「べる()いい」

「はい、ベルちゃんですね」


 いや、だからぁ。て、まあいいか。


「あたちと、おなじくらいかちら?」

「お嬢様、ベルちゃんはこれでも竜人なのですって。だからちびっ子に見えても実際は違うそうですよ」

「まあ! ちょうなの!?」

「はい、そうゲイブさんが言ってました」

「ちゅごいわね!」


 はいはい、ちびっ子はさっさと家に入って大人しくしてな。俺はここで一休みしてたんだ。


「ねえ、りゅうじんって、ドラゴンなの?」

「ちょうら」

「ちゅごいわ! あたちドラゴンを、みたことがないの!」


 好奇心いっぱいの眼で小さなお嬢に見つめられて、俺はこの時ちょっと自慢したくなったんだ。ドラゴンを見たことがないというお嬢にさ。


「みてな」


 そう一言言うと、俺はポポンとチビドラゴンになって空を飛んだ。


「キュィーッ!」


 黒い翼をパタパタと動かして、空を飛ぶ。陽の光に漆黒の鱗が輝いて見える。ああ、やっぱ俺は飛ぶのが好きだ。

 どうだよ? 超カッコいいだろう?


「まあ! 本当にドラゴンになるのですね!」

「アイレ! とってもかわいいわ! ちいちゃなドラゴンなのね!」


 お嬢とアイレがそんなことを言っていた。可愛いとは何だ、そこはカッコいいだろう?

 下を見るとお嬢が両手を伸ばしている。上空を飛んでいる俺に届くはずがないのに、背伸びをしながら俺に向かって両手を目一杯伸ばしていた。

 その内、その場でピョンピョンとジャンプしながら大きな声で俺に言った。


「ベル! あたちもいっちょ(一緒)にとびたいわ!」


 弾けるようなキラキラとした笑顔で俺に向かってそう叫んだ。

 あれれ? 俺って怪我だけじゃなくて、心臓も悪くなっていたのか? そう思うくらい胸がドキドキしたのを、ハッキリと覚えている。

 ズギューンと、心を撃ち抜かれちゃった。分かる? 超可愛いちびっ子のお嬢の眩しい笑顔だよ。

 あれは眼福ものだった。いや、紛れもなく天使そのものだった。

 天使がいるぞ、隠さなきゃ。なんて思ったもんだ。


「ベル、お前キショイ(気持ち悪い)って」


 俺の肩に留まりながら、ガンちゃんがそんなことを言っていた。だって本当にドキドキしたのだから仕方がない。

 その日を境に、俺はお嬢と一緒にいるようになった。お嬢は朝から勉強だのマナーだの、まだちびっ子なのに忙しそうだった。

 その頃、初めてこの家に興味を持った。親父にこの家の人のことを聞いてみたのも、この頃だ。


「おじょう?」

「ああ、お嬢様だ。この家の方は皆、火の魔法を使われる。この国一の使い手だ」

()か。おれも、ひをだちぇるじょ」

「それは止めとけ。お前、それってドラゴンブレスだろう?」

「おー。まだチビブレスだけろな」

「ワッハッハッハ! まだチビなのか!?」


 仕方ないだろう、チビドラゴンなんだから。


「しかし、お嬢様がお前のドラゴン形態を怖がられなかったのか」

「おー、いっちょにとびたいって」

「そうなのか?」

「ちょうかわいい」

「お嬢様は可愛らしいだろう? 小さなプリンセスだ」

てんち(天使)かとおもった」

「ワッハッハッハ! 天使かよ!」


 親父に凄く笑われたのを覚えている。だけど俺から見たら、本当に天使みたいだったんだ。

 背中に真っ白な翼があるのを隠しているんじゃないかと、真剣に思ったくらいだ。俺がドラゴンになれるように、お嬢も天使になれるんじゃないかってさ。


「ベルは魔法が得意だろう? チビでも竜族なんだから」


 得意と言うのは違う気がする。竜族は得意とか不得手とかそんなことを考えない。生まれたら、当たり前のように魔法が使えるからだ。


「お嬢様の兄上が別邸におられるんだ」

いっちょ(一緒)に、ちゅ()んでないのか?」


 そこで初めてブレイズ様のことを聞いた。膨大な魔力を制御しきれなくて、ブレイズ様の気持ちの揺らぎで意識しなくても炎が出てしまう。

 だから制御ができるまで、別邸で従者と二人で暮らしていると。


「えー、ちょうなのか?」

「ああ、ベルが役に立てないか?」

「おやじ」

「ん? 俺のことか?」

「ちょうら、おやじ」


 この時に初めて俺は『親父』と呼んだ。お嬢に会って、俺の気持ちに変化があったのだろうと思う。

 竜族にとっては人なんて最弱の種族だと、その程度の知識しかなかった。だけど、お嬢のあの輝く笑顔が、俺の気持ちにズギュンときたから。

 もっと知りたいと思った。もっとお嬢の笑顔を見ていたいと思った。思えば、一目惚れってやつなのかも知れない。


「ドラゴンは、ちぇいぎょ(制御)とかちねー(しない)

「制御しないってか?」

「ちょうら」

「ああ、そうか。元々高い能力を持っているからか?」

()らねー」


 そんなの俺は知らない。元々何も考えなくてもできるものを、どうなんだと言われても分かるわけない。

 魔力を制御するなんて考えたこともなかった。意味が分からないぞ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ