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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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24ーお嬢と俺の物語 2

 親父が俺を抱っこして歩きながら言った。


「今まで碌な奴に売られなかったんだろう?」

「……」


 そんなの、どう言えば良いのか分からなくて、俺は黙って親父に抱っこされていた。

 空を見ると、青空が広がっている。この大陸の最北にある里の空は、こんなに抜けるように爽やかな青空の日は滅多になかった。黒くて厚い雲に覆われている日が多かった。

 この世界はこんなに眩しいものかと思ったものだ。

 隷属の首輪を外されて、飯も食べた。もうこっちのもんだと、その時の俺は思ったんだ。

 魔力を集めてドラゴンに変化する。まだ超プリティーなチビドラゴンだけど。


「キュィーッ!」


 と一鳴きすると、俺は空を目指して親父の腕の中から飛び立つ。

 ああ、これだよ。この自由な感じがとっても好きだった。

 頬に感じる風、漆黒の鱗に反射する光、どこまでも続く青空に翼をパタパタと動かして飛ぶ。

 それを親父が眩しそうな表情で、見ていたことを俺は知らない。


「漆黒だと……お前黒龍の……!?」


 そんな親父の言葉が聞こえたような気もする。確かに俺は黒龍だから。

 まだチビドラゴンだけど、漆黒の鱗が自慢だ。角もまだ小さいけどちゃんと二本あるんだぞ。

 蝙蝠のような翼を広げ、パタパタと飛ぶ。ああ、やっぱ飛ぶのって気持ちいい。こんなに澄んだ青空を飛ぶなんて最高の気分だ。


「ベル! 何する気やねん!」


 俺の肩に乗っていたガンちゃんが叫ぶ。何をするって、このまま里に帰るんだよ。決まってるじゃないか!


「その身体でまだ無理やって!」


 何が無理だ! もう飛べるんだぞ! ならこっちのもんだ!

 そう思っていたんだ。だけど、甘かった。俺が思っている以上に体力がなくて、翼を動かせなくなった。俺はそのままヒュ~ッと落下した。

 ああ、マジかよ。まだ数分飛んだだけだぞ。邸の上を旋回しただけだ。

 なのに、もう翼が動かない。怪我は治っているはずだ。なのに、翼が重くて動かせない。

 俺はパフンと親父の腕の中に落ちた。


「ワッハッハッハ! まだまだ無理だ!」

「うじぇー」

「お前本当に、生意気だな!」

「うっせー」


 なのに親父は邸の中に戻らず、俺を抱っこしたまま庭を歩いてくれた。貴族の家らしく、綺麗な花が配置よく植えられている。木々も手入れされ、枝を伸ばしている。

 その裏には建屋がいくつもあった。なんだ? この邸ってめっちゃ広くないか? なんて思っていた。


「ここはこの国に四家しかない公爵家の一つだ。どうだ、広いだろう?」

「おー」

「ベル、体力が戻るまでここにいろ」

「……」


 それしかないだろうと、いくら俺でも理解できる。いや、隷属の首輪を外して、しかも体力が回復するまで置いてくれるなんて、それはきっとラッキーなことなんだ。

 けど、俺は里に帰りたい。少しでも早く帰りたいんだ。人間の世界なんて何も知らない。

 俺たち竜族から見たら、脆弱な人間に最強種のドラゴンが世話になるなんて考えられなかった。


「俺の勘だ。ベルはここにいろ」


 何を意味の分からないことを言ってるんだって思うだろう? でも違うんだ。竜族の勘は馬鹿にならない。

 親父はハーフだと言った。ならその勘にも意味があるのか? と思った。

 それからも飯を貰い、のんびりとしながら俺は過ごした。とにかく体力だ。ここから竜族の里まで、どれくらいあるのか分からない。

 もっと長時間飛べるようにならないとと思っていた。だからしょっちゅう外にいた。


「ベル、里までめっちゃ遠いと思うで」

「おー」

「わいが、ちょっと転移して行ってこよか? ベルが人間の国にいるって伝えてこよか?」

「まらいい」

「そうか? けど急におらんように(いなく)なったから心配してるで?」

「うん」

「まあ、魔力が戻ったら生きてるってことは分かるやろうけどな」


 そうなんだ、俺の親だよ。俺は突然いなくなった。隷属の首輪で魔力を抑え込まれていたから、俺の魔力も追えない。

 きっと死んだのかと思われていただろう。

 だけど隷属の首輪を外したことで、魔力は感じられるようになったはずだ。

 どれだけ距離が離れていても、竜族には魔力を感じることができる。だから生きてるって分かっているだろうから、いいよって思ったんだ。その内、帰るしなってさ。

 そんなことをガンちゃんと話しながら、庭の木にもたれてボーッとしていた。

 その日は朝からチビドラゴンになって、飛んでいたからちょっと疲れていたりもしたんだ。少しウトウトと微睡んでいた。


「あら? あなただあれ?」


 ん? なんだ? て思った。小さな鈴を転がしたような可愛らしい声に、俺は眼を開けた。

 そこには陽の光を受けてキラキラ輝く白銀の髪が眩しい小さな姫が、俺を覗き込んでいた。

 ストロベリーレッドの瞳に、引き込まれるようだ。


「も()()て、じい()のところにきた()かちら?」

「なんらって?」


 ちびっ子同士なのに、この時お嬢の話す言葉が理解できなかった。


「なんや、ベルもちびっ子やのに、ちびっ子の言うことが分かれへんのか?」


 うっせーよ。ガンちゃんが俺の首の辺りから顔を出した。


「まあ! ちいちゃいのね! ちゃべ()れるの!?」

「わいは、ガンちゃんやで。可愛いお姫様」

「ふふふ。あたちは、ネネよ。よろちくね」


 なんだこの綺麗なチビは? くらいにしか思ってなかった。

 綺麗な生地のフワリとしたワンピースを着ているから、きっとこの家の子なんだろうなってくらいさ。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


生意気なちびっ子はいかがでしょうか?(^◇^;)

可愛いと思うのですが。

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