19ー使い魔
「記憶があると分かってから、色々考えられたらしい」
「あー、ふらんじい、ひとりだもんな」
お嬢があの時、祝賀会に出ているのは予測できただろう。だけど、そこでまさかあんなことがあったなんて誰が想像できるかよ。
何も情報がない中で、一人だけ未来の記憶があるんだ。それは戸惑ったことだろう。
「能力だがな、俺が感じたことがある」
親父は前の時の記憶がある。だから今の旦那様やブレイズ様を見ていて、違和感があったらしい。
「多分、皆さん前より能力は高くなっていると思うぞ」
「ちょうなのか?」
「ああ、ブレイズ様なんてモロにそうだろう? 本当ならまだ別邸から、出て来ていないはずの年齢だ」
「ちょうらな」
旦那様の炎も前より威力が高いらしい。
「ちょんなの、ろこでみたんだ?」
「お前がくる少し前に、王都のすぐ外にある森に行かれたんだ。森の側を通っている街道に休憩所を作ることになってな、大きな木は伐採してあったから雑草や低木を旦那様が焼かれたのだけどやり過ぎてしまわれた」
「ええー」
「旦那様も、不思議そうにされていたんだ。いつも通りにしたのにってな」
「なら、まえより、のうりょくは、たかいか?」
「おそらくそうだろう」
ふむふむ、皆そうならフラン爺もそうなのか?
「ふらんじいと、はなちぇねーかな」
「今は庭におられるぞ」
「あー、たんれんか」
「そうだ。お嬢様もお昼寝されていたから、アイレが鍛練を受けている」
「おやじ、アイレはちゅよいのか?」
「こら、アイレさんと呼べ」
「えー、いいじゃん」
まあ、いいかと言いながら親父が教えてくれた。そこそこらしいが、ほんの数年前まで鍛練なんて何もしていなかったにしては筋が良いと。
「アイレの、のうりょくは?」
「前と同じだ」
じゃあやっぱ覚えてる人と、そうでない人に違いが出ているのか。
だけどアイレは、剣術や体術だけでなく風属性魔法が使える。攻撃魔法も教わっているそうだ。
「ふらんじいは、ひなのに?」
「属性の問題じゃない、魔力の使い方だ」
「ほー」
俺の魔力は膨大だから、そんなことを考えたことがなかった。
「違うぞ、使う量じゃない。どれだけ魔力を自分に馴染ませられるかだそうだ」
「じぇんじぇん、わかんねー」
「だろうな、竜族はそんなことを考えなくても、魔法に長けている」
「ちょっか?」
「ああ、そうだ。半分の俺でもそうだ」
半分とは、竜族と人とのハーフという意味だ。
親父は時々自分のことを「半分」と言う。自虐のつもりではないのだろうけど。
それでも竜族の里では暮らせないが、自分は普通の人じゃないと生き難いこともあったのだろう。
仲良くしていた人たちが、先に逝くのを何度も見送ってきただろう。それは悲しいし辛い。だからな、親父。
「おやじ、じゅっとおれが、いっちょにいる」
「なにを言っているんだ。この馬鹿息子が」
本当に口が悪い。でも親父、いつか一緒に行こうぜ。竜族の里へさ。
「ちょうら、おやじ」
「なんだ、大人しく食べろ」
「おもいちゅいたんだ」
「また、しょうもないことをだろうが」
「ちげー。おじょうといっちょに、りゅうじょくのさとへいけばいいんだ」
「何を言ってる、どれだけ遠いと思ってるんだ」
「え、ちょう?」
「ああ、大陸の一番端なんだぞ」
そうだった、竜族の里は大陸の最北だった。ここは中央からまだ南寄りだ。けど、行こうと思ったら行けるぞ。
俺がいるから、里の結界もクリアできる。他種族が竜族の里に近付けないのは、結界が阻むからだ。
あのエルフ族でさえ解除できない結界が、里を覆っている。
それは竜族を守るというよりも、簡単にドラゴンが外に出ないようにという意味がある。
なにしろ最強種だから、人の国なんてドラゴンブレスで一発で焼け野原だ。
そんな脅威になる奴らを、ホイホイ外に出せないという里長の考えだ。
力に物を言わせて、何を仕出かすか分からない奴らもいるんだ。どこにでもいるだろう? そういう奴がさ。
それを外に出さないようにしている。まあ、俺はポヨヨ~ンと出ちゃったけど。
「お前はよく考えるということを覚えろ」
「えー、かんがえてるっての」
こんなに思慮深いちびっ子はいないぞ。
「今はとにかく、大人しく食べろ。早く体力を戻さないとお嬢様を守れないぞ」
「おー」
それもそうだ。そう思いなおしてモグモグと食べる。美味いな、やっぱ料理長の腕はいい。
大人しく食べろと言っておきながら、親父が俺に聞いてきた。
「能力と言えば、ベル。お前の相棒はどうした?」
「んん?」
「いつも肩に乗っていただろう?」
そう言えばそうだ。あれれ? どうした? いつも呼ばなくても出てくるのに、どこ行った?
そう思ってキョロキョロしていると、何もない空間から何かがピューッと飛んで出てきた。
パコーンと俺の頭にぶつかって、布団の上にポテンと落ち短い手足をバタバタさせてもがいている。
はいはい、起き上がれないんだね。仕方ないなぁ。手を添えて、起こしてやる。
「ワッハッハッハ!」
親父が大爆笑をしている。お腹を見せて大の字になってひっくり返っていたのは、今話していた俺の相棒だ。
「イッテーッ! めっちゃ酷いやん!」
「ガンちゃん!」
「ベルーッ! やっと魔力が戻ったんか! 会いたかったでぇー!」
そう言いながら俺の顔に飛びついてきた。こらこら、パン粥が付くぞ。
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爆睡してしまいました(。>ㅅ<。)
こんな時間に投稿して読んでいただけるのかしら?
よろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)




