18ー皆の能力
いつも賑やかな、体育会系の元であるフラン爺も食べる時は静かだ。
「ベル、美味いぞ!」
「久しぶりに食べたら、とっても美味しいわね」
「ああ、甘さ控えめなのがいいな」
「ベル、とってもおいちいわ!」
「ふふふ、いっぱいたべて。おれのも、たべる?」
「ちょんなに、たべられないわ」
おふ、食べてるお嬢も超可愛い。天使ってパンケーキも食べるんだな。
「ネネの苺だけ、形が違うぞ」
ブレイズ様が、ハート形に切った苺を目敏く見つけて言った。いいところに気がついたね! 教えてあげよう、それはだね。
「おれの、らぶ」
「何言ってるんだ! ベルが切ったのじゃないだろう!?」
切ったのも焼いたのも料理長。でも、俺のラブも込めてあるのだもの。
お嬢は、ふふふと笑っているけど、綺麗に食べるなぁ。俺は大きな口を開けて食べていても、ほっぺにもれなくついてくる。どうしてだ?
「おれは、ほっぺにちゅくのにな」
「手だ。ベルはまだ力が出ないのだろう」
「おやじ、フォークぐらいもてるって」
「けど、ブレブレだぞ」
え、そう? そうなのか?
「色々変なことを考えているからだ」
「かんけいねー」
本当、親父は口が悪い。
「久しぶりに、ベルのハンバーグも食べたいぞぉ!」
やっぱ体育会系は肉なんだね。今はハンバーグなんて作れないだろうな。パンケーキだって作れないのだから。料理長に相談するか。
「あたちは、おむらいちゅがいいわ」
「いいね。ネネ、兄様がトマトソースでハートを描いてあげよう」
いやいや、ちょっと気持ちわりいぞ。
「きっしょ」
「ベル、なんだと!?」
「ブレイズちゃまは、めっちゃししゅこん」
「それのどこが悪い? 天使の妹を愛でるのは当然だろう?」
うわ、マジで言ってるよ。前の時はこれほどじゃなかったぞ。あれか、お嬢が婚約破棄されてキレたのを見たからか?
まあ、気持ちは分かるけど。だってお嬢はマジ天使だと思うもの。
ふむふむと、そこは俺も同意だと思いながらパンケーキを食べる。
「うめーな」
「自分で作っておいて言うか?」
「ブレイズちゃま、いまのおれは、ちゅくれねー」
「チビだからな」
「だから、りょうりちょうが、ちゅくってくれた」
「ああ、なら美味しいのは当然だな」
けど俺が全部教えたんだ。だから俺のレシピなんだぞ。
お腹が膨れたら、眠くなる。このちびっ子の身体はなんとも融通が利かない。やっぱ体力がないんだ。これからいっぱい食べないと。
「おやじ、ねみー」
「おう、私の部屋で昼寝するといい」
「おー」
親父に抱っこして連れてってくれと、両手を出す。
「なんだ、一人で行けないのか?」
「だって、もうねみー」
パンケーキを食べて、お茶を飲んでいた奥様が言った。
「そんなに体力がないなんて、よほど酷いことをされたのね。ガリガリだもの」
「奥様、奴隷ですから」
「そうだけど……そこまで時が戻らなかったら良かったわね」
「アグニール、仕方のないことだ。皆無事に戻っていることが不思議なくらいだと私は思う。奴隷になっていたベルには悪いが」
「いや、ちゃーねー」
そんな話をしている側で、お嬢も眠そうだぞ。やっぱちびっ子だってこともあるんだって。
奴隷だったからってだけじゃない。ちびっ子にお昼寝は必要なんだ。
「おじょう、いっちょに、ねんねちよ」
「ベル! 何を言ってるんだ! 駄目に決まっているだろう!」
もう、本当にシスコンのブレイズ様は……
「うじぇー」
「こら、ベル! 行くぞ」
親父に抱っこされて強制退場だ。だから俺はお嬢と一緒に寝るって。そんなことを思っていたのだけど、口に出す前に睡魔に負けてしまった。
親父の大きな腕に抱っこされ、歩くたびに揺れるのが丁度良くって俺はすぐに眠りについた。
気付くと親父のベッドの中だった。部屋には誰もいない。親父は仕事なのだろう。あれでも一応有能な執事だから。
それにしても、これからどうするかだ。お嬢はああして強気なことを言っているが、本当は嫌なはずだ。行きたくないと言っていた。それは当然だ。
もうお嬢にあんな思いはさせたくない。そのために俺はなんでもすると決めたんだ。
なんだったら、お嬢と二人で領地に行ってもいい。それはブレイズ様が許しそうもないけど。
ブレイズ様は今の時点でどれくらい魔法を使えるのだろう? 当のお嬢は? 色々確認しなきゃなと考えていた。
「おう、起きたか?」
「おやじ」
「またちょっと腹に入れとけ」
そういって、料理長特製のパン粥を持ってきてくれた。粥といってもクリームスープの中に小さく切ったパンを入れてあって、今回はしっかりパンの形が残っている。
最初に食べたのはドロドロだったから、少しだけ進歩だ。本当ならハンバーガーとかを、ガッツリ食べたいものだけど。
「いくら回復魔法で回復したと言っても、まだ食えないぞ。胃がびっくりするだろう」
「え、なんでわかるんだ?」
「だからお前は、思っていることが丸わかりだ」
まあ、それだけ素直なんだよ。ツンデレさんの親父と違ってさ。
「ちょれより、おやじ。みんなの、のうりょくなんだけろ」
「ああ、能力か。戻す前とは年齢が違うからな」
「ちょうちょう。だから、かくにんちとかねーと」
「ああ、大旦那様が同じことをおっしゃっていたぞ。万一の時に備えてと」
おう、さすがじゃないか。やっぱフラン爺が一番分かっているな。
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宜しくお願いします。
早くモフを出したい。




