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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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15/100

15-ちびっ子だった

「よみが、あめー(甘い)な」

「ベル、偉そうに言うのではない。黙ってなさい」

「あい」


 また親父に叱られちゃった。もう果物はいいかな。ふわっふわなパンケーキとか食べたいぞ。ないのかな? ないなら作るぞ。


「おじょう、パンケーキたべたくね?」

「まあ! ひちゃち(久し)ぶりに、ベルのパンケーキをたべたいわ!」


 おし、作ってきてやるよ!


「ベル、私も欲しい」

「あら、私も食べたいわ。ベルの作るパンケーキはふわふわで美味しいもの」

「ベル、僕もだ」


 おやおや、俺って人気者だ。違うか? パンケーキが人気なだけなのか?


「ベル、お前ちびっ子になってることを忘れてないか?」

「あ……ちょうらったぁッ!」


 親父に言われて、ガビーン! とショックを受ける。この小さな手でどうやってフライパンを握るんんだよ。どうやって、パコーンとひっくり返すんだよ。

 このひ弱な腕で、混ぜ混ぜできるのか? いや! なんでも気合いだ!


「よち、がんばるじょ!」

「ベル、料理長に手伝ってもらいなさい」

「あい、だんなちゃま」


 そうだね、それがいいや。と、席を立った時だ。


「ベル、待ちなさい」


 フラン爺に引き止められた。そして、おもむろに抱きしめられちゃった。

 おいおい、どうした? ぶ厚い筋肉が暑苦しいぞ。どうせ抱きしめられるなら、お嬢がいいぞ。


「ベル、感謝する! ネネを、皆を助けてくれてありがとう!」

「ああ、そうだな。まずは礼を言わなければいけなかった。ベル、感謝する」

「本当だわ。ベル、ありがとう」

「仕方ないな、ネネを助けてくれたのだからな。ありがとう」

「ベル、あたちをまもろうと、ちてくれて、ありがと」


 えっとぉ、ちょっと俺、照れちゃうんだけど。


()ちゅん(する)な」


 フラン爺にふんわりと抱きしめられ、俺は照れてその腕の中に顔を埋めた。良かった。皆そう思ってくれるんだ。

 俺の一存で時を戻した。それが最善だと、あの時は思ったけど。巻き戻り過ぎた感があるから、ちょっと心配だったんだ。


「我家はベルに救われた。これからもネネを守ってやってくれ」

「もちろんだ。おれのヨメにちゅるからな!」

「ワッハッハッハ! 嫁か!? まあ頑張りなさいッ!」


 そう言ってフラン爺は俺の背中をバシコーンと叩いた。いや、普通に痛いから。俺って今ちびっ子なんだぞ。手加減してくれよ。

 さて、俺はパンケーキを作りに厨房へ行こう。久しぶりだな。前の時もよく色々作っていた。

 奴隷商に捕まった時に前世を思い出しちゃったからさ、食べたくなるんだ。前世にあったアレコレを。だから自分で作ったんだ。

 俺って、料理の才能があるとは思わなかった。前世で作っていたのか、何歳で死んだのか全然覚えてないのだけど。

 やっぱ才能ってあふれ出るものなんだよ。ふふふん。


 上機嫌でトコトコと厨房へ向かっていると、親父が追いかけてきた。


「ベル、待ちなさい。お前まだ邸の使用人に紹介してないだろう」

「あ、ちょうらった」


 つい勝手知ったる家だから、何も考えていなかった。

 記憶のない使用人たちにしてみれば、お邸の中を見慣れないちびっ子が歩いていると思われる。

 どこのちびっ子だ? てさ。まずは料理長に紹介してもらった。


「料理長、私の息子になったベルだ。料理を作りたいそうなんだ。よろしく頼むよ」

「ええー! ゲイブさんの息子さんですか!? さっきラッパを吹いて走り回っていた」

「ああ、バカ息子だ」

「ばかじゃねー」


 本当に口が悪いぞ。親父、素直になろうな。


「ベル、迷惑かけるんじゃないぞ」

「めいわくなんて、かけねー」

「何言ってるんだ、まだちびっ子なんだぞ」


 おっと、それをすぐに忘れてしまう。だって久しぶりのちびっ子だ。しかも今はまだガリガリで、体力も戻ってない。


「おやじ、ちょっと、ふらふらちゅるじょ」

「だから言っただろう」

「どうした? ちゃんと食べてんのか? ガリガリじゃないか」

「つい3日前まで奴隷商にいて、私が助け出してからも寝込んでいたんだ」

「奴隷ですか!? こんな小さな子になんてことを!」


 え、3日前? てことは俺は3日も気が付かなかったのか? マジで? 3日も? え? 今更か?


「おやじ、おれ、みっかもねてたのか?」

「そうだぞ。だからまだ体力がないだろうよ」

「あー、ちょうがねー」


 厨房に置いてある丸い椅子に座ろうとするけど届かない。こう、足をあげてな、座ろうとしているのだけども。


「お前は何をしているんだ」


 呆れながら親父が座らせてくれる。悪いね、まだちびっ子だから届かないんだ。

 さて、料理長。俺は偉そうに短い人差し指を顔の横で立てて言った。


「これから、ふわっふわなパンケーキをちゅくる」

「なんだって? パン……なんだって?」

「だから、パンケーキら」


 料理長が疑いの目をしている。まあ、そりゃそうだろう。こんなちびっ子が、聞いたことのない料理を言っているのだから。


ざいりょう(材料)あるか?」

「こら、お前偉そうなんだ」


 え、そうか? これが普通なんだからいいじゃないか。


「アハハハ、ゲイブさん大丈夫ですよ。よく分からないですけど、一緒に作りますよ」

「すまないな、頼む」


 料理長に紹介して、親父はさっさと戻って行った。


「ベル、そのパンなんとかって本当に作れるのか?」

「おれは、ちゅく()れねー。だって、まだちびだから」

「アハハハ、だよな。俺が代わりに作るから、してほしいことを言ってくれ」

「おー、たのんら」


 料理長とは時を戻す前の時にも、仲良くしていたんだ。

 俺がしょっちゅう厨房を使うから自然に仲良くなった。料理長が俺の作るものに興味を持ったのもある。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日ももう1話投稿します〜!

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