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ビカットマン  作者: 蟹谷梅次
14 復活
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 少年の光る球体が空に飛び上がった。


「ようやく目が覚めたらしいな! 尾島くん!」

「すまなかった、閃光児。いけるか?」

「いけるけど、とりあえず君のなかに入りたいのだけれど……」

「ここは私の夢の中……ということだな」

「おちつかないね。雨、止ませたら?」

「いや、それはまだだ」


 彼は気配を追った。


 雨の中、走り出した!


 ビチャ! ビチャビチャ!


「いったいどこにむかおうというんだい?」

「私の中に怪異があることは確定なのだけれど、どこにいるのか分からないから、取り敢えずいそうなところを巡っている」

「なるほど、」

「いい手、なにかあるか?」

「ごめん、わからない」

「なら、足で稼ごう」


 神戯閃光児は彼のそういうところが好きだった。


 出会った頃からそうだった。


 誰かのために全力を出してしまう。


 なんの躊躇いもなく、人を救ってしまう。


 そういう彼だから、嫌な夢を無理矢理見せられたときは、腸が煮えくり返る気持ちだった。


 この降り注ぐ大豪雨は、神戯閃光児のそういう気持ちも汲んでいるのだろう。


 神戯閃光児と尾島青空はふたりでひとり。


 影響はされてしまう。


「…………」


 彼の心が弱っていることはわかっていた。


 しかし、自分にはどうしょうもないからとほとんど諦めて、ノータッチを貫いてしまっていた。


 彼は大して心のつよい人ではないのを、わかっていたのに。


「尾島くん」

「なにか?」

「ごめんね」

「なにが」

「君のこと、よく見えてなかった」

「そうかい」

「君のこと、特別な人間だと思ってた。力が強くて、僕の身体を気持ちよく使ってくれるから」

「そうかい」

「もう大丈夫、とは言い切れないけれど、それでも僕は君とこれからもビカットマンで有り続けたい。君が僕の力を君の思うように使える日が来るまで、僕は君の拳になる」

「そうか」

「僕は……」

「閃光児」

「……なに?」

「君と私が触れたあの日に、全部語り終えたろ」


 しばらくの沈黙。


「ああ」

「だろ」

「うん」


 身体と身体は深く混じり合っている。


 自分の身に宿った光と彼の心に宿った光が、混じり合った。


「いっしょに、おかしくなっちゃおう」

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