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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

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998/1010

ようやく1階層目をクリアするチームが出始める件



 仔ヤギの茶々丸がいない今、シャドウ族の始末は自然とツグミが(にな)う流れに。そして飛翔するインプの相手は、レイジーとコロ助が買って出る。

 姫香も前へ出て、後ろには絶対に敵を通さない構え。何しろ今回は、後衛の長女を守る護人や2号ちゃんは不在なのだ。性悪インプなど、特に後ろに通したらどうなる事やら。


 そうして踏ん張りを見せる姫香だが、レイジーは何と布の壁も『歩脚術』で歩く高スペック振り。宙を舞うインプ達を、全て撃ち落として頼もしい限り。

 コロ助も『牙突』スキルで、敵の殲滅のお手伝いを頑張っている。敵の魔法も飛んで来るが、それすら避けるコロ助はインプを完全に雑魚扱い。


「いいよ、レイジーにコロ助っ……ってか、こっちにも敵を少しくらい回してくれてもいいんだよっ?

 ツグミの方も、どうやら全然余裕みたいだねっ」

「良かった、一気に敵が出て来たから慌てちゃったけど。シャドウ族も、どうやらツグミちゃんが全部退治してくれたみたいだね」


 そう言って安心する姉妹は、ハスキー達の強さに改めて感心する素振り。何と言うか、戦闘に参加すら出来なかった姫香はちょっとショックを受けてすらいた。

 これは恐らく、普段と違ってチーム員が少ないせいなのだろう。後衛もスカスカの陣形に、姫香と同じくハスキー達もいつも以上に張り切った結果なのかも。


 それはともかく、ドロップ品の魔石を拾った一行は、小休憩の後に再び布の迷宮を進み始める。休憩の合間に、護人に通信を飛ばすも忙しいのか出てくれず。

 まぁ、向こうは護人しか戦う者がいないので、手が(ふさ)がるのは仕方が無い。心配だが、向こうが手すきになったらかけ直してくれると信じたい。


 その点、末妹は通信には出たが今は戦闘中で忙しいと怒られてしまった。向こうは逆に、チーム数は多いけどペット達を(まと)める者が香多奈しかいない。

 そう言う意味では、紗良と姫香組とは違った苦労があるのかも。


 そんな感じで再出発……布の迷宮は相変わらず、ペラッペラの布の区切りがウザったい。距離感も狂うし、移動している感覚も惑わされてしまう。

 オマケに、隣の通路に敵がいても丸分かりなのは如何(いかが)なモノか。ソイツにちょっかいを掛けられて、相手不詳の戦闘も実は3度ほどあった。


 恐らくはパペット系かゴーレムだと思うが、何故かそいつ等とは直接出会わない不思議。とか思っていたら、潜って20分後にようやく広い場所に出た。

 周囲は相変わらず白い布に覆われているが、相違点が幾つか。ピンク色の布で出来た壁が1ヵ所あって、そこの奥は恐らく次の層へのゲートらしい。


 それから、それを守るように赤いドレスを着たパペットが3体。どちらかと言えば戦闘ドールと言うか、肘やつま先から刃が生えたそいつはとってもクール。

 つまりは戦闘特化したパペット兵なのだが、ドレスの着用は結構な違和感かも。バレエダンサーのようにも見えなくはないが、ハスキー達には関係無かった模様。


「ちょっと、全部アンタ達が手柄を取っちゃうのは(ずる)いでしょ! 真ん中の体格の良い奴は、絶対に私の獲物だからねっ!

 左右の2体をアンタ達で仲良く分けなさいっ」

「まぁ、姫香ちゃんは今回ほとんど戦ってないもんねぇ……みんな、気を付けてね。体中から棘が出てる敵だから、当たると痛いよっ」


 紗良の応援が(まと)を射てるかは不明だが、了解との返事と共に姫香は敵の戦闘ドールに突っ込んで行く。ハスキー達だが、短いやり取りの末にツグミが全体のフォローに回る流れに。

 この辺は、ツグミは器用で前に出たがらない性格なので順当とも。それよりレイジーは、恐らく年をとっても前衛を張る性格のような気がしないでもない。


 そんな戦闘ドールとの戦いは、熾烈な武器での(しの)ぎ合いとなった。ただのパペットとは大違い、自分の武器の間合いや特性を熟知して扱うドール達。

 ハスキー達も攻めあぐねており、コロ助の自慢のハンマーも空回りの場面が多い。驚いた事に、レイジーの(ほむら)の魔剣も未だ致命傷を与えられていない。


 そして、姫香の戦う戦闘ドールも、今や手の平から刃を生やして全身凶器みたいな姿となっていた。その刃を扱う技術も、思わず姫香が舌を巻く程。

 それでも負けてはいられないと、姫香は徐々にスキルを発動しての本気モードに移行する。愛用の『天使の執行杖』を大鎌モードにして、嵐のように斬りかかるその姿はまさに風神。


 その結果、《舞姫》と《豪風》が発動するのはいつもの事。敵の赤いドレスの戦闘ドールも粘るが、さすがに姫香の《剣姫召喚》までは予測は出来なかった模様。

 予期せぬ角度からの《燕返し》は、何と分身が放った物だった。姫香自身も驚きの結果となったが、その一撃で強敵だった戦闘ドールは機能停止に。


 同じ頃、ハスキー達の戦いも無事に終わってまずは一安心。レイジーは犬とは思えない見事な剣技で、コロ助は逆にパワーのゴリ押しでそれぞれ勝利を勝ち取った。

 そしてドロップした魔石(中)1個と、魔石(小)が2つにスキル書が1枚。


「お疲れさま、姫香ちゃん……さっき香多奈ちゃんから通信があって、そっちの探索も撮影を忘れないようにですって。

 だから今の戦いも、しっかり録画しておいたからね!」

「あっ、そうか……ウチのチームのメイン撮影者は、どっちもキッズ組にいるもんね。ウチの撮影者は、それじゃあ紗良姉さんが担当するとして。

 えっと、護人さんの所は誰が撮影するんだろうね?」


 その質問には、紗良も首を傾げて明確な返答には至らず終い。何しろ向こうのチームは、護人の他には(ミケ)妖精(チビ)しかいないのだ。

 スマホを扱えるのは護人のみだが、確か護人は小型の撮影器具も予備に持っていた筈。あれならワンチャン、チビの妖精ちゃんにも扱える気がしないでもない。

 それか、護人の肩口に何とか備え付けるとか?


 ――1層目クリアの姉妹は、そんな呑気な会話を繰り広げていた。





 その頃、護人は苦労して末妹に言われた撮影問題に取り組んでいた。これがタイマーを押す前で本当に良かった、そして自分が気付いても良かったなと少し反省。

 まぁ、撮影に関しては探索の二次的な副産物ではある。来栖家チームの目的としても、他のチームへの情報公開的な要素が強い。


 前もっての情報があれば、事故率も減るし探索チームの生存率も跳ね上がるだろう。そんな社会貢献の一環なのだが、どっこい末妹の考えは全く違う。

 つまりは撮影はエンタメで、後からみんなで観てワイワイと楽しむモノだと。実際に、姉の姫香からパソコン編集を習って、自分でも切り貼りして遊びながら学んでいる香多奈である。


 そんな子供の、学習意欲に沿()うのも保護者の務めと奮闘する護人である。それを見ていた妖精ちゃんが、コレなら扱った事があるゾと言い出した。

 どうやら山の子供達との遊びの最中に、そんな撮影の流れになったらしい。最新の小型撮影器具は、確かに妖精ちゃんでも取り扱いが可能な大きさだ。


 スマホの方が画像は良いが、それを装備に取り付けるのはそれなりに大変。万一アスレの途中で落ちたら、取りに戻れないので紛失騒ぎになってしまう。

 そうすると、次に探索に入った時に宝箱に新品が回収出来るのかなぁと。とりとめのない事を考えていると、チビ妖精はコッチは完了したゾと言って来た。


「おおっ、何とかセット出来たみたいだね、妖精ちゃん。それじゃあ、もうインして10分近く経っちゃったし、こちらも始動しようか。

 このアスレコースを進むから、妖精ちゃんは後からついて来てくれるかい?」


 ガッテン承知と妙な返事の小さな淑女は、最近は子供たちとの触れ合いで変な言葉を覚えてしまっている様子。それを無視して、護人はスイッチを押してのアスレコースに取り掛かる。

 4面をべニア板的な壁で(ふさ)がれてるアスレコースは、下は完全な泥水である。恐らく着水すると、強制的にアウトと思うがどうなのだろう?


 左右の壁には突き出した棒が所々あるけど、これを信用し過ぎるのも良くない気が。掴んでみたらスポンと抜けましたじゃ、意地悪過ぎて洒落(しゃれ)になってない。

 それじゃあどうやって進むのかと言えば、ボタンを押した途端に左右から斜めの足置き台がせり上がって来た。水から出て来たそれは、何故か濡れておらず取り敢えず安心そう。


 それを交互に飛び跳ねて、10メートル先の回転丸太の山に飛び移るのが第一関門らしい。懐かしいなぁとか思いつつ、サスケ的なコースに挑むのは当然人生初な護人である。

 TVで視聴していた感じだと、ここでの脱落者も意外と多い。ただまぁ、レベルアップの恩恵は凄まじく、護人の筋力は見事に最初のコースを渡り切った。


 若返りの効果も微妙に乗ってる護人は、順調に回転する丸太も登り切って次のポイントへ。広い足場へとジャンプして、まずは息をつく時間を貰えた。

 後ろからも、いいゾとトレーナー気分の妖精ちゃんの声援が。ちなみに肩の上のミケは、飛び跳ねる主人に合わせて落ちないように協力してくれている。


 ミケも恐らく、泥水へ落ちるのは嫌みたい……ちなみに、タイマーは壁の至る所に設置されていて、残り時間は何とまだ18分もあるとの電光表示。

 多過ぎないかと思うのだが、それ故に嫌な予感も湧いて来る。つまりは、このコースがやたらと長いとか、或いは別の厄介な障害が追加されてるとか。


 その推測はバッチリ当たっていて、次の小さな浮き島ジャンプは何とモンスター付きの極悪仕様! ふざけんなと叫びたくなるのをぐっと(こら)えて、今装備外してるんたがと冷静になる護人でった。

 ただまぁ護人も探索者の端くれ、スキルは幾らでも使える。浮き島に立ってるのは、幸い魚人や大ヤモリなどで強そうな敵ではない。

 ここは《奥の手》スキルで、ゴリ押しも可能だろう。


 ――持ち時間が刻々と減る中、そんな作戦で次のアスレに挑む護人であった。





 撮影の事を家族に伝言出来て良かった、そう考えつつ香多奈チームは台所のお菓子の回収を終えた所。この食糧難の時代、やはり手に入るお菓子も限られる。

 そんな訳で、ゴキとネズミが大量発生した台所にあった食料品だが、罪は無いと持ち帰る事に。そもそもきちっと包装されていて、衛生面に問題はナシ。


「さてっ、後はゲートを見付けて次の層に移動するだけかなっ? この臭いにもいい加減慣れて来たけど、ずっといたくは無いもんね。

 えっと、今度はアッチの方向に移動だよ、みんなっ!」


 そんな末妹の号令に、素直に従うチビッ子軍団である。先行し過ぎるヒバリを叱りつけけ、一行はお菓子の家の中を慎重に移動して行く。

 そうして、次の部屋で噂の魔女と対面する事に。





 ――魔女の前には巨大な鍋が、果たしてその料理の具材はナニ!?







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